38話 幸せの青い鳥 ⑩
ちょっと間が空いてしまいました。ゴメンナサイ。
「お、落ち着いてよクライス! なんでボクらが戦わないといけないの?!」
「悪く思うなキトゥン。死んでいった部下たちのためだ。」
「そんな・・・。」
キトゥンがクライスを必死に止めてる間、アンジェがエミリエットを説得する。
「ちょっとエミリエット、あんたの上司暴走してるじゃない! どうにかしなさいよ!」
「できるかはわかりませんが、尽力してみましょう。」
さすがに同じ部下の言葉ならわかってくれるはず・・・!
「団長、武器をお収めください。私としてはこれ以上誰かと争いたくありません。」
「そうか・・・。」
エミリエットの言葉に一瞬落ち着いたかのように見えた。ただ、次のクライスの行動は誰にも予想できなかった。
彼はあろうことか、仲間であるはずのエミリエットにも刃を向けた。
「団長命令だ。キトゥンと狙撃手を相手しろ。従わないならお前もここでまとめて潰す。」
「・・・了解しました。」
完全に周りが見えなくなっている。仲間の復讐だと言ってるのに、その仲間にも自分から手を上げようとしている。もう滅茶苦茶だ。
エミリエットがキトゥンとヒューゴを相手するってことは、私とアンジェ、アデルで聖騎士団の団長を止めるってことか・・・。
「やるしかないようだな。」
「うん・・・!」
アデルも同じ気持ちだった。私は覚悟を決めた。
「俺とやるつもりか? アデルはともかく、メガネ娘とその妖精では相手にならんぞ。娘のその不思議な力は脅威だが・・・どうやらいつでも使えるわけではないようだしな。」
バレてる・・・。
そもそもこの力・・・神通って1日に2回使えるのかな。使えなかったら本当に私、アンジェ以上に戦力外なんだけど。
「地味子。私とアンジェで奴をくい止める。お前はもう一度その力を試してみてくれないか? それが本当にお前の言う通り魔力を操れるのだとしたら、怪我をさせずクライスを倒せるかもしれない。」
「やってみる・・・けど、2人で大丈夫なの?」
「そこはなんとかする。いくぞアンジェ。」
「わ、私も戦うっての?! もう、世話が焼けるわね。」
アンジェ大丈夫かな。アデルと共闘だなんて、防御スキルしか使えないダメな子なのに。
「・・・今あんた失礼なこと考えてたでしょ。」
「なんでバレたの?!」
「そんな顔してた。」
心を読まれたのかと思った。
「言っとくけど、その力が使えないなら私よりも使えないダメな子なんだからね!」
「やっぱり心読まれてる!」
「・・・は?」
「お喋りとは随分と余裕だな。」
私の顔のすぐそばで刃と刃のぶつかり合う音が響き渡る。アデルがクライスの攻撃を止めてくれた。
「油断するなお前たち・・・守るにも限界があるぞ。」
「「ご、ごめんなさい・・・。」」
そう、間違っても油断しちゃだめ。数で勝ってるとはいえ、相手は国の精鋭部隊。
とにかく今はもう一度神通を発動しないと・・・!
幸せの青い鳥を近くの岩の上に寝かせ、さっきと同じようにイメージを形にする。
「解放された魔力を集中、そして操作・・・。」
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
・・・あー。
これ無理っぽい。
「だめ・・さっきみたいなイメージが全然浮かばない。なんでできないの・・・?」
私って本当に使えない・・・。
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地味子は今、後ろで再び力を発動するために集中している。ここは私とアンジェでしっかり役目を果たさねばな。
「だから私の背中に隠れてガタガタ震えるのはやめてくれないか、アンジェ・・・。」
「だ、だって相手は聖騎士の団長よ?! シェブール王国直属部隊の隊長なのよ?! いや、別に怖いとかじゃなくてね? 何て言うの? 武者震いってやつ?」
不安だ・・・。
アンジェの脂汗が尋常ではない。
「えっと、危ないから別に無理しなくても・・・。」
「よしアデル! まずは何するんだっけ? そうそう、確か母親の病気を治すために薬草が必要だったのよね!」
「ちょっと落ち着けアンジェ! それは私たちが初めて出会った頃の依頼だ!」
不安だ・・・・・・!
クライス相手にアンジェのお守までしている余裕は無い。そんなことをしている間にも・・・。
「雷霆の・・・。」
上空に巨大な魔力を感じ咄嗟にティルウィングを構える。
「・・・鉄槌!」
巨大な落雷。
魔力によるものである以上、ティルウィングで斬り伏せることはできる。面倒なのは・・・。
「ふっ!」
ほぼ同時に槍による一突きが私に襲いかかる。
「雷の魔法攻撃を放っている間も自由に動けるのか。厄介だな。」
「その俺の攻撃に反応するお前こそ厄介だぞ『砕剣』。その魔法を斬る大剣もな。だが・・・。」
私の足元の地面が強い光を放つ。まさか・・・。
「雷霆の旭日!」
その瞬間私は後ろから思い切り引っ張られた。目の前を鋭い雷が天に向かって高速で伸びていく。どうやらアンジェが引っ張って助けてくれたようだ。
「す、すまない・・・。」
「危なかったわね。1つ貸しよ?」
地味子だけでなく、アンジェにも助けられるとは。本来は私が助ける立場のはずなんだが、私もまだまだだな。
「私じゃ絶対勝てないからね、あんたに退場されちゃ困るのよ。それにしても、雷魔法って言うから空と武器から以外は出せないと思ってたけど、まさか地面から出してくるとはね。」
「あぁ、やはり私1人ではきつそうだ。手伝ってくれるか?」
「仕方ないわねぇ、この妖精アンジェちゃんに任せなさいっ!」
「ところで、いつの間に緊張が解けたんだ?」
「何言ってんのよ、まだ全然ガチガチよ。手汗ヤバいわよ。」
うーん、やっぱり不安だ。
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ボクとひぃちゃんは聖典騎士団の副団長、エミリちゃんの相手を任された。
「エミリちゃん! なんとかクライスを説得できないの?! ていうかなんでクライスの方に手を貸しちゃうわけー?!」
「正直、団長の考えには賛同しかねます。私だってこれ以上の争いはしたくありません。」
「じゃあなんで・・・?」
「団長の決めたことだからです。私はそれについて行くだけの話。たとえそれが過ちであろうとも、ね。」
怖いぐらいの心酔っぷり。これは何言ってもだめかも・・・。
「あなた方に団長の邪魔はさせません。ここで足止めさせてもらいます。」
エミリちゃんはずっと大事そうに抱えていた本を開いた。ページが光を放ったかと思うと、そこから文字が溢れ出す。
「文字が、浮いてる・・・?」
大量の英文字がボクたちの周りをふよふよと浮かんでいる。その異様で不思議な光景に目を奪われた。
「書架魔法を見るのは初めてですか? まあ、シェブールで使えるのは私くらいなので当然かもしれませんが。」
「初めて聞く魔法だな。」
「口で言うより見てもらった方が早いですね。」
開かれた本が再び光りだし、更なる文字が溢れ出る。
「いきますよ・・・幻想書架・烈火!」
本から飛び出したのはFireの英文字。ボクに向かって飛んでくる。
何これ? そこまで速くないから避けられないこともないけど・・・。
「っと・・・。」
あれ、熱い・・・?
Fireの文字は私の身体を掠め、後ろの樹氷にぶつかり大爆発を起こした。まとわりついていた氷は一瞬で溶け木は黒焦げの炭になる。
「ななっ・・・何これ?!」
「これが私の魔法、「幻想書架」。私はこの魔本イデアにより好きな文字を描くことができる。文字にはその魔法効果が表れます。」
それって・・・。
「一見するとただの文字だが、自分の思い通りに何でも創り出せるってことか・・・!」
「そういうことになりますね。当然、ある程度の限度はありますが。」
思ってたよりヤバい相手かも・・・。
マイペースにやっていきます。




