基地
機械仕掛けの神が出てきた島を調査するために、龍との戦いで半壊した装備の代わりに予備の装備を着て、真達は、島の基地に降り立った。
「地面、結構特殊だな」斥候の役割を担う真は、地面の確認をするために、自身の背中にくくりつけてある"紺"という仕込み武器で地面を叩いた。
今回は、魔力が十分に回復していない為、普段中々使わないものを使っている。ただ、頑丈さは折り紙付き、トラップでも壊れないだろう。
カーン
金属質な音が響いた。だが、一見すると基地の床はガラスのように透けており、魔導最盛期の文明を感じさせる。
「良いですよ、トラップの危険があるので一応1人ずつ降りてきて下さい」
上に浮くアメノヒスミノミヤに顔をを向けて通信を行った。
「了解です。では、まずは私が行きますね」
通信が終わりしばらくすると、月葉が飛び降りてきた。文字通りロープなしだ。
シュタッ
軽やかな音ともに着地した月葉に、真は月葉から忍者を彷彿とさせられた。十二秘奥の格好は黒が基調で、仕事の内容も含めて余計にスパイとかそういう暗躍者を連想させる。スパイのような格好を着た場合、1番似合っているのは真なのだ。が……因みにそれは女スパイとしてだ。反対に男は、桑原とコレまた真だ。総じて、両方で入る中性的な真氏がいけなかった。
「さぁ、忍者月葉の活躍ごらんあれっす!」
「……そこは、もう少し和装をして言ってくださいよ。今の格好じゃスパイです」少しだけ、呆れたされど笑みを孕んだ声で、真はツッコミを入れた。
とは言え、容赦なくツッコミを入れられた月葉は、少し不貞腐れて「なら、スパイ月葉の活躍をご高覧あれっす」「スパイが見せてどうするんですか」ほのかに笑いながら真はツッコミを入れる。月葉も、楽しげだ。
「さ、2人で調査するっすよー!」「りょーかいです」
2人は、互いに互いをカバーできる位置取りを取って、万が一に備えて警戒している。
基地を進むに連れ、ガラスのような床は金属製の床に代わり、周囲の壁も、何かのコードで包まれ始めた。そして、それは何かの研究室に繋がっていた。
「……んー」「おや、斥候の勘で何か分かったっすか?」「俺たちが入ってきた場所って要は、1番厳重な奥なんですよ」「それは……あー、そういうことっすね!」疑問を自らで解決した月葉の顔は得意げだ。
「「機械仕掛けの神」その封印用の場所だったんすね」「はい、恐らくそうなんでしょう。俺たちが移動するために潜ったドアもこちら側にはハンドルだけで、向こうから来るにはカードキーは勿論…魔力鍵なんかも要求されてます。ただ、見た感じコード何かも途中で切れていたりする辺り、基地としての機能は喪失していると見ても良いんじゃ無いでしょうか?」
「そうっすね、油断は禁物っすけど」
逆に外は外へと通じる道を探して、基地を探索する真と月葉だったが、ふと、月葉が何かを思ったのか青ざめたり、難しい顔をして唸り出した。流石に、隣でムー、ウーと唸っている月葉を見かねた真が、月葉に対して声をかける。
「えっ、いやぁ、斥候の真さんに聞きますけど……爆弾とかあったりしないっすかね?」「うーん、可能性としては零ではないですね」
それを聞いた月葉は、完全に顔を青ざめさせた。
「なんで、落ち着いてんすかっ⁉︎」「いや、月葉さん。爆弾を仕掛ける理由が無い筈なんです」
落ち着いて話す真を見て、月葉は一度深呼吸をした。
「……理由はなんですか?」
「証拠を消せないんです」「で、でも普通は!」「ここは普通じゃないんです。封印していたのは「機械仕掛けの神」。爆弾如きで破壊できるものじゃない。爆発を察知した他国にわざわざ渡すようなものです。あと、封印が緩む可能性は無きにしも非ずですからね。そういうリスクは犯せません」
推測が混じるが比較的理論だっている真の話を聞いて完全に納得した顔を月葉は見せた。
「じゃあ、安心は出来るっすね」
「そうなら、良いんですけどね。無理がある」真が一段低くした声で、つぶやいた。
元の場所には、先ほどまで無かった鎖が存在していた。見た目は、透明で鎖の内部の中心には、モヤが、正確には星雲のような
綺麗なもので構成されていた。だが、先程まで無かったことが、この鎖の異常性を示していた。
「うわぁ、何すか。この鎖?」「……ろくなものじゃ無いな」それぞれ、ろくなものではないと理解した。であるならば、この場で魔導科学について理解している権威の内田を呼ぶしかないだろう。
「「内田 (さん)を呼ぼう!」」そう決めた真達は、顔を上げて、アメノヒスミノミヤにいる内田を呼び出すのであった。
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