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前世の過ちを今世で活かす。そして君の存在を次元を超えて証明する。  作者: 茉莉レイ


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第21話 元に戻らない絶望が私を襲う

 間違いなくローラだ。しかし全てが違うように見えた。


 金色に薄く輝き向日葵のような情熱を持った目は、血に染まったように赤く、呪いの炎が上がっているように感じた。


 ポニーテールにしていた長く美しい茶髪の髪は、バッサリと切り落とされボブほどになっており、色は雪原の景色に血で線を引いたような赤と白のコントラストであった。


 見た目として違う点が多いが感覚で分かる。

 前世の記憶だがローラとの日々は鮮明に覚えている。


 だからこそローラの最後も……


 紫伊香は目に涙を浮かべ現実を直視できずにいた。


「風山さん? 大丈夫か!」


「し、紫伊香——あれやばいの?」


 亜紀と小雪の言葉は紫伊香に届いていなかった。


 その状況にパニックになった新しく出来た仲間達は、叫びながら逃げ回った。


 それに反応したローラは手を軽く振った。ただそれだけだった。


 次の瞬間逃げ出したうちの半分は一瞬で朽ち果てた。

 残り半分は無傷の人もいれば重傷を負った人もいた。

 

 空中にできた闇の大気が的を射るように心臓突き刺さり、内側から広がった。

 そしてパズルのピースのようにバラバラに散っていった。


 私はまだ現実を受け止めきれずにいた。


「いい加減にしろ!」


 康介が私の頬を叩いた。


「無責任かもしれないが、みんな風山を頼るしかないんだ。お願いだよ……」


 泣きながら懇願する康介のおかげで冷静さを取り戻せた。


「康介ごめんありがとう。そしてみんなもごめん……」


 私の愚かな行いのせいで10人もの命を失ってしまった。

 もうそれは戻らない。戻す術を持っていたとしても今はそれが使えなかった。


 残り半分の生き残った人々に向けられる、闇属性の純度の高い魔法による精神攻撃をギリギリで防いだ。


 ローラはいつも光り輝いていた。そして闇属性の魔法などは使わない。


 許せなかった。これはローラの顔をした化け物だ。


「ローラの顔をしやがって! 許せない! ここでお前を消滅させる」


 ここでこの化け物を消し去り残りみんなを無事に返す。そう考えていた。

 

 しかし最悪なことが起きた。

 

「私のこと知ってるんですか? どこかで会ったことありましたっけ?」


 私の師匠フォリアさんの時と違い言葉を話した。

 しかも話し方全てローラそのものであった。


「お前は何者だ!」


「さっき自分で私の名前言ってたじゃないですか」


「ローラは死んだ。私が殺した」


 ローラの姿の化け物は沈黙の後口を開いた。


「そういうことですか。もしかしてエリーさん?」


 ローラの顔で、声で私の名前を呼ばれることが嫌だった。

 自分を責めたくなってしまう。


「私は生きてますよ? ほら、今こうして動いているでしょ?」


 現状がよくわかっていなかった。

 なぜ死んだはずの人が生きているのか、こうして対話ができているのか。


 話しているうちに本当にローラなのではないかと思い始めてきた。

 だとしたら謝りたい気持ちもあったが、なんの罪もない人を大勢殺した。


 フォールの時も人を殺すことはあったが、大義名分があった。


「ローラだと仮定しよう。なぜ多くの罪のない人を殺した」


 ローラは呆れるような表情を見せた。


「はあぁ? 劣等種どもはリカネア存続の燃料のようなものだろ?」


 口調が変わり、さりげなく重要そうなことを言っていた。


「燃料? 何のこと? 存続って?」


「質問ばっかだなお前は! だからサイカも仲間も失うんだよ!」


 その言葉の意味が分からなかった。

 失うとは前世でのことなのか、琳寧のことについてなのか。


 確かなことは目の前にいるのは私の敵であるということだ。


 天空のタイマーは0:20となっていた。


 後、20分耐えれば終わる。そう思い力を振り絞りローラを消し去る決意をした。


 逃げ出した10人はバラバラとはぐれてしまっていた。

 

 とりあえず3人の元へ行かないよう、間に立った。


「ここで本当のお別れだよローラ」


「そうだね、残念だよエリー」


 闇に対して私は光属性の魔法をぶつけた。


 猛毒が込められたエネルギー弾や、混合魔法の精神消滅魔法などをローラは放った。

 私はそれに対して神聖魔法のゼウス・レゼネルドをぶつけた。


 レゼネルトという人が生み出した中級魔法の1つで、闇属性魔法に対するカウンターのようなもので練度に比例して強化される。


 光と闇が激しくぶつかり合い、空間が揺らいでるようであった。


 私は安心し切っていた。自分の力を過信していた。


 1本の闇を纏った猛毒のエネルギー弾が私の攻撃を掻い潜り、3人の元へ向かった。


 その矢は小雪に直撃しようとしていた。

 それを庇うように康介は飛び出し、康介の腹部を貫通した。


「……った——」


「康介ええぇ!! しっかりしてよ……」


 康介は声が出ずに痙攣していた。

 小雪は目の前の状況を受け入れられなかった。


「クソッ!」

 

 私は自分の慢心さを呪った。


 急いで風と水の魔法を融合させ、ローラにぶつけた。


「ちっっ」


 ローラは怯んでいた。

 その隙に3人の元へ向かった。


「康介……」

 

 着いた時には、康介の右半身は紫に変色し、息絶えていた。


 何度も心配蘇生をする小雪を止めることはできなかった。

 こんな現実を受け入れらるはずがない。


 天空のタイマーは0:10となっていた。


「流石な強さだなやっぱり。上級魔法の使用を防げて良かったよ」


 やはりそうかと思った。こいつかは分からないが、その仲間の誰かが縛っていたのだ。


「減らず口だな。すぐ終わらせてやる」


 全身に雷を纏い、氷と炎を操りながら、近接戦を仕掛けた。

 他の人間に注意を向けさせないために。


 ローラは近接戦がそこまで得意ではなかった。

 しかし私の攻撃のほとんどが防がれていた。


 拮抗した攻防に辟易したのか、ローラは防御を緩め攻撃に傾けた。


 その瞬間お互いの太ももあたりに同時に切り傷がつき、お互い一度距離を空けた。


 その後再び私はぶつかりに行ったが、ローラは逃げるように逆方向に向かった。


 その先には生き延びはしたが重傷を負い、逃げられなかった人が這いずり回っていた。


「ダメ!!」


 これ以上仲間が死ぬのは見たくなかった。


 しかし無惨なことに、弱々しい姿が内側から消滅した。


 天空のタイマーは0:01となっていた。

 1分を切っていた。


「まだまだ楽しめそうだからそのままにしておくよ。またねエリー」


 そう言うと目の前からローラは消えた。


 確認できるのは軽傷の仲間3名に重症者5名。そして千住君と小雪だ。


 残り数十秒が長く感じた。


 後10秒ほどで最初に出てきた謎の存在が現れ不気味な笑みを見せ一言残した。


「今生きているやつは全てなかったこととして、元に戻してやるよ」

 

「ちょ、なにそれ! おい!」


 私の声は届かず、辺りが明るく、白くなってゆき、空間が崩れた。

読んでいただきありがとうございます!


ぜひ、面白い、先を読んでみたいと思っていただけましたら、リアクション、ブックマーク、コメント等していただけると励みになります!

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