↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前世の記憶を手に入れた女子高生は、終わりを迎える地球で世界と幼馴染のどちらを選ぶ  作者: 茉莉レイ
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/72

第60話 スクリーンに映る惨劇

 不気味な空間の中、4つのスクリーンに見下ろされる形で(りん)()は座っていた。


「誰かいませんか〜!」


 私は大声で何度も叫んだ。

 けど返事も何も無く、スクリーンも映像が消えてから何も変化が無い。

 眠くは無いため眠る事もできず、食欲も湧かない。

 何も食べなくても生存可能なように感じるため死ぬ事は無いだろう。


 ここが安全なのかは分からない。

 初めは恐怖や不安もあったが、殺伐とした現実から抜けた感覚があり少し安心している自分もいる。

 

「ん……っ、何、なんか、変」


 体の内側、具体的にはお腹から下側がむずむずする。


「何これ、ん……っ、毒?」


 違う、これは紫伊香(しいか)と2人でくっついていた時と同じ感覚だ。

 もしかしてこれ、私変態的思考になっちゃってる?

 勝手に紫伊香のいないところで、無意識に?


「だめ!」


 不純な気持ちを淘汰するように、立ち上がり全力で走った。


「はあ、はあ、ちょっとスッキリした」


 完全にあの変な感じが無くなった。


 どれだけ全速力で走ったとしても、変わらず4つのスクリーンは私を追いかけてくる。

 どんな仕組みなのだろうか。


(そら)()(りん)()君は周りの人を!』


「紫伊香の声だ!」


 突然スクリーンの1つ——位置的に最初に映ったスクリーンが再びついた。

 空音と凛兎君って誰だろか、初めて聞く名前だ。

 画面を見ると紫伊香、穂乃果、赤髪の少年、みんなより年上の女性がいる。

 消去法的に赤髪の少年が凛兎君で、年上の人が空音さんっていうのかな。


 よく見るとこの空音さんという人、少し若いが2つ目のスクリーンに映っていた女性に見える。

 1つ目と2つ目のスクリーンは何を意味しているのだろうか。


 スクリーンでは紫伊香と穂乃果がその場に残り、残り2人は後ろの方に走って行くようだった。

 何が起こっているの?


『穂乃果、危なくなったら私を気にせず逃げてね』


『そんなことできない!』


『私は簡単に死んだりしないから!』


 紫伊香はそう言い穂乃果に微笑んでいた。

 画面越しでも紫伊香の優しさが伝わってきた。

 少し嫉妬してしまう。


「あいつは!!」


 そこには議会の中心人物で私とエリー、そしてローラまでも死に追いやったゼルフィルが映っていた。あまり歳をとっているようには見えなかった。

 30歳ほどで、身長は170cm、髪の毛を白く染め上げている男だ。


 その両隣には全身が所々光沢を帯びた紫色の鎧のような物を身につけている人間がいた。

 いや違う、人間では無い、顔を見て確信した。

 こいつらは人間というより化け物と呼ぶのが相応しいだろう。だとするとあれは鎧じゃなく皮膚だろうか。


『なんだ貴様?』


『それはこっちのセリフだ! お前は誰だ』


 紫伊香はゼルフィルを知らない?

 もしくは覚えていない?

 かなり印象的なはずだから記憶が抜け落ちているのだろう。


『まあ、いい。死ね』


 ゼルフィルはブラックチェーン(細胞を壊す毒)を紫伊香に向けて放った。

 あれは毒を帯びたマナが体内に広がり、一瞬にして死に至らしめる闇属性の魔法だ。


『ん? お前も魔法を使えるのか?』


 紫伊香は容易く魔法を相殺した。


「流石紫伊香!」


 私は一安心した。


『ちっ、まあいい、お前ら好きにしろ』


 ゼルフィルがそう言うと両隣の化け物が消えた。

 正確には高速で紫伊香の方へ向かった。

 私の目では捉えられるが、紫伊香はともかく、穂乃果は可能なのだろうか。


『止まれ』


 紫伊香がそう言い上級魔法を行使した。

 腕を鋭い刃に変形させた化け物2体が、腕を振り上げたところで何もできず固まっていた。


『なんで、地球人が……』


 化け物の1体が、蝉の鳴き声と機械音を混ぜたような不快な声でそう喋った。


『関係無い。こんなに無害な人間を殺めたんだ。死ね』


 そう言いあっけなく化け物2体は死んだ。


 普段ある優しさ全てを捨てた冷徹さを感じた。

 この化け物達はどれだけの人間を殺したのだろうか。

 紫伊香は時間を戻して救わないのだろうか。


『次はお前だ! 殺してやる!』

 

『地球に上級魔法を使えるやつがいるとはな、まあいい』


『待て! なんで動ける!』


『お前だって動けるだろ? そういうことだ』


『待て!』


 紫伊香を無視してゼルフィルは自分で作り出したゲートから消えた。

 リカネアか地球のどこかにある基地にでも帰ったのだろう。


『穂乃果もみんなも大丈——イヤアァァァ!』


 紫伊香が後ろの方を見ると、穂乃果も他2人も、一般人も大勢死んでいた。

 画面越しじゃ何が起きたか分からない。どうして、何が起こったのだろうか。


『ダメだ、やっぱり戻せない……なんで……』


「戻せない? あ」


 そこでスクリーンの映像は消えてしまった。

 時間を止める事はできても時間を戻せないのだろうか。

 上級魔法を使えたため、時間を戻す前にあった呪縛の影響では無いだろう。


「あの映像は一体何! どうして私に見せるの! 誰か答えて!」


 あの衝撃的な映像と、この状況に私は苛立っていた。

 目の前で惨劇が起きているのに、それを見るだけで何もできない。

 

「うう、むしゃくしゃする、何もできないなんて……」


 ストレスからなのか、また変な想像をしてしまった。

 あんな映像を見た後なのに。


 ああ、もうどうとでもなれ。

 誰も見ていないとは思うが、一応周囲の空間に認識阻害魔法をかけた。

読んでいただきありがとうございます!

愛する人を見るだけで助ける事ができない状況って辛いですよね。


ぜひ、面白い、先を読んでみたいと思っていただけましたら、リアクション、ブックマーク、コメント等していただけると励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。