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モブですらない俺が陰の英雄とされて困っています〜魔導科学の暗躍者  作者: 高麗豆腐
〜第二章〜パンドラと2人のイレギュラー
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任務開始

 着替えた真がブリッジへ着くと、神楽、月葉、内田が集まっていた。

 「お、真くん、さっきトレーニングルールで何やっていたんだ?」「あー、あれはつまらない実験だな」「今、実験とあったかい?」(あれ、監視カメラで見ていたけど喧嘩してなかったっすかね?)

 

 ここに来ていない二人を待つ間、男子は男子同士で気楽な会話をしていた。この場で唯一の女性の七海は完全に空気になっていたが、その時は別のことを考えていたので、彼女自身気にしてはいなかった。


 真から遅れておよそ5分、ブリッジへと桑原が慌てた様子で駆け込んできた。そして、それよりも2分遅れて琴音が集合した。


 集合した全員は、各々の専用に作られた装備を身につけている。もし、ここに一般人がいたらかなり物騒な格好にも関わらずそれを着けるもの達の静かな雰囲気に怖気付いただろう。それ程に場は緊迫しだしていた。


 「皆、集まったな」神楽が周囲に漂う沈黙を破り、口を開いた。普段のなりは潜め、冷徹な姿を見せる。


 「では、今回の目的を改めて話す。任務はPandoraの適正について禁足地にて調べ、可能ならばそのまま各員で適当なものを入手。その後、緊急の問題がなければ凡そ1週間、禁足地以外に眠っているのだろうPandoraの捜索だ。ここまでで質問は?」一息に神楽は言い切った。


 神楽が全員を見渡す。すると桑原が一歩前に出て、軽く手を挙げた。琴音が前回Pandoraについて分からなかったことに対しての配慮だ。

 「桑原だ。禁足地外のPandoraだが……それは領域を探るということでいいのか?」「ああ、その認識で構わない」


 桑原が語ったは、Pandoraが今まで発見された状況から推測された、幻影領域、幻影の核となったケースのことを指していた。


 それを理解している真は思考を巡らす。

 (やはり、俺が調べた、この世界で見つかった例とゲーム内で見つけた時から考察した方法で問題は無いらしいが……禁足地の座標について調べゲーム内の目印を探したが無かったことから考えるに俺が知らないPandoraがあるとされる場所なのだろう)


 

 「では、任務開始だ。総員、着陸用意。真は例の用意を」「了解です」先程の男子での会話の中で、前もって教えられていた用意を真は手早く始める。


 「運動停止まで、3、2、1」


 ゆっくりとアメノヒスミノミヤが禁足地の上で止まり、間もなくハッチが開いた。


 真はブリッジにある外に出ることができる壁を作動させ、空中に身を投げる。


 「《待機発動(ロックオン)》《鎖の小迷宮》《並列構築並列構築(パラドックアセン)》《蜘蛛の糸:2(ラストホープ)》ラストに《風塵の大地(エアロ・ガイア)》よっと。着地成功と、さて用意できたぞ」真にとって、前代未聞となった連続5回の魔導発動は、魔力消費を除いて、すんなりと成功した。


 「OK、では、行くぞ」神楽が声をかけ、全員がハッチから飛び降り、風塵の大地(エアロ・ガイア)の上に降り立った。「しかし、興味深い使い方をするな」「そこは、また後で」


 「陣地確保は月葉、桑原が。真は斥候を。他は、警戒体制で待機!」


 「「了解」」


 やることが決まった真は無言で光学迷彩を起動して斥候に向かう。


 真が暫く進んだところで周囲は何処からともなく現れた霧に包まれた。霧の濃さは肉眼では一寸先も見えないほど。しかし、そんな中でも、ぼやけること無く佇む影に真は気付いた。


 疑問に思った真が警戒しながら近づくと、そこには少女と少年がいた。

 

 あり得ない事実。しかしながら真は既視感を覚える姿だったからだ。既視感を覚えるそれは、ゲーム内でも存在していたということだ。

 

 もっとも、真の言葉を借りるならラスボスサイドと語るだろうが……


 故に、真は警戒しながら彼らを睥睨し銃を音もなく構えた。


 少年と少女が一部のズレもなく口を開く。


 魔導の詠唱かと思わず、真は後ろに飛びのいたが、攻撃をする気配はなかった。



 『ここは、禁足地たるパンドラの箱。今は遥かな幻想と消えた魔導文明最盛期の宝物庫。されど、それは幻影と化して、時の夢に語られるパンドラの箱へと移ろおう。


 汝らは、遺された希望となり得るか?


 進むがよい。我らは、止めぬ。誰が為の宝物は遺され、幻影と化した過去をもって汝らの資格を問う』


 そう言い切った少年と少女は霧へ溶けるように姿を消した。


 ちなみに彼らが語る資格。これは単純に幻影の核となっているPandoraに認められること。認められた人間から扱えるPandoraだが、このPandoraの本当の力の発動条件が適正だ。とは言え、適正が無ければ扱えないことには変わらない。


 わかりやすく言うなら、認められた適正無しの人間ならPandoraはS級の幻葬器として扱える。適正さえあれば、S級をゆうに超えた幻葬器として使える。


 閑話休題



 真は、消えた彼らのこと伝える為に踵を返して、みんながいる場所へと戻る。


 途中、万が一消えていないのではと、真は振り返って彼らの姿を確認したが、やはり消えたままだった。


 真が戻ると、神楽が片手に軍刀を持って琴音と模擬戦をして帰りを持っていた。

  

 内田はテントの中でアメノヒスミノミヤから持ち出した機材で何やら作業をしている。


 真は七海と桑原の姿を見渡して探すが、築かれた陣の何処にも彼らの姿は見えなかった。どうやら見回りでもしているのだろう。


 そう結論付け、真は神楽へと声をかけようと迷彩を解いて近づく。


 真の姿を確認した、神楽が疲労の滲んだ声で琴音との模擬戦を頼んできた。(何気に、神楽さんってやれるよなぁ)「嘘、い、いなされた?」如何やら琴音はショックだったようで呆然としている。


 「あー、琴音。交代して俺とやるけどいいか?」「え、はい。よろしくお願いします」「神楽さん、ルールは?」「簡単だよ、魔導無しの武器だけの真剣勝負。ま、真くんは無属性魔導だし武装の複製はギリギリありなんじゃない?」「成る程。琴音はどうする?」

 

 「それなら、無しで」「じゃ、合図は僕が……それじゃあ、始め‼︎」


 

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