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前世の記憶を手に入れた女子高生は、終わりを迎える地球で世界と幼馴染のどちらを選ぶ  作者: 茉莉レイ
第二章

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第64話 スクリーンの役割

「あれかな?」


 お花や可愛いキャラクターの看板が貼られてある建物が出てきた。

 2階建ての大きな建物だ。

 

「うん! あれで間違い無いと思う!」


 穂乃果(ほのか)がそう言った。

 

「すぐ入れそうだね!」


 入場待機列などはできていなかった。

 近くに行くと入場制限がある事が分かった。

 広いのと回転率が高いためなのか、すぐに入る事ができた。


「自由に見て回る?」


「じゃあ2人ずつに分かれて回ろ!」


 私の問いかけに(そら)()がそう返した。


「そうだね! じゃあ私は、まだ今日ペアになってない(りん)()君とだね!」


「そうだね、よろしく」


 何だか緊張しているように見えた。


「私はほのちゃんとだ!」


「よろしくお願いします!」


 私達はそれぞれで、館内を自由に回る事にした。

 外で見るより中は広く感じ、大量の展示物などがあった。



「凛兎君は初めての遊園地だけど楽しめてる?」


「楽しいよ! さっきの水のアトラクションはびっくりしたけどね」


「まあ、あれはかなり特殊だよ! 楽しんでくれてるなら良かった!」


 遊園地の第一印象は良さそうだ。

 このまま今日はみんなに楽しんでもらって、私も楽しもう!


紫伊香(しいか)さんこれ見て」


「ん〜?」


「魔法を使ってるキャラみたいだね」


「あ〜! これはここの遊園地のオリジナルキャラだよ! えっと確か、魔法少女シュリアちゃん!」


「そうなんだ! よく知ってるね!」


「あはは、まあね〜!」


 前日のうちに色々と下準備をしていたのだ。

 魔法関連なのもあって頭に残っていた。


「そういえば紫伊香さんは魔法少女みたいな存在だと思うけど、変身したりはしないんだね」


「変身とかはしないね。というかなんで世の中の魔法少女作品はみんな変身するんだろうね?」


「僕は詳しく無いから分からないけど、可愛いからかな?」


 確かにそういうのもあるだろう。

 後は変身しないと魔法を使えないとか、非日常感を出すとか。


「どうしたの? 私にも変身して欲しかった?」


「ち、違うよ! ふと気になっただけだよ!」


 凛兎君はそう言い、別のエリアの方へ向かって行ってしまった。


「ちょっと待ってよ〜!」



 穂乃果と空音は、ここでしか見られないオリジナル絵画や、期間限定のプロジェクションマッピングや、等身大のキャラクター像が設置されているエリアにいた。


「ほのちゃん見てよこの子! 猫耳つけた男の子だって! 可愛いね!」


「猫耳つけるとみんな可愛くなっちゃうんですかね!」


「しーちゃんに猫耳つけたら可愛いかもね!」


「何で紫伊香の話が出るんですか!」


 まあ、少し気になるけど。


「ほのちゃんは普段アニメとか見たりするの?」


「あまり見た事無かったですけど、紫伊香の事を知ってから少し見たりとかって感じです」


「な〜るほどね! 魔法少女って憧れだよね」


「小さい頃の夢ってやつですか?」


「ん? まあ、そんな感じ。誰かを助けるヒーローになりたかった、みたいな!」


「だからハッカーに?」


「それだけが理由じゃ無いけど、それもあるね!」


 空音さんはふざけてばかりいる人だと思ってたけど、もしかしたらしっかりとした芯があるのかも。


「ほのちゃん次あっち行ってみよ〜!」


 本当にこの人は自由な人だ。


「分かりました!」




「はぁ……はぁ……はあ。最悪な気分」


 認識阻害をかけた空間内で服装を乱した(りん)()がぐったりと横たわっていた。


 紫伊香が頑張ってるであろう時に私は何をしているんだろうか。

 

 私は服を整えた後ゆっくりと立ち上がった。

 散歩と呼べるかは分からないが、歩きたい気分だった。

 どこまでも終わりがないように広い空間。そこでできる事は限られていた。


 変わらず私の動きに合わせてスクリーンがついてくる。

 もう慣れたものだ。


「一生このままって事はないよね?」


 試してはいないがもしかして死ぬ事もできないのだろうか。

 上級魔法を使えば死んだ後に生き返る事も理論上可能だが、博打過ぎる。

 死んでしまいました、終わり。みたいになったら洒落にならない。


 そんな事を考えていると2つ目のスクリーン——桜が舞う丘で穂乃果、紫伊香、空音さんが映っていたスクリーンが起動した。


『地球は救えた。時間を戻す前に比べてリカネアの力は弱く、簡単に返り討ちにする事ができた』


 高校の制服を着た紫伊香が学校の屋上を歩きながらそう言っていた。


「地球を救えた? 全部上手くいったってこと?」


 当然私の問いには誰も答えない。


『けど、これはさ、完全な世界じゃない! 琳寧が……いない、世界なんて……』


 紫伊香は涙を流しながら地面に座り込んだ。


「紫伊香……」


 辛い。私はそばにいてあげる事ができない。

 こんなにも愛して、力になってあげたいのに。


 涙が止まらない。悔しい。悲しい。消えてしまいたい。


『私はわがままだ』


 紫伊香は立ち上がり、涙を拭いた後そう言った。


『この地球全ての人にとってこれでいいのかもしれない』


 待って。


『けど、私はそれを許せない。私がそれを許さない』


 それじゃあ意味が——

 

『これを琳寧が見たらきっと意味が無いとか言うんだろうね』


 私の声が聞こえたかのように紫伊香はそう言い、太陽のような眩しい笑みを見せた。


『ごめんね琳寧。私はわがままなんだ』


 紫伊香はそう言い、指の腹を切り血を出した。

 そして、それで魔法陣のような物を地面に描き出した。


『私は一度過去に飛んだ。だからこそ、分かったんだ。待っててね琳寧!』


 紫伊香と一瞬目があったように感じた。

 その瞬間魔法陣を光源として、大量の光がスクリーンを埋め尽くした。


 そこで映像は終わり2つ目のスクリーンは大きな音を立てて大破した。

 私は反射的に頭を覆ったが、残骸が落ちてくる事はなく完全に消滅した。


「何となく分かった」


 スクリーンは過去、現在、未来。そのどれかと対応した映像を流しているんだ。

 とは言っても世界線が複雑に交差している可能性もある。

 念の為ただの憶測程度に考えておいた方がいいだろう。


 2つ目のスクリーンの世界線では、紫伊香が地球を救い、私の事を思い出し、私を選んで再び時間を戻したんだ。そして役割を終えたためスクリーンは壊れたのだろう。


 大丈夫。また紫伊香に会って一緒に地球を救えるはずだ。

読んでいただきありがとうございます!


ぜひ、面白い、先を読んでみたいと思っていただけましたら、リアクション、ブックマーク、コメント等していただけると励みになります!

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