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前世の記憶を手に入れた女子高生は、終わりを迎える地球で世界と幼馴染のどちらを選ぶ  作者: 茉莉レイ
第二章

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第37話 記憶に存在しない赤髪の少年

 朝起きてスマホを開くとニュースやSNSの話題はただ一つとなっていた。

 

 重大な事実についての発表を行うことが閣議決定され、今夜18時に全国同時中継で行われるそうだ。


 私は息を呑んだ。


「ついに何かが公表されるのか……」


 SNSを開くと驚くほどそれに関する投稿しか流れてこなかった。

 不安や、疑問、それと早く公開しろという怒りなどもあった。


 それに関する感想だけでなく、当然デマや陰謀論も溢れかえっていた。


 宇宙人が侵略してくるとか、隕石が衝突するとか何の根拠もない物ばかりだ。


「まあこんなことあっても今日も学校行かないとだしな」


 早く知りたい気持ちを抑え、制服に着替えた。

 用意してくれていた朝食を食べ家を出た。



 何だか教室の中はざわめいていた。


「おはよう穂乃果!」


「あ、おはよう紫伊香」


「なんか今日の教室賑やかだね」


「あんなニュースがテレビでもネットでも放送されたからね」


 当然みんな見ているか。

 どのテレビ局もそれしか放送してなかったらしいし、インターネット上もその記事ばかりだったもんな。


「まあ、確かに仕方ないよね。非日常的でみんな楽しいんだろうね」


「紫伊香は何か知ってるの?」


「知っていると言えば知らないし、知らないと言えば知らないかな」


「どっちなのそれ」


 穂乃果は口元を引き攣り苦笑いをしていた。

 別に隠すことじゃないかと思い、怪しい記事について話した。


「なんか不気味だね、前世ではこんなことになってなかったんだよね?」


「そう! そうなんだよ、それが一番気がかりなんだよね」


 過去に戻ったとしても私の知っている過去じゃない以上、対応できるか分からない。

 良い点としては穂乃果を魔法使いに鍛えられそうなことだ。


 孤独に戦うのは不安だし、心細い。

 徐々に仲間を増やしていければ、そんなことを考えていた。


「今日は訓練やめて一緒に発表見ようよ」


「一緒に? どこで?」


「私の家に泊まってもいいよ!」


 突然のことで驚いた。

 穂乃果とは仲が良いが2人でお泊まりなどはしたことない。

 

「お母さんとか許してくれるの?」


「今日お父さんもお母さんも出張で家にいないから大丈夫!」


 親がいない時に勝手に泊まるのは申し訳ないように感じるが、何の発表がされるか分からない時に1人でいるのは不安なのだろう。


「分かった! 親がいなくて不安な穂乃果のために泊まってあげるよ」


「べ、別に怖いとかじゃないから!」


「怖いなんて私言ってないけどね」


 冗談まじりに私がそう言うと穂乃果は顔を赤くしていた。

 あんな冷静で真面目な穂乃果でもちゃんと中学生らしいじゃん。


 妹のように接してもいいが、同じ年齢の私にそう扱われることは嫌だろう。

 まあ、バレない程度にお姉さんしてやるか。


 そう心の中で決めた。



 一通り授業が終わり、昼休みになった。


「じゃ、お昼食べようか!」


「うん!」


 私はいつも通り穂乃果を誘い、ご飯を食べようとしたが、


「ちょっと待って」


 誰かが呼び止めた。


「ん?」


 振り向くと私より少し身長の高い男の子が立っていた。

 見たこともない顔で、赤色のブリーチがかかった髪色だ。

 ちょっとカッコいいかも。


「えっと……」


 何か言いたそうにしていた。


「誰だっけこの人?」


「紫伊香って他の人に興味ないの? 同じクラスの()(やま)(りん)()君だよ」


「え? あははそうだった! 瀬山君だ!」


 急いで誤魔化した。

 

 確かに奇抜な髪色の人がいるとは思っていたが、同じクラスだったのか。

 というか、時間を戻す前の中学時代にこんな人いたっけ?

 いや、絶対いなかった。私は全員の名前まで完璧に覚えてはいないが顔を見たらすぐに分かる。

 

 時間を戻してから1週間ちょっと経っていたが、当然のように空気に溶け込んでいたため気づかなかった。


 そんな怪しい人間が何の用だろう。


「それでどうしたの? 私達に何か用?」


「この前見ちゃったんだ」


 何のことだろう。公園で不良達をなぎ倒したことかな?

 だとしたら恥ずかしいな。


「あ、あれはさ! 私格闘技やってて、反射的にというか! ね!」


「え? 何のこと?」


 瀬山君という人は、首を傾げ、口をしかめ困っている様子だ。

 私は勝手に勘違いし変な言い訳を聞かせてしまったことを恥じた。


「えっと、それじゃあ何を見たの?」


「2人が空を飛んでいるとこ」


 空を飛んでいる?

 いつのことだ?

 私は記憶を高速で辿った。


「——あ!」


 しまった。穂乃果に魔法の存在を見せる時、空を飛んでいた。

 つまり非科学的現象を見られてしまっていたのだ。

 屋上なら誰にも見られないと思っていたのに。

 

 これについて言い訳を考えても浮かばない。


「あれって何なの? 超能力?」


「どうやって見たの?」


 私は瀬山君の質問を遮るように質問で返した。


「学校遅刻して行ったらなんか、屋上の上に女子が浮いてて」


 周りに認識阻害をかけておくべきだった……


「それで何? 私達を脅そうとしてるの?」


 この前の出来事もあり、男に対して少し敵意が生まれていた。

 そのせいか少し気迫のこもった一言を発してしまった。


「ちょっと紫伊香何でそんなに怒ってるの! 瀬山君驚いちゃってるよ!」


 穂乃果の一言で我に戻った。

 私はきっと鬼のような形相で、逆に脅してしまっていた。

 

 瀬山君は怯えている。私ってダメだなほんと。

 相手は普通の中学生の子供なのだから、私がしっかりしなきゃ。


「ごめんね2人とも。ちょっと冷静さ失ってた」


「僕は大丈夫だよ」


 この子1人称僕なんだ。

 何だか可愛く見えてきた。


「それで私達の元に来た本当の目的は?」


 空を飛んだのを見たことを報告しに来ただけではないだろう。

 何か明確な理由があるはずだ。


「もしそれが超能力だとするなら、僕も使えるんだ」


「え——」

 

 超能力は魔法の事だろうが、瀬山君自身も使えるという衝撃の告白に驚かずにはいられなかった。


 

読んでいただきありがとうございます!


ぜひ、面白い、先を読んでみたいと思っていただけましたら、リアクション、ブックマーク、コメント等していただけると励みになります!

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