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導きの竜と魔石の国  作者: キャスパー
30/39

12


静かな時間が流れると。ラミアはふとしたことでカーディラスを思い出してしまう。


カーディラスと一緒に過ごしている二週間の間で、ラミアが体調を崩したときがあった。

朝、それを隠していつも通りに過ごしてカーディラスを送り出したつもりだったのに、昼過ぎに彼が戻ってきたのだ。

「カーディラス、どうしたの?いつもは夕方なのに。」

と、熱で赤くなった顔でラミアが尋ねると、

「君の体調が悪そうだから。これを捕ってきたんだ。」

と、兎と木の実を出し、ラミアを休ませて、栄養いっぱいの兎のスープを作ってくれた。そして、その日はずっとラミアの側にいて気遣ってくれたのだ。


(あの時、カーディ、よく私の体調に気が付いたなぁ・・・。それにしても、あんな風にしてもらって、好きにならない訳無いじゃない。)


ラミアは胸がギュッと苦しくなり、思わず顔を歪めた。

「ラミア?大丈夫?美味しくなかった?」

ラミアの様子を見て、ソラが心配して聞いてきた。


こんなにソラに良くしてもらっているのに。どうして自分はカーディのことばかり思い出してしまうのか。

ラミアは悲しくなりながらも必死でそれを隠し、笑顔を作る。


「え、ううん、美味しいわ!ありがとう。ソラ、料理が上手ね!驚いたわ!」

「村を出るって決めたときに、料理も少し母さんに習ったんだ。」

「それでなのね。・・・懐かしい味がする。ソニアさんの味だわ。」


優しい味。いつの間にか、色んなことが出来るようになったんだなぁ。と、ラミアはソラを見直した。

(私も。カーディのことは諦めなきゃいけないんだから。前をむいて進もう。)

ラミアはソラに微笑んだ。



翌日は、午前中に魔石や鋼を探して渓谷を歩き、また午後にラミアは鍵作りを開始した。

力を使うと疲れて動けなくなる。そのため作成は午後に、と、昨日の教訓から決めたのだ。


ラミアは昨日作った魔結晶を取り出し、昨日ソラから借りて触らせてもらった、鍵の石を想像して力を込める。ラミアが感じ取った鍵の性質。感じたことをひとつひとつ思い出して丁寧に力に乗せて行く。

やっと終わったのは、始めてから3時間たったところだった。

初めての作業だったが・・・


「うまく・・・出来たと思う。」

ソラから鍵の石を借りて、比べてみる。ソラの鍵の石に比べると、少し小ぶりで発光も弱いが、感じる波長は同じ。確かに、鍵の石が出来上がっていた。


「ラミア、すげえっ!!おめでとう!!」

ソラは喜んでラミアを抱きしめてきた。


「ありがとう、ソラ!」

ラミアも思わずソラを抱きしめ返し、鍵の石の完成を喜んだ。



その夜。二人は今後のことを話した。


「ソラ。鍵の石が完成したし、明日には、私は村へ向かおうと思う。」


「ああ。もともとその予定だったもんな。魔石と鋼の量は、もう足りてるのか?」


魔石は魔結晶に使った残りが少し。そして鋼は一つ。

「ええ。もう何かを作る予定は無いし。鋼は性質を知るのに知りたかっただけなの。ソラの方は、大丈夫?」


「ああ。俺の方もいくらかとれたよ。ラミアに場所を教えてもらったおかげだ。」

ソラは、ラミアと数日渓谷に滞在する代わりに、石を採取してくるように、武器屋の店主に言われていたのだ。

「ソラ、一緒に来てくれて、本当にありがとう。とても心強かったわ。」

「俺の方も、ラミアの力を見せてもらった。俺も、これから石の研究もしてみるよ。でも、また色々教えてくれな?」

「もちろん。」

にこやかに笑うラミア。その笑顔を眩しそうに眺めて、ソラは言った。


「それでさ、一昨日言ったことだけど。」

ソラの言った告白のことだ。ラミアはドキッとした。でも、言う言葉は、もう決まっている。

「ええ。返事を待ってくれてありがとう。でも私、ソラの気持ちには応えられない。・・・ごめんなさい。」

「うん、ラミアの様子から、わかってた。好きなやつがいるのか?」

時々、物思いにふけるラミアに、ソラは気が付いていた。

「ええ。」

「そいつとは、うまくいってるのか?」

「・・・いいえ。私の思いは届かないと思う。・・・でも、まだ今は忘れられないの。」

「そうか。・・・俺もだよ。俺も、ラミアのこと忘れられない。だけどラミアがそんな様子なら、俺は、諦めるつもりは無い。共石の村には一緒に帰れないけど。でも、すぐ近くのシュルフトにいるから。俺も、もっともっと力を付ける。そんで、その時にまた、好きだって言う。」


「ソラ・・・。」

ソラの真剣な眼差しに、ラミアは頷くことしか出来なかった。



翌日、ラミアとソラは笑顔で別れた。


ラミアは共石の村へ、ソラはシュルフトへと向かう。

村の入り口まで送ろうかと、ソラに心配されたが、ラミアは道だけ教えてもらって申し出を断った。

村へ帰るのは、3年ぶり。きっと皆に驚かれるだろうし、村も少し変わったとソラが言っていた。

(ちょっとドキドキするけど・・・でも自分の故郷に帰るって、心が落ち着くと言うか、なんだか嬉しいものね。)



魔結晶のおかげで、魔物に襲われる心配も無い。ラミアは無事に結界も抜け、村に帰り着くことが出来た。


ご覧いただき、ありがとうございます。


第三章 終わりです。

第三章 said カーディラス 1話のみ、16時にアップします。


よろしくお願いします。

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