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前世の記憶を手に入れた女子高生は、終わりを迎える地球で世界と幼馴染のどちらを選ぶ  作者: 茉莉レイ


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第24話 私は臆病だ

「リカネアが地球を狙う理由って中心部にある資源が理由って言ってたよね?」


「そう。けど、今地球から人が連れて行かれた状況を踏まえると目的がよく分からなくなってきた」


 琳寧の言う通りだった。


 わざわざ地球から人を消して、資源を取って、また人を戻すなんて丁寧なやり方をするはずがない。

 私の前世の記憶だけなら、そう信じることができたかもしれない。


 しかし今は違う。

 異空間で対峙した敵や、謎の上位存在。

 これらは前世の記憶に存在しなく、なぜあんなクリーチャーが生まれているのかは分からなかった。


 「待って、そう言えばマナが枯渇してやばいみたいなこと手紙に書いてなかった?」


 琳寧は手紙でそう書いていた。


 「そうだよ。けど、なぜか16時ごろに23区外で強大なエネルギーが発生して、そこで地球とリカネアは完全に繋がって、マナが流れ込んできたの」


 私には大いに心当たりがある。

 異空間から出てきた時間は大体それくらいであった。


 どうしてそれによって繋がってしまったのかは分からなかった。


「その23区外でのエネルギーに心当たりがあるからそれについて聞いてくれる?」


「もちろん! 聞かせて!」

 

 琳寧の話も聞きたかったがまず最初にこれを話しておくべきだと思った。



 小雪達4人の事や、異空間のこと、さまざまな化け物や上位存在、そしてローラやフォリアさんのことも全て話した。


 ローラの名前を出したあたりから、琳寧は口を押さえ、えずきながら啜り泣いていた。


「ローラ……ごめん……」


「分かるよその気持ち。私も同じだった」


 琳寧の気持ちが痛いほど分かる。

 ローラは私達二人が殺したようなものだった。


「——というか、どうしてローラが生きてるの?」


 琳寧は深呼吸をした後、冷静さを取り戻し聞いてきた。


「私にも分からない。あの時会ったのは多少の外見の変化はあったがローラだったし、私達のことも覚えていた。けど、私の知るローラとは違った」


 ローラは人懐っこくて、みんなの妹のような存在だったため、あの時の口調を思い出して虫唾が走った。


「ローラの見た目をした別人?」


「断定はできない。けどそうであって欲しいと願ってしまうね」


 その人の記憶と見た目を持っている場合、本人かどうか分からないんじゃないかと不安になった。


「その出来事が原因で異次元同士が繋がって、マナが流れ込んだ理由は謎なんだよね」


 琳寧も全部を分かっている訳ではないらしい。


「渋谷みたいに異空間のゲートを生み出すことは琳寧もできるの?」

 

「どうだろう。次元開通と仕組みとしては同じだと思うからできないことは——あ!」


 琳寧は急に何か思い出したかのように、顎に手を当てていた。


「琳寧?」


「分かった!」


 琳寧はそう言って私に目を向けた。


「紫伊香あの中で、何体も化け物みたいなの倒したって言ったよね?」


「うん」


「それが原因なんだと思う」


「え?」


 言っている意味が分からなかった。

 それでは私が倒していったことにより、地球と繋がってしまったかのようだ。


「その異空間内部の状態は、その化け物達が核となりバランスを保っていたんだ。上級魔法を使う人間が入ったことによってイレギュラーが発生したんだと思う」


「内部での変化と次元開通とのつながりがよく分からない」


「そうだったね、ごめん。次元開通の簡単なメカニズムとしては、エネルギーの伸縮を起こすことで調和させていくんだ。そこに接続先の情報を組み込むことで完成する」


 私は琳寧の話を何とか理解をしようと頑張って聞いていた。


「そしてその異空間は、人間の性質を完全に理解するためのものだと私は考えていて、本来なら生存者無しで全員中で死んでいただろう」


 その言葉を聞いて私はゾッとした。


「けど紫伊香の存在がイレギュラーとなり、中で化け物が殺され、生存者が複数出た。つまり、人間の情報も抜き取られ、エネルギー伸縮も頻発してしまった事によって次元開通が成功してしまったんだと思う」


 私は地面に両手をつき、余計なことをしてしまったと落胆した。


 そんな私を琳寧が抱き寄せてくれた。


「紫伊香が悪いんじゃない。私でもきっとそうしたから。だから自分を責めないで」


 琳寧の優しい心にいつも救われている。

 誰もいなくなった世界でたった1人の少女の存在は太陽よりも明るかった。


 そして私は気づいた。

 今なら琳寧に伝えられる。

 私の前世からの気持ちを伝えることができる。


 目の前に琳寧が再び現れてくれたんだ。

 この先どうなるか分からないんだから、今言っておくのがベストだ。


 私は心の中で自分を説得し続けた。


 しかし、本人を前にすると緊張で手が震えてしまう。


「大丈夫紫伊香? 自分を責めなくていいんだからね」


 琳寧はそう言うと私の手を握ってきた。


 私は今にも沸騰したやかんのように心に満たされた蒸気を吹き出しそうであった。

 

「琳寧は何も知らないんだね」


「え?」


 私は琳寧はなんて鈍感なんだと思った。

 前世と合わせたら約20年は一緒にいるはずなのに。


「琳寧は私が好き?」


「もちろん! 当然でしょ?」


 間髪をいれずに答えてきた。

 きっと意味を理解してない。


「え、紫伊香は私のこと好きじゃないの?」


 不安そうな顔で聞いてきた。

 そんな顔も愛しかった。


「ううん。それの真逆だよ」


「好き?」


「ううん。」


「特大好き?」


「ううん。てかなにそれ」


 琳寧の独特な表現に笑ってしまった。

 

 少し間を置いて、意味が分かってなさそうな琳寧が再び質問をした。


「——じゃあ何?」


 私は覚悟を決めた。

 

「愛してるってことだよ」


 3秒ほど無言で見つめあっていた。

 私は恥ずかしさで蒸発しそうであった。


「何言ってるの紫伊香! また笑わせてくるんだから」


 なんと、琳寧は私の愛の告白を冗談だと思い笑っていた。


 私は真剣だった。

 それを馬鹿にされたようで、恥ずかしく、悔しく、悲しかった。


 我慢できずに、小さな子供のように泣いて部屋から出てしまった。


「待って、紫伊香」


 

 またこれだ。

 私は素直になれない。


 前世でのエリーの気持ちも、今世での紫伊香の気持ちも分かっていた。

 私、青瀬琳寧は臆病だ。

読んでいただきありがとうございます!


ぜひ、面白い、先を読んでみたいと思っていただけましたら、リアクション、ブックマーク、コメント等していただけると励みになります!

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