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前世の記憶を手に入れた女子高生は、終わりを迎える地球で世界と幼馴染のどちらを選ぶ  作者: 茉莉レイ
第二章

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第57話 心は1つじゃ無い

「はあ、疲れた」


 私は家に帰りすぐ横になった。

 次々と対処すべき問題が降りかかり、肉体的にも精神的にも疲れてしまった。


 (そら)()から最初に話を聞いた時は難病の類だろうと思っていたが、リカネアの術者が絡んでいるとは思いもしなかった。

 

 時間を戻す前は、空や建物に時空の亀裂が入っていた。

 しかし現在の世界でニュースなどを調べても、過去にそんな事が起きたような話は無かった。


 どうやってバレないように地球人に危害を加えたのだろうか。

 この前の全国放送での人的被害は最近のもののようだった。

 瑠夏(るか)ちゃんだけなのか、それとも他にも同じような犠牲者がいるのか。

 政府はどこまで知っているのだろうか。


「私の頭で考えられる限界を超えちゃう……」


 情報を処理しきれず、頭がパンクしそうになったため難しい事を考えるのをやめた。

 少し寝てもいいが、眠くはない。

 

 スマホを開き、癒し動画を見る事にした。


「あ、あれ? あ、そっか」


 私が時間を戻す前はショート動画という30秒から1分程の短い動画を次々と見ていた。

 しかしそこから3年戻った今、まだショート動画という類は流行っていない。

 仕方なく、動物がご飯を食べている普通の動画を見る事にした。


「あはは! この子可愛い〜!」


 ハムスターが一生懸命ブロッコリーやにんじんをモグモグと食べていた。

 口いっぱいに詰め込み、頬が膨らみ、顔の大きさが2倍ほどになっていた。


 ああ、癒されるな、こんな動画を見たり、何も気にせずに遊びたいな。


「あ、あれ?」


 スマホの画面に水滴が落ちた。

 気づかないうちに泣いていたのだ。

 次から次へと、止まる事なくこぼれ落ちた。


「お、おっかしいな〜何でだろう。べ、別に悲しいとかじゃ無いのに」

 

 そうは言ったが頭では分かっていた。

 私だって普通のJKライフを送りたい。まあ今は中学生だけど。


 エリーの心もあるが、紫伊香(しいか)の心もある。

 体は1つだけど、心まで1つじゃ無い。


 地球とか、大切な人とかを守りたい。

 もちろんその気持ちもある。

 けど、この責任から逃れられるならそうしたい。

 他の大人達がどうにかしてくれるならそれでいい。


「違う、そうじゃない! これは、私が、私のせいで! 私が原因なんだよ……!」


 紫伊香は拳を握り締め、枕に叩き込んだ。

 リカネアが攻めて来る以上、地球の人達に原因は無い。全ては自分のせい。紫伊香はそう考えていた。


「いっそ、私の手で——」

 

 自分で自分の頬を強く叩いた。


「はあ、何馬鹿の事言ってるんだろ。冷静にならないと」


 深く深呼吸した。


 少し落ち着いてきた。

 泣き喚いたり、暴れたりしたせいで、少し疲れた。

 さっきまでは眠く無かったが、寝てもいいだろう。


 お母さんが帰ってきたら、晩御飯できたよと起こしてくれるだろう。





「——え? し、紫伊香? ここどこ?」

 

 そこはただ暗く、どこまでも長く続くような道だった。

 私はマナを使いきり、紫伊香を過去に飛ばした。

 マナだけじゃ足りないと分かっていたため、何か代償があると思っていたがそれがこれなのだろうか。


 私はさっきまでの事を覚えている。

 名前は(あお)()(りん)()で前世ではサイカ・ウィローだった。地球最後の日、歴史を変えるために幼馴染の風山(かざやま)紫伊香を過去に送った。

 

 私は死んでしまったのか、それとも知らないどこかに飛ばされたのか、何も分からない。


「感覚はあるな」


 頬を引っ張ったり、太ももを叩いたりして確かめた。

 死んではいなそうだ。

 つまりこれは実在する空間だと考えられる。


 どこまで歩いても暗いままで、変化を感じられない。


「あ、そうだ」


 自分が魔法を使えるという事を忘れていた。

 光の魔法を使いあたりを照らした。


「何、これ……」


 そこはただ平面的に広い空間では無かった。

 確かに横には遥か彼方まで同じ景色だった。

 しかし、上を見上げると巨大なスクリーンのようなものが4台、私のいる場所を囲い追尾するように動いていた。

 天井は無いのか、遥か遠くにあるのかはここからじゃ見えなかった。


 とりあえず、状況を確かめるために上へ行こう。


「あれ?」


 魔法を使い上へ行こうとしたが、景色が変わらない。

 下を見ると地面から高さ50cm程のところから動いていなかった。

 正確にはそれ以上動く事ができなかった。

 

 どうやらここでは歩く程度の事しかできないそうだ。


「こんな変な場所で時間を潰す訳にはいかないのに……」

 

 今すぐ紫伊香の元に行かないといけない。

 

「もしかして……」

 

 嫌な想像をしてしまった。


 紫伊香を過去に送り、そこで何も変えられなかった場合は、一体どうなってしまうのだろうか。

 もしかしたらこれは全てが終わった後で、私は今からリカネアの何者かに人体実験でもされてしまうのだろうか。


 いや、これは考え過ぎだ。

 過去に送ってすぐ未来が変わるといった単純な話では無いのだから。

 そもそも私の幼馴染の紫伊香であり、フォールの最強リーダーエリーなんだから失敗するはずない。

 きっと上手くやってくれているだろう。

 

 紫伊香に関しては一度心をスッキリさせる事ができた。

 問題は私の今の状況だ。

 何が起こっているか見当もつかない。


 そんな事を考えていると、スクリーンの1つが明るくなった。

読んでいただきありがとうございます!

青瀬琳寧ちゃん久しぶりの登場です!


ぜひ、面白い、先を読んでみたいと思っていただけましたら、リアクション、ブックマーク、コメント等していただけると励みになります!

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