37話 幸せの青い鳥 ⑨
いつもよりちょい長くなった気がします。
本当にちょいなので気にしないでください。気にしないでください。
気にしな(ry
「地味子、青い鳥を倒せるって本当か?!」
「うん、いけるかも。」
私の頭に突然浮かんだイメージ。これが実際に可能なら青い鳥を倒せる! そう思ったんだけど・・・。
「あのバケモノを倒す? 君が? にわかには信じがたいが。」
当然だよね・・・ついさっきまでお荷物だったのにね。
私が今からやろうとしてることは2人の協力が不可欠。アデルはいいとして、今日初対面のクライスがそう簡単に私を信用してくれるはずが・・・。
「まあ、いいだろう。今はどのみち他の方法は無いしな。協力しよう。」
あ、この人いい人だ。
「それで私たちはどうすればいい?」
「できるだけ青い鳥の持つ魔力を引き出してほしいの。全体の・・・だいたい7割くらいかな。」
「よし、わかった。」
ちょっと待ってくれと言わんばかりのクライス。
「魔力を引き出すって・・・どうするんだ? そんなことが可能なのか?」
それを言った私自身もやり方は正直わからない。無茶ブリなのはわかってたけど、アデルは平然と澄ました顔をしている。さすが、頼りになるなあ。
でも、どうするつもりなんだろう。
「要するに、青い鳥に本気を出させればいいって話だろう? 私たちが本気であいつを潰しにいけばいいという話だ。」
「あぁ、そういうことか。」
「いいの?! 本当にそれでいいの?!」
やっぱりちょっと心配になってきた・・・。
「アデルってたまに大雑把なところあるよね。」
「なんだ、褒めているのか?」
「どっちかというとバカにしてる。」
「いくぞクライス、正義執行だ。」
「俺のセリフを取るんじゃない!」
2人は再び青い鳥へと向かっていった。
私も覚悟を決めないとね。1回限り、失敗は許されない・・・!
「解放、集中、操作・・・。」
その場で目を瞑り脳内に浮かんだイメージを実践してみる。
妙に心が落ち着き自分の両手に温かい不思議な力が集まってくるのがわかる。うん、これならいけるかも。
アデルの斬撃とクライスの雷魔法も凄い威力で、青い鳥と次元の違う攻防を繰り広げている。魔力を引き出すのも問題なさそう。
問題は・・・。
「地味子! またそっちに攻撃が行ったぞ!」
すぐ目の前の地面が爆発し、積もった雪が巻き上がり顔にかかる。すっごい冷たい。
「だ、大丈夫・・・。あの、できればこっちに攻撃が向かないようにしてくれたら嬉しいんだけど。」
「それは無理だな。避けてくれ。」
「だよねー・・・。」
作戦実行の前に死ぬかも、私。
「地味子気をつけろ! 青い鳥はお前を捕捉しているぞ!」
「えっ・・・?」
アデルとクライスの攻撃も虚しく、青い鳥は無傷のまま私に近づいてきていた。もしかして私の力に反応してる? 私が青い鳥の力に反応したように・・・。
「おいメガネ娘! いけるのか?!」
「や、やってみる・・・!」
恐ろしく禍々しい見た目と全体から放たれる威圧感を改めて感じ取る。膨大な魔力が放出され、新たな魔力球体が生成され始めた。今までのものより遥かに大きい。大気が震えているのがわかる。
覚悟はしてたけどやっぱり怖い。心臓が締め付けられるように苦しい。いや、これは・・・。
「あ・・無理、かも・・・。」
足が竦んで逃げられない、手が震える、集中できない・・・!
「地味子! 避けろ!」
青い鳥の攻撃が私に迫る。
だめ、全然動けない・・・。
恐怖のあまり目をぎゅっと瞑り一瞬命を諦めかけたとき、微かに銃声のような音を聞いた。
青い鳥の放った魔力球体は高速で飛んできた銃弾に貫かれ、私にぶつかる前に空中で爆発した。爆風に押され尻餅をつく。
「いたた・・・何今の? ていうか私生きてる・・・?」
銃弾の飛んできた方に目をやると、銃口から硝煙が立ち上る特別製スナイパーライフル、閃天翔を構えたヒューゴがいた。
「あっぶねー、ギリギリ間に合った。」
「ヒューゴ生きてたのか! じゃあキトゥンとアンジェと・・・エミリエットも?」
「あぁ、みんな無事だよ。」
今度は青い鳥本体に向かって真っ赤に燃える火の玉が飛んでいく。
「燃え盛れ火之迦具土! 戯れの猫拳!!」
キトゥンの炎の鉄拳が炸裂し、青い鳥の身体を左右に大きく揺らす。
「地味子ちゃん無事ー?」
「キトゥンこそ・・・。」
「団長は当然ですが・・・あなたも無事でしたか、地味子さん。」
私の後ろにはいつの間にかエミリエットが立っていた。肩にはアンジェが座っている。
「アンジェも・・・よかった。」
「ふふーん、私がそう簡単に死ぬわけないでしょ。」
「何言ってんのアンちゃん。エミリちゃんが咄嗟に透明なキューブを作ってボクたちを守ってくれたからでしょー。」
青い鳥を殴りつけた後、見事な着地を披露するキトゥン。あの高さから飛び降りて平気だなんて相変わらずどんな身体能力してるの。
「そうだったのか・・・仲間が助けられたようだ。礼を言う。」
「いえ、国民の安全を守るのは聖騎士の務めですので。というかエミリちゃんはやめてください。」
「可愛いじゃないか、エミリちゃん。」
「アデルさんまで?!」
全員無事とわかって安心したアデルたちは何故かアットホームな感じになる。やっぱ緊張感無いなおい。
「きぃ、あれやるぞ。」
「オッケーひぃちゃん!」
キトゥンがヒューゴの閃天翔に手をかざした。キトゥンの持つ炎の魔力が溢れ出し、閃天翔へと注がれていく。これは・・・魔力の受け渡し?
「ところできぃ、恥ずかしいから技の名前は叫ばないように・・・。」
「これぞボクとひぃちゃんの合体技、ラヴリィハートシュート!!」
「全然聞いてねぇ!」
やけに可愛らしい技名とは裏腹に、その細い銃口からは考えられないような真っ赤な極太レーザーが放たれた。
「す、すごい・・・!」
「ていうか熱すぎ! 私の鮮やかで美しい羽が燃えちゃうって!」
少し離れている私たちにも感じられるほどの凄まじい熱。周囲の雪全てを一瞬で溶かし、爆炎が青い鳥を包み込む。あとアンジェうるさい。
今までにない叫び声に似た大きな鳴き声が耳をつんざく。
それとほぼ同時。超高音の熱を感じとったのか、それによって怒りを覚えたのかはわからない。
青い鳥は全魔力を解放した。
「今だメガネ娘!」
今ならこの力が使える!
私は確信した。即座にイメージを形にする。
「解放された魔力を集中、そして操作・・神通・・・!」
私の身体が強い光に包まれた。これは宝探し祭りの時と同じ、奇蹟の模倣者の光。
今なら理解できる・・・自分以外が持つ魔力を自分のもののように操ることのできる、不思議な力。
青い鳥が解放した魔力が私の手中に集まってくる。それだけじゃない。奇蹟の模倣者は青い鳥からさらに魔力を吸い取っている。これは青い鳥自身のものじゃない・・・誰か別の人の魔力? とてつもなく大きな力を感じる。もしかしてこの魔力が青い鳥を操ってたってこと?
やがて奇蹟の模倣者である白い光は全ての魔力を吸い取った後に消えていった。よかった、無事に成功したみたい。
そして・・・。
「何よあれ、青い鳥にヒビが・・・!」
苔で覆われた緑色の体に亀裂が走り、全体に広がった。
その亀裂に沿って表面がボロボロと剥がれていき、巨大な青い鳥の欠片が雨のように音を立てて大量に降り注ぐ。
「気をつけろ、中から何か出て来るぞ。」
最後の破片が剥がれた時、中から小さな何かが私の元へ舞い降りてきた。それが何かは私にはすぐにわかった。
「たぶん大丈夫だよアデル。」
そっと両手のひらで受け止めた。
「これが・・・この子が幸せの青い鳥だよ。」
スカイブルーの羽毛と黒く丸い目が特徴的な、愛らしい小鳥だった。
見つめていると癒され優しい気持ちになれる。おぞましい魔力を持ったさっきまでの姿とは似ても似つかない、まるで天使のよう。
あとはこの子をどこかの森にでも帰してあげれば、それでおしまい。
私はそう思っていた。
「なるほどな、メガネ娘の言っていた青い鳥を倒せるというのはそういうことだったのか。」
未だ武器を手に持ち私を見つめるクライスに気付くまでは。
アンジェもそれに気付いたのか、睨みつける。
「ちょっとあんた、どういうつもり? もうこれで一件落着でしょ。なのにどうしてあんたは魔力を解放したままなのよ。」
「そのバケモノの後処理は俺たち聖騎士団に任せてもらおう。」
バケモノ? 何を言ってるの? この子はもうただの青い小鳥。
もう終わったはずなのに、もう誰にも戦う理由は残ってないはずなのに・・・。
「どうしてクライスはこの子に敵意を向けてるの・・・?」
「部下たちの仇だからに決まっているだろう。そいつのせいで今まで何百人もの人間が死んだ。」
「で、でも・・・この子は誰かに操られて・・・!」
「それは関係ない。」
クライスは私に金色の槍を向けた。今にも刃が喉を貫きそうなくらい、鋭い輝きを放つ。
この子は操られて苦しめられて傷つけられてきたのに・・もう戦う意思の無いこの子にこれ以上何をするっていうの・・・?
「その鳥を俺に渡せ。」
考えるよりも先に、口が動いた。
「嫌だ・・・!」
私は小鳥を離さないようにしっかりと抱きしめる。
そして私と小鳥を守るかのようにみんなが私の前に立つ。アデルとヒューゴが武器を構え、キトゥンが魔力を解放する。
「引き下がる気は無いか・・・いいだろう。」
クライスの槍、ブリッツシュラークが金色の雷を纏う。
「俺もそのバケモノの所業を見過ごすつもりは毛頭無い。それを庇おうとするお前たちのこともな・・・正義執行だ。」
国の最精鋭、聖騎士団団長の魔力が私たちを威圧し圧倒し、そして私たちに敵意を向けた。
まだ続きますごめんなさい。




