決着 深まる謎
〈空断〉
空間魔法の上級攻撃魔法。空間を断ち防御力に関係なく切り裂く。ただし、自身の魔力を流したもので切り裂いたところにのみ作用する。消費MP300
俺は刀に〈空断〉をかけ、隷属の首輪に斬りかかった。するとあっけなく首輪は切断された。
首輪がなくなると、ドラゴンは静かに降下して行くと地上に倒れて動かなくなった。
「ま、まさか隷属の首輪を斬るなんて。それにさっきの魔法……。空間に干渉する魔法だとでもいうのか?そんなやつ僕らの中にもいないぞ。なら、今ここで戦うのは危険か?でも……」
俺が隷属の首輪を斬ってからあの子供はぶつぶつと何やら呟きだした。さっきみたいに攻撃しようとしたが流石に警戒されており、無駄に終わりそうなので様子を見ることにした。
暫くして奴はこっちを見ると
「やっぱり今殺しておくべきだ。うん、そうしよう。今はまだ剣の腕も未熟だし僕一人でもなんとかできそうだし。」
そう言って剣を構えた。
「引く気はないんだね?」
俺的にはドラゴンを倒したし、もしかしたら引いてくれるかもと思っていたが
「もちろん。確かにお兄さんはみたこともない強力な魔法を使えるけど剣の腕はど素人だし、僕が負けるわけないもんねっ。」
言い終わると同時に俺の方に向かって突っ込んでくる。俺は即座に刀を構えて迎え撃った。
俺の首筋目掛けて振り下ろされた剣をかがんで避け、俺は刀を相手の腹に突き出した。奴はそれを回りながら避けるとその回転を活かしつつそのまま回転斬りをしてきた。慌てて刀で防ぐが勢いまでは殺しきれず、横に飛ばされた。そこに追い討ちをかけるように俺に迫ってくる。
「クソッ‼︎〈転移〉」
俺はすぐに〈転移〉を使って奴から離れた。
「やっぱり、その魔法は厄介だよ。でもそれを使い続ければいつか魔力切れになるんじゃないの?ついでに言うと僕、速さと体力は自慢で今くらいのぺースだも1日は相手できるよ。」
(確かにこのままじゃ、ヤバイかも。未知の固有スキルに頼るのはあんまりしたくないなぁ。でも依頼を無視して帰るのも気が引けるし。それにこんな奴を野放しにしていたら危険だ。何かいい手は……あっ!これなら意表を突けるかも。おそらくだけどステータスはこっちの方がかなり高いはずだ。なら、一発でもまともにダメージが入れば倒せるはず。)
俺は作戦を決めると奴の方を見て言った。
「そういえば、君一体何者?街にいたAランク冒険者より遥かに強いけど?」
「はあ?もしかして僕の正体にすら気づいてなかったの?僕みたいな美しい銀髪をしているのなんて魔族以外ありえないでしょ。むしろお兄さんの方が何者だよ?僕こんな見た目だけど一応上位魔族の中でもかなり強いんだよ。そんな僕の相手ができる人間なんているはずがないよ。」
「俺は人間のつもりなんだけどなぁ。」
自称竜神を吸収してステータスは半端なく強くなってるけど
「ま、気にしてもしょうがないか。だってお兄さんはここで死んじゃうしねっ」
そう言ってまた斬りかかってくる。
よし、来た。
俺は奴が俺に届く寸前に背後に転移し、思いっきり刀を振るった。
俺が背後に転移してくるのを読んでいたのか奴は剣で俺の攻撃を防ごうとした。しかし、やはり奴は気づいていなかった、俺の全力の力を。さっきまでこいつと打ち合ったときは防ぐのに集中しており力を込めて刀を振るえていなかった。だが今俺が放ったのは全力の一撃だ。
防御体制のまま上空に打ち上げられた奴は急いで体勢を立て直そうとする。しかし俺は間髪入れず、奴に向かって刀を投げつける。
自分に向かって飛んでくる刀に気づいたのか、体勢を立て直すのをやめ刀が来るのに備えている。
俺はもう一度奴の背後に転移して刀をネックレスに戻して再び魔力を流して刀にしてそのまま斬りつけた。
体勢が崩れているうえに、急に刀が消えたため思わず俺への注意を忘れてしまった状態では、いきなり自分の背後から現れた俺の攻撃に対処できるはずもなく…
俺の刀が右肩から脇腹までを一気に切り裂いた。そして、奴は地上へと落ちていく。
地上に転移すると驚くことに奴はまだ死んでおらず指先に魔力を集め魔法陣を描いていた。ろくなことはしないだろうし殺そうとして俺は迷った。
(俺はこいつを殺すべきなのかな?こいつのしたことは許されない。それでも人を殺すのは駄目だ。)
その瞬間自分が斬ったことで死のうとしている命が目の前にあることに気づき俺の体は震えだした。戦いの最中は自分の命がかかっていたこともあり、気にしていなかったが俺は人を殺そうとしているのだ。
俺のためらいに気づいたのか奴はニヤリと笑うと魔法陣を書きながら俺に話しかけてくる。
「僕が、何故死にそうかわかる?お兄さんのせいだよ。お兄さん、僕が死んだら人殺しだね。」
そう言ってクスクスと笑っている。
そうしている間にも魔方陣は完成へと近づいている。
(人殺し?人を殺す?人を殺す?そんなの駄目だ。どんな理由があっても人は殺しちゃいけないんだ。そうですよね、先生?俺は俺は俺は……)
「それじゃあ、バイバイ。人殺しさん。」
奴の体は魔法陣の中に沈んでいく。
その時俺は目醒める。
「逃がすか〈空爆〉」
魔法陣に向かって〈空爆〉を放つ。しかし爆発するギリギリのタイミングで奴の体は消えた。
「逃げられたか。まあ、仕方ないな。」
そして俺の意識は薄れていく……
俺は急にからだが軽くなるのを感じた。そしてあることに気づく。
(まただ、気がつくといつの間にか自分の心が変わってしまっている。今はもう人を殺すことに対する忌避感さえほとんど感じなくなってる。俺は一体どうなってしまうんだ……)
そこまで考えたところで俺の意識は途切れた。
次回からは少し日常編的な感じでいきたい……
あっ、次新ヒロインでます!




