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探偵の苦悩-3-

これは森慎吾殺人事件の容疑者である田中哲平が失踪する前の話である。

清水と鵜飼は爆発に巻き込まれ死亡した人物が当時働いていた会社に話を聞きにいく。

その後、探偵事務所へと戻った二人は永島から事件を紐解く上で重要な話を聞かされる。


登場人物

清水亮:大学二回生 鵜飼渚:同じ大学の同級生 永島透:清水の叔父で探偵 熊谷一:永島の助手

「ワトソン君、枝野から何か連絡はあったか?」永島の問いに熊谷はこう答えた。

「容疑者は三人に絞られたらしく明日最後の容疑者に事情聴取を行うそうです。」

「結局僕は用無しってことか。」永島は少し寂しそうな素振りを見せた。


永島探偵事務所でこんな会話が交わされている頃、清水と鵜飼は10年前の爆発に巻き込まれて死亡した、

江藤という人物が当時働いていた建築事務所に来ていた。江藤には昔お世話になったという体で、

彼の元同僚に話を聞きに来たのだ。応接室に通され、その同僚は話始めた。

「彼はとても真面目な人物だったよ。正義感に溢れていた。」

「江藤さんに何かトラブルはありませんでしたか。」清水が訊く。「君たち警察みたいなこと言うね。

ちょっと前に来た刑事さんも同じようなこと言ってたよ。トラブルねえ。

さっきも言った通り彼は正義感がとても強い真面目な人物だった。

だから職場の同僚と仕事の話で熱くなりすぎてたことはよくあったかな。

あと、噂によると同僚にお金を貸してたとか。まあけど真面目な人だったよ。」清水はその後しばらく話をし、

お礼を言って部屋を後にした。清水には引っかかったことがあった。

それは警察がここに来たと彼が言ったことだ。


二人は永島探偵事務所へと向かった。そこでこれまでの話をした。清水が建築事務所を訪れた話をしたとき、

永島は目を丸くした。

「へえそれは奇遇だな。実はそこの従業員が殺された事件の調査を今していて…いや何でもない。

今の話は忘れてくれ。部外者に話したと知られたら絶対あいつにしつこく詰められる。」

永島は枝野との会話を想像し、苦い表情をした。「そうそうそんなことがあったから、

僕はその建築事務所について調べていたんだ。」

永島はこれが今回の事件に関係しているかまだ確証はないと前置きをしてこう言った。

「あの会社には何か闇があると僕は睨んでいる。

昔あった別の建築会社の話だが、そこの従業員が会社の安全管理不足で事故死した。

被害者に身寄りはいなかったらしい。社長は事故現場に居合わせていた従業員に賄賂を渡して口封じし、逃走。

もちろんその会社は潰れた。その社長が君たちが訪れた会社の社長と同一人物であるという噂だ。

もちろん決定的な証拠はない。ただ長年の探偵の勘がこの噂は正しいと囁いている。」

「つまり不祥事を起こした社長は新たに別の建築事務所をつくり、

それが僕たちが訪れた会社ということですか?」「あくまで噂程度だがな。」永島は続けてこう言った。

「もう一つ面白い話を教えてやろう。

それは10年前の爆発に巻き込まれた客の一人はその建築事務所、つまり新しい方の会社の社員、

店の従業員もその会社の元社員だったらしい。」そしてここからが本題だと言うように、

永島は一呼吸置いて続けてこう言った。「賄賂を渡して口封じした元の会社にいた社員は新しい会社、

つまり君たちが訪れた建築事務所で働いていたらしい。」

みなさん読んでくださりありがとうございます。

今回のエピソードでは10年前の事件を紐解く上で非常に重要な話が含まれています。

引き続き推理を楽しみながら読んでいってください。

続編をお楽しみに。

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