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モブですらない俺が陰の英雄とされて困っています〜魔導科学の暗躍者  作者: 高麗豆腐
〜第二章〜パンドラと2人のイレギュラー
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死闘決着『内田、真サイド』

血だらけになったが故に赤に染まった白衣を身に纏う内田は煙幕に光の屈折を活かした迷彩を使い龍の一撃を辛うじて回避していた。


「《無剣の迷宮》『theRain』」

剣の雨と鎖の壁の魔導を使い龍を突き刺した真の顔には、疲労が色濃く滲み出ており、自身の血によって朱色に染まっている。


龍を追い詰め、追い詰められている内田と真の瞳は、絶対的な力による絶望ではなく、反対の絶対的な自信によってギラついていた。


龍と真の魔力を用いた弾幕の殴り合いとも言える戦いは、更に熾烈を極めていた。龍が蹂躙するほどの圧倒的物量で暴風刃を放てば、真の鎖から放つ魔導が絡め取るように暴風刃を防ぐ。逆に、真の鎖から放たれる太刀や合間を縫う真自身の一撃は鉄壁とも言える暴風の守りを抜けず、捻り切られ引き下がらざるを得ないでいる。


「はあ、はあ……真くん、とっておきを!」


突然、攻撃の合間に指示を飛ばされて動揺してしまった。動揺によってミリ単位の間合い管理にズレが生じ、皮膚を削られた。

「痛っ〜⁉︎ りょ、了解。


我が果てを縛りし定めの鎖 因果を支配せし運命の鎖 世界を縛りし鎖は今、砕け散る 《運命告げる(オーダー/リビルド)終焉(ブレイク)》」


詠唱が始まったことを理解した龍は、詠唱に集中している真に暴風刃で邪魔をしようと魔力を形に「一手遅いぞ!《魔力霧散(ディスペル)》ついでにとっておきだ。そら、地面に磔だ!」


内田が一瞬の隙に投げた薬と何かの種が閃光を放った。光が薄れるころには龍の体を植物が地面に縫い留め磔にしていた。

「やれ」

 「《(チェイン)》‼︎」詠唱と鎖の迷宮による真の世界を引き換えに放つ相手に絶対なる終焉を告げる鎖の一撃。それは、生み出し砕け散った鎖、刃の魔力が漂うこの空間でのみ成立した最高の一撃。


チュドン

「Aaaaaaa」鎖は地面に磔にされた龍の体を貫通し魔力を雪のように散らして砕けた。


貫かれた龍も、糸がほつれるように徐々に体の端の鱗から体が消えてゆく。


「しゃあ!」「ドラゴンスレイヤーか、まあ小説ネタには出来るかもしれないですね」内田と真、普段の言葉から言うことは逆転したが、その顔は喜びに満ちていた。


何せ最強の部隊である十二秘奥をもってしても強敵である龍を2人がかりで倒せたのだ。もし一般的な幻葬士が聞けば卒倒するような偉業だ。それだけに互いに抱き合って勝利を全力で喜んだ。


ズズ


その音が無ければ。


「「っ《展開》‼︎」」


消えかけていたハズの龍は消えてはおらず健在だった。


腹に出来た傷からは蒼炎が迸り、瞳からは光が薄れていっていた。だが、その眼は真達に向けられており、顎門から閃光を放った。


バリバリ、ビシビシ


閃光を防ぐために多重展開した魔力障壁は耐える様子を見せずに8枚砕けた。


「ガッ」「ガフッ」


正面の閃光にかかりきりになっていた2人に暴風弾が当たり、吹き飛ばされた。


地面を滑る。魔力障壁を展開する予備の魔力は無くなった。


閃光のブレスが眼前に迫り避けられない。


前に何か立ち、真を庇った。

「何、だ?」


それは狗神だった。

「くぅーん」力無く鳴いて狗神は紙屑になって後ろに流れた。流れた先には、背中が空いたスーツを着た琴音が黒髪を振り乱して走ってきていた。


「真さん、内田さん。助けに来ました!」「琴音!」

 


「Gugaaa‼︎」地面を蛇のように這って、暴風弾によって膝をつかされた内田に龍が迫る。


「ぬかった」首を垂れて自分の運命を悟った内田に龍の爪が振り下ろされた。


「神風!」「承知!」


ギチチヂ ビシビシ


「間に合ったようだね!」「御主人、ヒビが!」


バキン


滑り込んで内田の爪の一撃を両刀を十字に構えて受けた神楽だったが、神風との戦いで傷付いていた刀が耐え切れずに根元から折れた。


「桑原!」爪を弾き、頭を傾ける。大声で神楽は鷹に願いを託した。


「《零》」願いを託された桑原は神楽がいた場所を跳弾させ喉元、龍の逆鱗を穿ったように見えた。だが、最後の足掻きとばかりに腕を根元から吹き飛ばされる代わりに、距離を詰め牙を桑原に突き刺そうとした。


「お終いです」


桑原の周囲に現れた暗黒から飛び出した月葉の籠手が刃を眼に突き刺した。


今度こそ力尽きた。体は半分まで消えて無くなった。


「Ru gaaaa」


例え半身になっても諦めなかった龍が勝利を確信して無防備になっていた内田達にブレスを打ち込んだ。

 

瞬間に、真が無属性で盾を創り上げ地面に突き刺す。


「ハァぁぁあぁあ!!」真は、気迫を込めた雄叫びを上げてブレスの圧力に抗う。真の体と一緒に、大盾はいつの間にか光り輝いていた。神風の魔力を貰った神楽が展開した光の障壁である。だが、ブレスは余程の威力を持っているらしく、しばらく拮抗した後、障壁を突破して大盾に直撃した。



龍が死ぬのを確信するために迫っていた真が閃光による破壊を防ごうとなけなしの魔力を絞り、全員を覆う無属性の盾を展開する。


無属性の盾は、真の意思のように最期のブレスに耐える。神楽の障壁すら突破する威力と熱に徐々にその表面を融解させていくが、砕け、壊れそうになるたびに、真が魔力を強引に継ぎ足し即修復し、その突破を許さない。


そして、破壊が止まった。


龍は生き絶えて、光となって消え去った。


「よかっ、た」限界を超えて魔力を使い、皆を無事に守り切ったことで安堵に包まれる。そしてそのまま糸が切れた人形のように勢いよく倒れた。

 



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