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リタイア魔術師と隷属魔術  作者: ハルラララ
第一章、プロローグ

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主人公と受付嬢⑤

説明会はやっとおしまい。

「というか、自分の消息隠したいんだったら、多分もうバレてると思いますよ?」

「え?」

……なんで?

「だって口座からお金下ろしたりしたら、履歴で生きてる事なんてバレるに決まってるじゃないですか」

「…………あ」

言われてみればそりゃそうだ。

口座のお金の動きを見れば、その人間が生きてるかどうかなんて一目瞭然じゃん。

「なんで口座下ろす時に教えてくれないんですか!」

「エレノアさんから『主人からお金を下ろしてくるよう指示を受けましたので』と言われたら認めるに決まってるでしょう。隷属紋あるんですから、主の命令には逆らえないんですから」

そりゃそうだ。

主従関係がそんな所で裏目にでるとは。

「あれだけエレノアさんか死んだ目で『生活費』とか、『修理代』とか言っていたら、そりゃあとうとうお金に限界がきて四の五の言っていられなくなったと思いますよ」

悲報。

全部自分のせいであった。

「……まあ、ギルドの他人の口座情報なんてよほど権限が高い人間じゃないとみないでしょうし、


自慢じゃないが、当時の勇者パーティの中でも自分の知名度は断トツ最下位だ。

吟遊詩人の話でも自分の話なんて聞いた事ないし、なんだったらたまに臨時でゲストメンバーで参加してくれてたミラさんの方が知名度としては普通に有名なくらい。

「魔王城侵攻前に描いてた『勇者一行の雄姿』の協会の壁画にも俺の姿書かれてなかったですね」

「……そこまでいくと、なぜそんな扱いを受けているのかが疑問ですが」

「…………なんででしょうね?」

「その間は理由に心当たりがある人の間ですね」

えーと、多分『絵姿書くなら、モデル代くださいよモデル代』って言ったり、王族や貴族との懇親会を『ギャラでるんですか?え?会うだけで光栄な方々に会えるのだからそんなもの出るわけない?あ、じゃあ結構でーす』といって不参加で宿で魔術の実験してたり、勇者一行の必要経費で魔術の実験触媒買ってたり……身に覚えはないな、うん。

「なになに……『勇者が快諾したクエストの後で出てきて、適正価格に必ず2割割り増しでの報酬を要求してくる』、『勇者に直接願い事をしてくるのを毎回妨害してくる』、『あんな奴、いなくなってくれた方がよっぽと』……」

「なんですかそれ?」

「ギルドの勇者一行の貴方のギルド職員向けプロフィール読んでました」

そんな扱い受けてたんだ、俺

「むしろ今までよく追放されませんでしたね」

「まあ、勇者が勧誘したメンバーって、俺だけだったしな……」

「周囲の人間からなにか言われていた記憶はないんですか?」

「自分の利益にならない奴らの言葉なんていちいちまともに聞いてなかったし……」

「無敵の人ですか、あなたは」

そうか、そんな評価受けてたのか自分は……ちょっとだけ凹むな。

「誰に何を思われようとしったこっちゃないから、別にどうでもいいと言えばどうでもいいけど」

「能力で人格を見逃されてた典型みたいな性格してますね、貴方」


「……まあ、そんな扱いの人間を消息不明になってから何か月も追い続ける人もいないでしょうし、当面は大丈夫なんじゃないですか?ひょんな時に気づかれるかもしれませんが、下手すれば生きてることを握り潰されそうな扱いですし」

「人を地雷原の厄ネタ扱いしないでください」

「事実じゃないですか」

ミラは冷たい目で視線を向けた。

「厄ネタの塊みたいな二つ名の人にそんな事言われても。『殲滅』ってなんですか『殲滅』って」

「昔の事言わないでくれます!?そんなのこっちが聞きたいですよ!!!

大体なんでエリスは『聖母』で、ルミナは『戦乙女』で、私だけ『殲滅』なんですか!?絶対おかしいですよこんなのーー!」

それは現役時の貴女の戦闘スタイルが敵陣にど真ん中に単騎で突っ込んで、そのまま周囲の敵を片っ端から屠りまくるどこの狂戦士だよって戦闘スタイルにあるんじゃないでしょーかといいたいが、あえて言わない。

スタイルで言えばよっぽどルミナのほうが……おっほん!


ミラは「は~あぁ……」と深いため息をつきながら、また受付の書類に目を落とした。 彼女の指先が書類をめくる音が、午後の静かなギルドホールに小さく響く。

「平和ですね……」

「もう少ししたらクエストを終えた皆様が戻ってくるので、また忙しくなるんですけどね」

「……なんかでも、こんな空気が続いていると、世界って平和になったんだなって思いますよ」

「それはあなたがヒモになっていい理由にはならないですからね?……まあ、同感ですけど」

苦笑しながらミラさんは書類仕事のまとめに入っている。

ああ、なにもせずにただ時間がぼーっと過ぎていく。なんて贅沢で素晴らしい時間なのか。


いやほんと、こんなぐーたらとたまに実験だけできる生活が続いてくれればと真摯に願う。

誰にも本当、今後も自分の存在が見つかりませんように……


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???「みーーつけった。……やっと。やっとやっとやっと。見つけたよ……?」


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