新たな日常と十二秘奥の呼び出し
孤児院に住む真は普段から修行をしている。そこに時々、先生も加わり魔導の知識を教わるというのが真の任務がない時の日常だ。
最も、その日常も今日までになるだろうが……理由は先生にバレたからそれだけだ。
孤児院にたどり着いた真の前に、孤児院のドアが立っている。そして、扉を開け玄関に入る。
そして中に入ったそこにはうすら笑いを浮かべているが目が笑っていない先生が仁王立ちして真のことを待っていた。
「さて、真。私が何を言いたいのかは分かりますよね?」先生は一言を言うと額に青筋を浮かべ、真と同じように魔力が漏れ出し周囲に魔導が形成され始める程キレていた。
理由は真でも分かる。恐らくは、今まで嘘をついて勝手に幻葬士になっていたこと。しかも戦闘がある実働部隊でだ。
恐らくこれがまだ後方支援等の裏方なら先生もまだ許せただろう、しかし、真は命懸けの実働部隊だった。そしてそれを知ったのが、今日支部から電話が掛かってきて初めて知ったのだ。しかも幻葬士特務部隊に所属するという。仮にも親として育ててきた愛菜は真のしたことを許す訳にはいかないのだ。
「えーとその……せめて」「せめて、なんです?」瞳孔が開いた目で見てくる先生に対して真は自身が死ぬ覚悟を決めると一言だけ伝える。
「せめて、琴音を中に入れて歓迎してからで」
「えぇ、えぇ良いですとも。琴音さん、色々とこの子の為にありがとうございます」そう言うと周囲に漏れ出していた魔力と形成途中の魔導を消し去った。
「いえ、こちらこそ師匠には命を救って貰ったので」
「真がそんなことを!ふふ、意外とこういうのは嬉しいものですね。今後とも、真のことをどうか宜しくお願いします」そう言うと同時に先生は頭を下げる
「ちょっ、ちょっと頭を上げてください!」
「ですが……」
「いいんですって、それよりも師匠の話を聞かせてくれませんか?」
「分かりました♪ふふっ、真もそっちの方が意外と効きそうですし」
バッと驚いた顔を先生へと向ける真、それに対して先生は非常に良い笑顔だった。「あのな、琴音そういうのはちょっと……「なんです?」思わず止めに入ったが先生と琴音から同時に絶対零度の視線を叩きつけられ第三席の心は屈した。「いえ何でもありません」
こうして、琴音と俺が一緒に過ごすことになった初日から早速、からかわれ続ける日常へと変わった。
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次の日
プルル プルル 起きろ プルル プルル 起きろ
「ちっ、朝っぱらから呼び出しを喰らうなんて何があったんだ?」スマホの様な形をした半透明の端末、スマートマギフォンに神楽さんからの連絡が入った。
時計の画面を呼び出し時間を確認する。4:26 とんでもなく早い時間である。
呼び出し音を聞きふと気づく。「しまった、琴音は⁉︎」どうやら起きた様子はないが、迷惑をかけてしまったと俺は思い、自分のベットの隣に視線を向ける。
「スースー」隣では琴音のベットが置かれ、そこで琴音は気持ち良さそうに寝息を立てていた。
「大丈夫だったか」自分の手に持つマギフォン、スマフォンでいいかに視線を落とす。そこには、嫌な情報が載せられていた。
『 極秘任務が上層部より下された。至急、特務部隊"十二秘奥"第三席は幻葬士支部βに来るように。
SOKより 』
このSOKだが神楽さんのことを示す隠語の一つだ。というか本人がノリノリでやっているだけだ。
そもそも、俺が持つスマフォンは幻葬士特務部隊用に換えられている。特徴は秘匿回線を利用出来る点、耐衝撃、防弾、防水、防火、防塵といった潜入任務等の部署で使われるものの最新式かつ、第三席専用機だ。
よって、魔導を用いた回線を盗聴することは不可能に近い。尚且つ、コレと同じスマフォンでなければ話の内容が全て暗号に置き換えられてしまうというスーパーハイスペックなものなのだ。
因みに、SOKの意味だが、Sはstrategy 戦略。Oはofficer 士官。Kはkagura そのまま神楽である。
(それにしても、あの神楽さんが呼び出しをする必要がある問題が起きたとは嫌な話だな)そんなことを思いながら自分のタンスについている端末を操作し、タンスに隠されている着替え入れを取り出す。
中に戦闘服とその他の道具が入っているのを確認して俺は孤児院の外の闇へと躍り出るとそのまま姿を消した。
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ー??? とある部屋 ー
「へぇ、それで?」
「どうやらその幻葬士が破壊したようです」
「成る程ね。それで、そいつの情報は?」
「こちらに」
「ミラージュチェインか……!くく、覚えておくよその名前。それにしても僕の親友は、"彼"はどう出るかな?」
闇は笑う。何処か遠くにいる1人の少年を見据えて、闇は動き出す。そして、世界は動き出すのだろう、否応無しに時代は唸り、人々は巻き込まれていくのだ。




