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モブですらない俺が陰の英雄とされて困っています〜魔導科学の暗躍者  作者: 高麗豆腐
〜第二章〜パンドラと2人のイレギュラー
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私の英雄 琴音視点

 私、有原琴音にとって、彼との出会いは正しく運命だったと思う。

 かつての私は魔導の適正が無属性だけで何もできず、仲のいい友達が出来なかった。いや、正確には年上の幼馴染以外出来なかったと言ったところだ。


 当時は、「魔導が出来たら凄い‼︎」そんな風潮が同年代の友達に広がっていたからだ。


 私の両親は泣き喚く私の理由に心当たりが有ったのか、泣きじゃくる私を慰め、ただひたすらに優しく魔導について教えてくれた。


 そして、私は自分の魔導を持てた。


 「他の誰もが使っていない魔導を手に入れられた!」当時の思いを言葉にするなら正しく、この通りだ。


 私は直ぐさま、誰も使っていない魔導を悠々と見せつけて自慢した。

 

 

 けど……その思いは裏切られた。


 みんなが使っていなかった、使えなかった訳じゃなかった。


 

 本当のところは

 ()()()()()()()、あり得てはならない魔導だった。


 運というか、定めだったのだろう。同年代で魔導が流行っていた所為でみんな魔導には人一倍詳しかった。大人よりも詳しいくらいだった。


 だからすぐさま、存在していない、あり得ない魔導と気付かれた。


 そこから先は酷いの一言に尽きた。


 幼馴染以外、近寄ってくれない。その幼馴染はテロで会えなくなった。


 同年代の仲間からは化け物と罵られる日々。


 苛めのリーダー格には、石を投げられたこともあった。


 純粋な幼子故に苛めは止まることを知らず、ただヒートアップし続けた。


 一年中、毎日ポロポロと泣き帰り、弱っていく私を見兼ねた両親は、一緒に泣いてくれ、ここから出て行こう。そう言ってくれた。


 そして、この街に住むことになった。

 

 そこからは、誰にも悟られない為に、学業に専念した。転校した学校では友達なんて作らず、親と本が友達だと思って暮らした。


 そうやって勉強を続けてその街一番の難関校に入れた。入学にある魔導の試験は自分の魔導を応用して、運良く誤魔化せた。今にして思えば、あそこで魔導が暴発(ファンブル)してバレてしまっていたかもしれなかった。

 

 そうして、私は過去を忘れようと努力を続けた。


 中学の試験に受かり、小学校は僅かな日々を残した卒業までは1ヶ月前のことだった。(これについては、その中学の試験が2ヶ月というかなり前のタイミングだったからなのだけど)


 そんな日々に飽きた私は刺激を求め、夜の街を一人で歩いた。


 そこで見たのは、幻影(ファントム)と戦う幻葬士の人だった。


 私と同じように、見たことのない鎖の魔導を使って戦っていた。


 目が良かった私でも、かろうじて追える速度で幻影(ファントム)を幻葬士の人は鎖で貫き、縛り上げ切り裂いた。

 

 私はその幻葬士の魔導の構築速度といい、構成の圧縮率による無詠唱に憧れた。

 

 幻葬士の人が貫き、切り裂いた幻影は暫くして灰のように崩れそのまま風に乗り消えていった。

 

 その幻葬士とは意外なところで再開することになった。

 

 中学校に入学して大体、2週間が過ぎたあたりだろうか。他の学校が春休みの中始まる学校という特殊な学校ということもあってクラスのレベルは高く、授業もかなりのスピードで進んだ。


 そんな学校に慣れていつも通り行われていた何気ない授業。


 そんな普段の日常が、泡が弾けるかのように消え去って……そんなあり得ない状況に私だけを残して誰もが消えさって、1人になった私。


 そして、突如として現れた幻影に、苛めを思い出して抵抗すら出来なかった。


 そうして殺される寸前になった私を、魔導革命前のアニメヒーローのように幻葬士の人は私を助けてくれた。


 ある意味、2度目だから二目惚れというか、ずっと憧れていた偉人に現実でもう一度会えた。そんな胸がドキドキと高鳴る不思議な気分だった。


 幻葬士の人との出会いは正しく運命だと……最初はそんな風に思っていた。この人を師匠としておけば繋がりが残るんじゃないか、そう思って私は幻葬士の人を師匠と呼んだ。


 でも、その後の戦いで、彼は命を落としかけていた。


 「この程度の人なのか……」そう思いもした。けど、興奮が冷めて考えれば、彼は一人でこの事件を解決した英雄だった。私しか知らないこの人の生の活躍。歴史に残る訳ではないだろうけど。私にとっては彼は英雄になった。


 その時気づいたのだけれど、彼は私だけでなく他の人の身を守ってくれていたのだ。そんな彼の足を引っ張り、あまつさえ殺しかけたのではないかとその時の自分を責め立てた。


 そんな彼は私を責めるなんてことをしなかった。むしろ、「これから先は弟子」とは言っていなかったかもしれないけど少なくとも弟子として扱ってくれた。見てくれた。


 それが嬉しくてしょうがなかった。


 だから、私は彼と一緒に居るためにこの《十二秘奥》に所属したのだ。


 それから、色々あって同棲することが決まって、彼の一面を一人だけで独占できた。


 でも流石に、同年代の女子がいるのに、自分で言うのもなんだけどかなりの美少女に何も反応しないのは興醒めというか、悔しかった。


 同じ、同年代とは思えない彼の精神や能力。


 そんな彼に追いつくために、私は彼にも話していない力を、私も完全には扱えない物を手懐け使いこなせるようにしなければならない。


 そんな、風に思っていた時だった。


 七海さんから、オペレーターについて教えてもらっているときに偶然、酷い顔をした彼が脱衣室から出てくるのが見えた気がした。


 一瞬だったから分からなかったが少なくとも良い予感はしなかった。


 そうして……現在私、有原琴音は彼の部屋の前にいる。


 

 

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