第49話 信頼関係あってこその仲間じゃん!
私は家に帰ってすぐ空音に、
『土曜日、ここに集合! 私の仲間に会ってもらいたい!』
というメッセージと共に住所を送った。
そこは穂乃果のマナ回路を開いた空き地の住所である。
「ここでなら秘密の会話をできるよね!」
本当なら誰かの家で集まることがベストであったが、どの家にも親がいるため別の場所で集まるしかなかった。
空き地といえど人が入ってくる可能性もある。
不良の溜まり場になっていたこともあるため、妨害魔法を使う必要があるだろう。
メッセージアプリの通知音が鳴った。
空音からだろうか。
「あ、違う。瀬山、じゃなくて、凛兎君からだ」
急に名前呼びにするのも慣れないな。
メッセージの内容は、今の髪と黒い髪どっちの方が良いと思うといったものであった。
「急にどうしたんだろ? あ! きっと穂乃果にカッコよく見せたいんだ!」
私は凛兎君は穂乃果が好きで、穂乃果は凛兎君が好きなものだと考えていた。
きっと告白はしていないだろう。
つまり両片思いというやつだ。
「2人ともい〜な〜青春だな〜!」
私は恋のキューピットにならないと!
「あ、返信しないと! 今のままが一番だよ! っと」
既読無視しないようにすぐに返信した。
穂乃果の好みは分からないが、きっと今の髪色がいいはずだ。
私は黒髪が好きだが、赤髪が似合うならそっちでもいいだろう。
彼は違和感なく似合っていた。
ありがとうとだけ返ってきたのを確認しスマホを閉じた。
再び通知音が鳴った。
今度こそ空音であった。
『わざわざ外じゃなくても、私の家そっちにもあるからそこに集まるのは?』
そう来ていた。
至る所に家を持つ高校生ハッカーとは恐ろしいものだ。
『分かった』
私はそう返信した。
するとすぐに既読が付き、メッセージが届いた。
『良い感じの2人にもよろしくね!』
私は人数も、その詳細も言ったことがない。
きっと私のスマホをハッキングして中身を見たのだろう。
「こういうのって無しだよ……お互い信頼関係あってこその仲間じゃん……」
勝手に見られていたことが悔しかった。
頑張って信用しようとしている私の気持ちを無視されているように感じた。
まあ今更仲間になるの無しと言っても仕方がないため、会った時そういう事を止めるよう直接言う事にした。
「ハッカーって本当恐ろしいな」
何も異常事態は起こらず土曜日を迎えた。
現在は朝10時で紫伊香は朝起きたばかりだ。
「えっと15時くらいから集まるんだっけ?」
カレンダーアプリを開いた。
「あ、違う14時からだった危ない危ない」
私も穂乃果も凛兎君も全員が中学には徒歩で通える距離であった。
そのため、空音の隠れ家へは3人で集まった後に行く事にしていた。
穂乃果は優等生で、凛兎君は緊張しがちだ。
高校生ハッカーと対面して仲良くなれるかはあまり分からなかった。
最初から仲良くならずとも、政府が持つ情報を手に入れるという共通の目的があれば自然と絆が強くなるだろう。私はそう思っている。
家で大人しく過ごすのも退屈であるため、昼頃に集まれないか2人に電話で聞いてみた。
問題なく了承してくれた。
12時に近くのファミレスで集合する事になった。
そろそろ家を出る時間か。
「別にただ仲間として4人で会うだけだしこんな格好でいっか」
ジーンズにTシャツ、帽子といったラフな格好に着替えた。
「お母さん行ってきます!」
「夜ご飯は家で食べる?」
「多分そうする!」
「また詳しく分かったら教えて!」
「は〜い!」
「行ってらっしゃい!」
「行ってきます!」
私はそう言い外に出た。
今日の空は雲ひとつない青空であった。
日差しと夏の暑さが混ざりすでに汗をかきそうであった。
日傘を差し集合場所のファミレスへ向かった。
「お待たせ〜!」
2人は既に着いていた。
「私も今来たところだよ!」
「僕も」
2人はそう言った。
「暑いし中入ろっか!」
私の言葉に頷いてくれ、3人で店の中に入った。
「いらっしゃいませ〜! 何名様でしょうか?」
「3人です!」
「お好きなテーブル席へどうぞ〜!」
優しそうな女性の店員さんがそう言ってくれた。
私達は端の方のテーブル席に座った。
「まだ時間あるしさ、ドリンクバー頼まない?」
穂乃果がそう言ってきた。
「賛成!」
「じゃあ僕も!」
私と凛兎君もドリンクバーを頼む事にした。
よく見るとまだこの時は注文が口頭注文であった。
時間を戻す前はファミレスはどこもタブレットかQRコードからの注文であったが、3年前は違ったらしい。
「私と凛兎君は食べるもの決まったよ! 紫伊香はどうする?」
色々と考えている間に決まっていたらしい
「えっと〜、ん〜、あ! これにする!」
夏限定の冷やし中華があった。
暑い夏にはピッタリだ。
「夏っぽくていいね!」
全員の注文が決まり、ベルを押して注文した。
みんなで食べられるよう頼んだ山盛りポテトが先に届いたため、ジュースと共に食べた。
私はコーラで、穂乃果はメロンソーダ、凛兎君はウーロン茶を飲んでいた。
案外ジュースは飲まないのかもなと思った。
「近くに家があるって、本当にその人大丈夫なの?」
穂乃果が聞いてきた。
この前屋上でそこまで話せていなかった。
「仕事柄沢山あるらしいよ。隠れ家」
「それって仕事なんだ」
穂乃果はそう言い、凛兎君と笑っていた。
ハッカーの認識が私とは違うのだろう。
「とりあえず今日は私を信じて! いざという時でもなんとかできるし!」
私が普通の中学生なら安心してくれないだろうが、前世のことを話しており、魔法も見せたことがあるため大丈夫だろう。
「紫伊香さんを信じるよ」
「もちろん私も!」
良かった。
凛兎君は分からないが、穂乃果との絆は時間を戻す前よりも強くなっているのを感じた。
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