第53話 風邪を治すためのお見舞い
4人で集まってから2日経った。
「おはよ〜穂乃果」
「おはよう紫伊香! なんかテンション低いね?」
「うん。ちょっと寝不足でさ」
「大丈夫?」
「なんか2日連続で悪夢見てさ」
「どんなの?」
私は穂乃果に夢の内容を話した。
顔は靄がかかり、誰かは分からなかったが少女だった。
そんな少女がただ私の名前を呼んで泣いていた。
『紫伊香、苦しい……私、もう嫌だ助けて……』
そんな事の繰り返しだった。
「うわ〜なんかそれ怖いね」
「これは何かのメッセージだったりするのかな?」
「考え過ぎだよ! 夢は夢なんだから!」
「あはは、そうだよねありがとう」
私は空音の話を思い出した。
そういえば、時間を戻す前の私を夢で見てたんだっけ。
夢は夢ね……
あ、そういえば。
「凛兎君はどうしたの?」
「あ〜なんか風邪ひいちゃったみたいだよ?」
「え、そうなの! なんで穂乃果だけ知ってるの?」
私はそう言い穂乃果の顔を覗き込んだ。
「え、いや、きっと紫伊香に心配かけたくなかったんじゃないかな?!」
顔を赤くしながらそう言った。
「ふ〜ん。友達なんだからそんなの気にしなくていいのに。放課後お見舞い行こっか!」
「うん! いいと思う!」
穂乃果も賛成してくれた。
お見舞いといっても魔法で治すだけなんだけどね。
学校が終わり凛兎君の家にお見舞いに来た。
「えっと、どうして空音がいるの?」
なぜか空音が家の前で立っていた。
「私だってお見舞いしたいもん〜!」
「はあ〜どこから情報を手に入れたんだか……」
「内緒!」
そう言い空音は口元に人差し指を当てていた。
「まあいっか」
「そんな怒らないでよ〜! 沢山甘いものとか凛兎君が元気になりそうなもの買って来たからさ〜!」
よく見ると袋のようなものを持っていた。
私と穂乃果は手ぶらだったが、空音は違った。
「へ〜空音もそういうとこあるんだ!」
私は少し関心した。
「あは、しーちゃんに褒められちゃった!」
インターホンを押すと体調の悪そうな凛兎君が出てきた。
「みんな来てくれてありがたいんだけど、移しちゃうから帰って」
「大丈夫大丈夫! 私に任せてよ!」
私はそう言い家の中に入った。
「お邪魔します」
「お邪魔するね〜!」
それに続いて2人も入った。
「はあ、分かったよ……」
凛兎君はなす術なしといった様子だった。
部屋に入れてもらった。
男の子の部屋は初めてだ。なんか緊張してしまう。
きっと凛兎君もこんな気持ちだったのだろう。
「私ね、普通の風邪くらいなら簡単に治せるんだ!」
「え?」
3人は驚いていた。
「もしかして紫伊香にできない事って何も無い?」
穂乃果がそう聞いて来た。
「ある程度の事はできるけど、力を使った分だけその代償があるからね」
「代償?」
「時間を戻したりする時、マナの量が足りない場合は寿命とか、記憶とかを代償として失ったりするの」
「そ、そうなんだ……」
「まあ、風邪を治すくらいだったらなんて事ないから安心して!」
穂乃果と凛兎君はホッとしていた。
空音は何だかソワソワしているようだった。
「はい! これで良し!」
私は中級魔法、天使の泉を使った。
「凄い! さっきまでの体のだるさが嘘みたいに消えた!」
「これはね、体に起きた異常を除去する魔法なんだ!」
「本当にありがとう!」
「ねえ——」
ずっとソワソワしていた空音がついに口を開いた。
「しーちゃんの魔法って、どのくらいの病気なら治せるの?」
「え? どうだろう、上級魔法を使えば基本何でもできるだろうし。どうしたの?」
「実は私の友達でシェイルって子がいて、まあ本名は早乙女瑠夏って言うんだけど。ずっと昏睡状態なんだ」
空音は俯きそう言った。こんな辛そうな空音は初めて見た。
かなり大切な友達なのだろう。
「ずっとっていつから?」
「1年前。その子はハッカーとかじゃなくて、ネットで知り合った友達で、いつも一緒に遊んでいたの。けどある日一緒に遊んでいる時、ちょっと私がトイレに行ってる間に倒れちゃってて、石のように固くなって動かなくなってたの」
「お医者さんはなんて言ってたの?」
「原因不明だってさ。私の裏のネットワークを使って調べたり、有名な医者にコンタクト取ったりしたけど、結局意味が無かった」
「そっか。それは辛いね。私に出来るかもなら試させてよ!」
私がそう言うと空音は顔を上げて、笑顔が戻った。
「本当! しーちゃん大好き〜!」
「ちょっと、抱き付かないでよ!」
私は空音を引き剥がした。
「魔法少女紫伊香って誰に対しても優しいね!」
「流石は僕らのリーダーだね!」
「もう2人まで私をからかわないの!」
まあ元気なのはいい事か。
「それで今から向かう? もう凛兎君は大丈夫だろうし」
凛兎君は無言で頷いてくれた。
「それがね一週間に1回しか会えないんだ」
「え?」
「他の日は治療とかを諦めずに模索してもらってるからさ、木曜日だけ会えるの」
「1年間も? 費用凄いかかってるんじゃない?」
「まあ、月数十億くらいね。まあホワイトラット様にとって端金のようなものさ!」
何でもないかのように言っているがそれでも大金だ。
それほどまでに想える友達って、少し羨ましく感じた。
「そっか、じゃあ木曜日行ってみよっか!」
穂乃果と凛兎君も頷いていた。
「持つべきものは最強魔法使いしーちゃんだね!」
「すぐ調子乗るんだから! まあ別にいいけど」
最強魔法使いと言われて少し嬉しかった。
「あれ〜? 今日甘いね〜?」
「うるさい! 凛兎君も大丈夫そうだしさっさと訓練行くよ」
「待って!」
空音がそう言った。
「え? どうしたの?」
「せっかく凛兎君を元気付けようと思って買って来たものあるんだし、楽しんでから行こうよ〜!」
私の言葉に空音はそう返し、袋の中から何かを取り出した。
ケーキや、ジュースが出てきた。
おお、いいじゃん!
そして次に目を疑うものが出てきた。
「何これ?!」
私は驚いて叫んでしまった。
「え? コスプレだけど?」
そこには少し露出のあるナースコスが3つあった。
読んでいただきありがとうございます!
ぜひ、面白い、先を読んでみたいと思っていただけましたら、リアクション、ブックマーク、コメント等していただけると励みになります!




