13 said カーディラス
(side カーディラス )
弟と妹と話した祝賀会の後も、カーディラスは仕事に忙殺された。
カーディラスは次期国王を支える立場として、騎士団長と共に騎士団をまとめる役を負っている。
あくまで次期国王の補助であるので、まだ騎士団長に教授されるばかりだが、この役についてから間もなく旅に出てしまったため、覚えなくてはならない仕事、得ておかなければならない知識がたくさんある。
その上で、旅での情報をもとに、騎士団長と、国の守りについてーどこの地域にどれだけの人員を配備するか、どの騎士団が担当するかを話し合いーそれを国王に報告しなくてはならないのだ。
(忙しすぎる!自分の時間が全くとれない!)
それに先日、弟と妹に煽られてからまた何か言われるのではとラミアに会いに行けず、結局、ラミアと変な別れ方をしてから2ヶ月がたっていた。
(アランとシシリーにまた揶揄されるかもしれないが・・・ラミアは大事な妹だ。やはり会いに行こう。)
そう決心してから、1ヶ月後に何とか3日間の休みを確保すると、カーディラスはノルデンに向かった。
「・・・いない?」
「ああ。ラミアは、3ヶ月前にこの街を出たんだ。」
カーディラスは、ラミアが働いていたという<グリム亭>を訪ねていた。
そして行方を聞くカーディラスに、マイナが応える。
「あんた、祭りの夜に、ラミアといたって奴だろ。ラミアがよそ者といたって、噂になってた。」
よそ者というより、カーディラスの見た目の良さで噂になっていたのだが、マイナはそれには触れずに告げる。
「ラミアが良くない奴に追われてるってのは、聞いてたかい?」
「ああ。アルド商会に追われていると言っていた。」
「そうさ。あの祭りの翌日にね、ラミアが言ってきたんだ。祭の途中で、アルド商会の奴を見かけたって。きっとそれで見つかっただろうって。それで、その日のうちにこの街を出て行ったよ。あんたに頼れないのかい?って聞いたんだけれども。無理だ、もう会うことはないだろうって言ってたよ。・・・祭りの翌日、ラミアは泣きはらした目だったんだよ?あんたのせいだろう?」
・・・泣きはらした目、と聞いてカーディラスは驚いた。自分の正体を告げ、すぐに別れてしまった後に、ラミアはそんなに泣いたのだろうか?
(大事にしたかったのに。俺が、泣かせてしまったのか。しかも、ここに来るのが遅れて、それを知るのもこんなに遅くなってしまった。もう、この街の近辺にいるはずも無いだろうし、探す手立ても無い。・・・本当に、俺にはもう会わないつもりか?)
「・・・ラミアは、この街を出て何処に行くか、言っていたのか?」
「いいや、何も。しばらくして困ったら帰っておいでとは言ったけど。アルド商会の件が落ち着かなきゃね・・・。ラミアが出て行った日、アルド商会が来たんだよ。もう出て行っちまったから、知らないって言ったけど。・・・ラミア、捕まらずに元気だと良いんだけどねぇ。」
カーディラスはお礼を言って、グリム亭を出た。
(今、何処にいるかもわからない。・・・ラァ。二度と会えない・・・のか?)
辛い状況を乗り切って、強い眼差しで前を向いて進むラミア。眩しく、でも一緒にいると楽しくて安らげた。
貴重な存在だから、無くさないように、と言っていた、アランドールの言葉が胸によみがえる。
カーディラスは胸に穴が空いたような喪失感に襲われていた。




