第50話 コインランドリーとタワマン
「じゃあそろそろでよっか!」
「確かに出たほうが良さそうだね」
私の言葉に穂乃果が頷いてくれた。
時刻は13時半を過ぎており、空音が送ってくれた住所はここから15分ほどの距離であった。
「久しぶりのファミレス楽しかった! 2人のおかげ!」
私は店をでながらそう言った。
「私達もだよ! ね?」
「うん!」
2人も同じ気持ちのようで嬉しかった。
集合時間に遅れないよう空音の隠れ家へ向かった。
「本当暑いね! マップ上だとここ曲がったらあるみたいなんだけど」
スマホからは目的地に到着しました、という音声が流れたが家のようなものはない。
あるのはコインランドリーと自動販売機だけだ。
「あれ、おっかしいな? ここであってるはずなのに……」
私がスマホと睨めっこしていると声が聞こえた。
「しーちゃんこっち!」
「あ! 空音! ここであってるよね? 何もないんだけど」
「少し特殊なんだ! 私の家は地下だよ」
空音はそう言うとコインランドリーの方へ向かい、私たちを手招きで呼んだ。
「あの人が例の? というかしーちゃんて?」
穂乃果がそう聞いてきた。
「そうあの子が空音! 勝手にあだ名つけられただけだよ!」
「そうなんだね。イメージしてたのと全然違った。普通の女の子に見える」
「空音自身はただの高校生だからね! JKってやつ!」
穂乃果の表情は少し安堵しているように見えた。
相当ハッカーに対してヤバいイメージを持っていたのだろう。
私達3人は空音の元へ向かった。
「ここをね、こうするとね……」
空音はそう言いながら、5台あるうちの右から2番目の洗濯機にコマンドのようなものを打ち込んでいた。
「これで良し!」
空音はそう言ったが何も起きない。
私はてっきりコインランドリーに隠し通路があり、それが出てくるものかと思っていた。
「あれ、隠し通路出てこない」
「隠し通路? コインランドリーに? 置けないよ!」
空音は笑いながらそう言っていた。
じゃあわざわざなんのためにと私は思った。
「そのまま着いてきて」
空音はコインランドリーから出ると、私たちが歩いてきた方向とは逆に向かった。
「ねえ、紫伊香。本当に大丈夫なんだよね?」
空音の意味不明な行動に、先ほど安心したばかりの穂乃果の顔に再び不安が映し出されていた。
確かにこの行動を見るとただの変人にしか見えない。
私も何をしているのか分からなかった。
「とりあえず着いていってみよ!」
「分かった」
内心行きたくないだろうが、私の言葉を信じ着いて来てくれた。
凛兎君は何も言わず着いてきてくれた。
3分くらい歩いた後、タワーマンションのような所についた。
これはよく学校から見ていたやつだ。
近くで見たのは初めてだった。
「ここ!」
空音は目の前のそれを指差した。
「え?!」
私達3人は声を揃えてそう言った。
ここが本当の目的地だったとは。
中に入り、エレベーターに乗り込んだ。
空音は再びコマンドのようなものを打ち込んでいた。
「何をして——」
私は空音にその意味を聞こうとしたと同時にエレベーターが動き出した。
ボタンを見るとこのマンションはB5F、つまり地下五階まであるそうだ。
エレベーターはそのまま地下へ降りて行き、B5Fに到達した。
しかし、まだ止まらず下降を続けた。
表示はB5Fのままだが、秒数的にそれより3階分くらい下だろう。そこで止まった。
ドアが開くとそこにはテレビでしか見たことないようなリビングがあった。
地下のため綺麗な景色とかはないが、とても広かった。
私の家の部屋全て足したとしてもこの広さには勝てないだろう。
「ここが本当の隠れ家?」
「そう!」
私の問いかけに自信満々で空音は答えた。
「さっきのコインランドリーはなんだったの?」
「まあ2段階認証みたいなやつで、向こうとこっちの両方パスワード入力しなきゃなんだよね」
なるほど。こういうところでもセキュリティ面しっかりしているのか。
「じゃあ、とりあえず3人ともソファ座ってよ!」
目の前には大きな横長の黒いソファが向かい合わせに置いてあった。
合わせて10人は座れるだろう。
私達3人と空音が向かい合う形で座った。
「今日は3人とも来てくれてありがとう! しーちゃんに聞いたかもしれないけど、改めて自己紹介させて!」
空音は明るい口調でそう言った。
「三城空音18歳! 高校3年生だよ! そして、しーちゃんの彼女で〜す!」
「はあぁぁ?!」
私達3人は声を揃えそう言った。
「ちょっと2人とも勘違いしないでよね?! あの人が勝手にそう言ってるだけで、私は——」
「あはは、しーちゃん凄い焦ってて可愛いね!」
「変なこと言わないでよ! 勘違いされちゃうじゃん!」
「女の子同士は嫌〜?」
「そうじゃなくて——」
私が空音に言い返そうとしていると、
「し、紫伊香違うよね?」
と穂乃果が顔を赤くさせながら聞いてきた。
「え! 当然じゃん! 信じなくていいから!」
私が年上の高校生と同性同士で付き合っていると思い、驚いてしまったのだろう。
瀬山君は何も聞いてこなかったが、同じく驚いているように見えた。
「この子達ピュアなんだから、変なこと言わないでよね?」
「その言い方だとしーちゃんはピュアじゃないみたいだね!」
「あ〜もう! 別になんでもいいです!」
空音はどこまでも揚げ足を取ってくる。
この前はここまででは無かったのだが、緊張しているのだろうか。
「じゃあ次、私たちが自己紹介しますね」
穂乃果がそう言った。
「あ〜大丈夫大丈夫! もう全部知ってるから!」
「紫伊香から聞いたんですか?」
「ううん! 全部調べた! 瀬山凛兎君と飯島穂乃果ちゃん!」
穂乃果と凛兎君は苦笑いをしながら引いていた。
これじゃあ空音の第一印象最悪じゃん……
読んでいただきありがとうございます!
他作品の執筆を進める都合でこちらの作品は2,3週間ほど休載させていただこうと思ってます!
連載再開した後は更に力を入れて書いていくつもりです!
ぜひ、楽しみに待っていただけると幸いです!
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