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モブですらない俺が陰の英雄とされて困っています〜魔導科学の暗躍者  作者: 高麗豆腐
〜第一章〜ゲーム開始前の世界とA級幻葬士
16/69

学校といえばイベントである

 朝、それは、1日の始まりであり、誰にでも訪れるもの。


 鏡面の鎖(ミラージュ・チェイン)である鏡野 真の朝はとても、早い。僅かな時間を活かして修行をしているからだ。


 とは言え、今日は普段と比べて遅かった。理由は、今日が修行を休む日と決めているのもあるだろう、しかし、実際はただ本人が学校に行きたくないだけであった。


 (実技テストとかなあー。最悪、いや、災厄すぎる‼︎)彼の内心は面倒!の一言で表せる程、テストをどうバレないように誤魔化すかに意識が向いていた。そして、クラスメイトから何故か疎まれているのにこれ以上、学校で困るのは考えものだった。


 しかし、時間は待ってはくれないのだ。出発の時間を刻む時計を見て仕方なく、真は動くのであった。



 いきなりですが、真が学校に着く前に少し、この世界の本で説明をしようと思います。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 幻影(ファントム)とは? A級幻葬士 アルフレッド著

 

 今回は最新の研究やデータを元に、改めてこの世界について説明しよう。


 誰もが知っているように、この世界では人間などの負の感情とエネルギーによって産まれた、幻影(ファントム)という存在がいる。


 幻影は、姿、形それぞれ決まったものを持っておらず人型の存在や動物型の存在といった様々な姿が存在している。


 この存在の最大にして最悪の特徴は、全生命体にとって敵であるということだ。それを裏付けることとして、過去に人と幻影との戦いである幻影戦争で幻影は世界の生物の多くを滅ぼしている。


 また、この戦いは、この世界の現状に大きく関わっており、人類は壁などの防衛設備を多くの都市に配備するきっかけになっている。

 

 もう一つの特徴としては、生命体がいる所なら幻影は現れるという点だ。確かに、彼らの多くが防衛設備の外に存在している。だが、その全てが外に存在する訳ではなく、設備内でも人間などの生命体の負のエネルギー、感情によって産まれることもあるのだ。


 こういった理由から、この世界では魔導が学校などで自衛を目的に教えられている。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 もうすぐ真が学校に着くので説明はここまでにします。




 学校にたどり着いて時間を確認する。まだ、8時半過ぎ。今日の授業が始まるまでにはまだ少し時間があった。クラスに入ると、何人がこちらに顔を向け、興味なさげに自分のやりたいことを再開する。


 (それにしても、早速厄介なことになりそうだな)朝から自分の席の近くでイライラしている様子の奴を見つけて、思わず心の中で顔をしかめてしまう。


「おいおい、鏡じゃねぇか」怒ったの顔で寄ってくるのは、何故か俺に構ってくる……えーと確か、葛野だったか?正直言って、修行に夢中でクラスメイトの名前だって覚えていない。


 「なぁ、鏡?お前今日は一体どういうつもりだあ?」何故かキレた様子で突っかかってくる葛野(仮)でも俺、何もしていない筈なんだがなぁ。

 

 「何の話だよ?」


 「忘れたのかぁ?昨日お前が」


 と、ここで担任の先生がクラスに入ってきた。ナイスタイミングと内心、喝采する。まぁ、名前は知らん。


 「ホームルーム始めるからな、自分の席に座れ」


 「ちっ、後で覚悟しとけや」先生が来たことで話を中断させられたことに悪態を吐きながら葛野(仮)は離れていった。


 そして、事件が起きたのは3時間目が終わった後だった。


 「今日はここまで」


 「起立、気をつけ、礼」


 『ありがとうございました』


 なんてことはない普通の終わり方だった授業。


 だが次の瞬間


 ビシ


 (今のは⁉︎)この音に俺は聴き覚えがあった。


 「なんだなんだ?」「何の音?」


 ビシビシ (不味い、なんでここで)


 2度目の音を立てた次の瞬間、突如、教室に閃光が迸る。

 (幻影領域が出現してんだよ⁉︎)想定外も想定外の事態に悪態を吐きながら目を片方だけ閉じて、目を閃光から守る。片方の理由は、閃光で目を潰される直前まで周囲を確認、警戒するためだ。


 「うわー、何だ目がぁ‼︎」「キャー、いきなり何よ⁉︎」

 突然の閃光にクラスメイトはパニックに陥っている。先生はさっき外に出て行っているからここにいるのは生徒だけ。


 そして、幻影領域が現れたことで暗い影、下級幻影が生まれる。

 

 (チッ、俺がいるだけこのクラスはマシか?)いずれにせよ、事態は最悪、いや災厄に見舞われた。


 現れた幻影に気付いたクラスメイトはまだいない、がそれは当然だ。何せ目が潰されているのだから。そして、それを見逃す程、幻影は甘くない。パニックに陥っていて、なおかつ気付いてない攻撃に女子生徒が一人、打ちのめされようとする。

 

「《インビジブルチェイン》」


 だが、次の瞬間、不可視の鎖が女子生徒の周囲に浮かび上がり、代わりに攻撃を受ける。


 ギャリィと引っ掻きによって生じる音に、ようやく何かがいるとクラスメイトが気づく。


 「えっ⁉︎何々⁉︎何が起きてるの⁉︎」「なんだよ⁉︎どうなってんだ⁉︎」突然の事態に大小様々な悲鳴が響く。


 「待って、誰かいる⁉︎」「嘘⁉︎幻影⁉︎なんでこんなとこに⁉︎」視界を取り戻した生徒が先程までいなかったフード付きのポンチョを着た存在と幻影に気が付く。


 (あっぶな、着替えるのが遅かったらバレてたな)

 その正体は戦闘服に着替えた真。急な事態で自身の正体を隠すのが必要になった時のために普段から持ち歩いていたのが幸いした。


 「誰だよお前は⁉︎」


 (えー、名乗った方が良いのか?)

 「A級幻葬士、コードネーム《ミラージュ・チェイン》」仕方なく名乗りを上げる。正直、恥ずかしいが仕方がない。民間人の安全が最優先だった。


 「嘘だろ、A級幻葬士⁉︎」「なんでこんなとこいるの⁉︎」当然、驚きの声があちこちから上がる。とりあえず片手間に攻撃をいなし続ける。


 (駄目だ、うるせえ)いかんせん、キャーキャーワーワーうるさい。「少し、静かにしろ」声色を低く変えて黙らせる。


 「アイツは幻影だ。俺は偶然ここに立ち寄って巻き込まれただけだ、安全は確保してやるが巻き込みがないとは言えない。最低限は防御用の魔導を使え。いいな?」


 「はっはい!」


 (まぁ、正直、弱いしな)そう思って、相手を魔導で仕留める


 「《三鎖》」3本の鎖を高速で打ち出すだけの魔導。しかし、真にとってのただの下級幻影を仕留めるには充分な威力を持つ一撃だった。アッサリと食らって、消滅する幻影。

 「仕留めたな、これは……⁉︎」教室に仄かな光が集まり一つの結晶を作り上げる。


 (助かるな、陽現晶か)

 陽現晶は、周囲十メートルを幻影が認識出来なくなる幻影領域内にしか生じない結晶だ。ゲーム内では、キャンプとか、回復ポイントととして使っていた。


 (これなら、他の教室を確認に行ける)

 「あの」生徒の一人が震えた声をかけてきた。


 「なんだ?」よく見ると何かが……

 

 「クラスの人数が少ないんです‼︎」


 「言われてみれば、少ないな」恐らく、領域が生成される時に弾かれたのだろう。ゲーム内でもあった描写だから、安心して伝えられる。


 「安心しろ、領域外に弾かれたから居ないだけだ」

 

 「そう、ですか」安心したのか、そのままへたりこむ。


 「これから俺は、この原因を探りに行く。お前たちはここで待機していろ」忙しくなってきたが、俺がやるしかない。


 「ちょっと待ってよ、あんたが居なくなったら誰が私たちを守ってくれるの⁉︎」一人の生徒がそう言うと、そうだそうだ、と同調するクラスメイト

 (面倒くせえな、消耗したくはないが……背に腹はかえられないな)


 「《鎖ノ牢獄(プリズム・チェイン)》上級幻影を24時間捕縛出来る鎖の牢獄だ。これで教室を覆っておいた、これで壊されることはない」外からの耐久値も確認済みで安心安全の防御力を持っている。


 「悪いがもう行くぞ」やっておくべきことはやるだけやった。これ以上は、救助者がいる可能性があるのだ待ってはいられない。


 そう言って俺は廊下に飛び出した。


 




 


 


 


 

 




 

 



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