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地味子の地味な異世界転移  作者: 汐とまと
第1部
38/75

38話 幸せの青い鳥 ⑩

ちょっと間が空いてしまいました。ゴメンナサイ。

「お、落ち着いてよクライス! なんでボクらが戦わないといけないの?!」

「悪く思うなキトゥン。死んでいった部下たちのためだ。」

「そんな・・・。」


キトゥンがクライスを必死に止めてる間、アンジェがエミリエットを説得する。


「ちょっとエミリエット、あんたの上司暴走してるじゃない! どうにかしなさいよ!」

「できるかはわかりませんが、尽力してみましょう。」


さすがに同じ部下の言葉ならわかってくれるはず・・・!


「団長、武器をお収めください。私としてはこれ以上誰かと争いたくありません。」

「そうか・・・。」


エミリエットの言葉に一瞬落ち着いたかのように見えた。ただ、次のクライスの行動は誰にも予想できなかった。


彼はあろうことか、仲間であるはずのエミリエットにも刃を向けた。


「団長命令だ。キトゥンと狙撃手を相手しろ。従わないならお前もここでまとめて潰す。」

「・・・了解しました。」


完全に周りが見えなくなっている。仲間の復讐だと言ってるのに、その仲間にも自分から手を上げようとしている。もう滅茶苦茶だ。


エミリエットがキトゥンとヒューゴを相手するってことは、私とアンジェ、アデルで聖騎士団の団長を止めるってことか・・・。


「やるしかないようだな。」

「うん・・・!」


アデルも同じ気持ちだった。私は覚悟を決めた。


「俺とやるつもりか? アデルはともかく、メガネ娘とその妖精では相手にならんぞ。娘のその不思議な力は脅威だが・・・どうやらいつでも使えるわけではないようだしな。」


バレてる・・・。

そもそもこの力・・・神通って1日に2回使えるのかな。使えなかったら本当に私、アンジェ以上に戦力外なんだけど。


「地味子。私とアンジェで奴をくい止める。お前はもう一度その力を試してみてくれないか? それが本当にお前の言う通り魔力を操れるのだとしたら、怪我をさせずクライスを倒せるかもしれない。」

「やってみる・・・けど、2人で大丈夫なの?」

「そこはなんとかする。いくぞアンジェ。」

「わ、私も戦うっての?! もう、世話が焼けるわね。」


アンジェ大丈夫かな。アデルと共闘だなんて、防御スキルしか使えないダメな子なのに。


「・・・今あんた失礼なこと考えてたでしょ。」

「なんでバレたの?!」

「そんな顔してた。」


心を読まれたのかと思った。


「言っとくけど、その力が使えないなら私よりも使えないダメな子なんだからね!」

「やっぱり心読まれてる!」

「・・・は?」



「お喋りとは随分と余裕だな。」



私の顔のすぐそばで刃と刃のぶつかり合う音が響き渡る。アデルがクライスの攻撃を止めてくれた。


「油断するなお前たち・・・守るにも限界があるぞ。」

「「ご、ごめんなさい・・・。」」


そう、間違っても油断しちゃだめ。数で勝ってるとはいえ、相手は国の精鋭部隊。

とにかく今はもう一度神通を発動しないと・・・!

幸せの青い鳥を近くの岩の上に寝かせ、さっきと同じようにイメージを形にする。


「解放された魔力を集中、そして操作・・・。」


・・・。


・・・・・・。


・・・・・・・・・。


・・・あー。


これ無理っぽい。


「だめ・・さっきみたいなイメージが全然浮かばない。なんでできないの・・・?」


私って本当に使えない・・・。



________________________________________



地味子は今、後ろで再び力を発動するために集中している。ここは私とアンジェでしっかり役目を果たさねばな。


「だから私の背中に隠れてガタガタ震えるのはやめてくれないか、アンジェ・・・。」

「だ、だって相手は聖騎士の団長よ?! シェブール王国直属部隊の隊長なのよ?! いや、別に怖いとかじゃなくてね? 何て言うの? 武者震いってやつ?」


不安だ・・・。

アンジェの脂汗が尋常ではない。


「えっと、危ないから別に無理しなくても・・・。」

「よしアデル! まずは何するんだっけ? そうそう、確か母親の病気を治すために薬草が必要だったのよね!」

「ちょっと落ち着けアンジェ! それは私たちが初めて出会った頃の依頼だ!」


不安だ・・・・・・!

クライス相手にアンジェのお守までしている余裕は無い。そんなことをしている間にも・・・。


「雷霆の・・・。」


上空に巨大な魔力を感じ咄嗟にティルウィングを構える。


「・・・鉄槌!」


巨大な落雷。

魔力によるものである以上、ティルウィングで斬り伏せることはできる。面倒なのは・・・。


「ふっ!」


ほぼ同時に槍による一突きが私に襲いかかる。


「雷の魔法攻撃を放っている間も自由に動けるのか。厄介だな。」

「その俺の攻撃に反応するお前こそ厄介だぞ『砕剣』。その魔法を斬る大剣もな。だが・・・。」


私の足元の地面が強い光を放つ。まさか・・・。


「雷霆の旭日!」


その瞬間私は後ろから思い切り引っ張られた。目の前を鋭い雷が天に向かって高速で伸びていく。どうやらアンジェが引っ張って助けてくれたようだ。


「す、すまない・・・。」

「危なかったわね。1つ貸しよ?」


地味子だけでなく、アンジェにも助けられるとは。本来は私が助ける立場のはずなんだが、私もまだまだだな。


「私じゃ絶対勝てないからね、あんたに退場されちゃ困るのよ。それにしても、雷魔法って言うから空と武器から以外は出せないと思ってたけど、まさか地面から出してくるとはね。」

「あぁ、やはり私1人ではきつそうだ。手伝ってくれるか?」

「仕方ないわねぇ、この妖精アンジェちゃんに任せなさいっ!」

「ところで、いつの間に緊張が解けたんだ?」

「何言ってんのよ、まだ全然ガチガチよ。手汗ヤバいわよ。」


うーん、やっぱり不安だ。



________________________________________



ボクとひぃちゃんは聖典騎士団の副団長、エミリちゃんの相手を任された。


「エミリちゃん! なんとかクライスを説得できないの?! ていうかなんでクライスの方に手を貸しちゃうわけー?!」

「正直、団長の考えには賛同しかねます。私だってこれ以上の争いはしたくありません。」

「じゃあなんで・・・?」

「団長の決めたことだからです。私はそれについて行くだけの話。たとえそれが過ちであろうとも、ね。」


怖いぐらいの心酔っぷり。これは何言ってもだめかも・・・。


「あなた方に団長の邪魔はさせません。ここで足止めさせてもらいます。」


エミリちゃんはずっと大事そうに抱えていた本を開いた。ページが光を放ったかと思うと、そこから文字が溢れ出す。


「文字が、浮いてる・・・?」


大量の英文字がボクたちの周りをふよふよと浮かんでいる。その異様で不思議な光景に目を奪われた。


「書架魔法を見るのは初めてですか? まあ、シェブールで使えるのは私くらいなので当然かもしれませんが。」

「初めて聞く魔法だな。」

「口で言うより見てもらった方が早いですね。」


開かれた本が再び光りだし、更なる文字が溢れ出る。


「いきますよ・・・幻想書架・烈火!」


本から飛び出したのはFireの英文字。ボクに向かって飛んでくる。

何これ? そこまで速くないから避けられないこともないけど・・・。


「っと・・・。」


あれ、熱い・・・?

Fireの文字は私の身体を掠め、後ろの樹氷にぶつかり大爆発を起こした。まとわりついていた氷は一瞬で溶け木は黒焦げの炭になる。


「ななっ・・・何これ?!」

「これが私の魔法、「幻想書架」。私はこの魔本イデアにより好きな文字を描くことができる。文字にはその魔法効果が表れます。」


それって・・・。


「一見するとただの文字だが、自分の思い通りに何でも創り出せるってことか・・・!」

「そういうことになりますね。当然、ある程度の限度はありますが。」


思ってたよりヤバい相手かも・・・。







マイペースにやっていきます。

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