俺専用の武器
さて、明日の準備といってもまず何をしようか?
とは言ってもお金をそんなに持っていないから、できることはあまりないんだけど…
そんなことを考えつつ〈ソラス〉の街を歩いていると不思議な店があるのを見かけた。
一見するとただの武器屋のようなのだが、建物全体から力の波動を感じるというか…
俺がそのことを不思議に思いながら店を見つめていると中から筋骨隆々といった風貌をした男が出てきた。
「どうした坊主?なんか用があんのか?」
俺はどう答えればいいのか迷ったが、思ったことを言ってみることにした。
「いえ、この建物からなんだか不思議な力が溢れている気がしたものでちょっと気になって…」
俺がそう言うと男は嬉しそうな顔をして俺の方を見てきた。
「ほう。坊主意外と見どころがあるな。よし、ちょいと俺についてきな。おっと、自己紹介がまだだったな。俺はこの店〈旅する武器屋〉の店長のガラハドだ。よろしくな。」
ガラハドさんは店の中に入ると手招きをしてきた。
「俺は〈ソラス〉で冒険者をしている光田って言います。まぁ、冒険者の方はまだ始めたばっかりなんですけどね〜」
俺は店の中に入りながらそう答えた。
店の中には幾つかの武器が売ってあった。ガラハドさんによると一番安くても金貨5枚くらいするらしい。ただ、俺の目でもここにある武器がそうとうな業物だとわかるので、適当な価格なのだろう。
「そうなのか?俺はてっきり高ランクの冒険者だと思ったんだかなあ。まあ、細けえことはどうでもいい。ところでおめえは武器を持ってるか?」
「いえ、持ってないです。」
(正直、武器がなくても戦えるしね。)
「ならちょうどいい。この俺がおめえ専用の武器を作ってやる。」
「でも、俺あんまりお金を持っていませんよ?」
「金なんて気にすんな。金が払いたきゃ金が溜まったら払えばいい。俺の予感が告げてんだ。おめえはこの先ビッグな男になるってな。それに俺にとって武器作りはただの趣味だし気にすんな。」
そう言ってガラハドさんは俺を地下の鍛冶場まで連れていった。
「さて、今からおめえの武器を作ろうと思うんだがどんな武器がいい?」
俺は少し考えてから答えた。
「特にこれといったものはありませんが、強いて言うなら刀ですかね」
「刀?なんだそりゃ?」
どうやらこの世界には刀はなさそうだ。
俺は俺の知っている程度ではあるが刀についての説明をした。無論俺もそんなに詳しくはないのだが。
ガラハドさんは少しの間目を閉じてぶつぶつと呟き出した。暫くしてガラハドさんは目を開けた。
「なかなか面白そうな武器じゃねぇか。よし、この俺に任しときな。その刀とかいうやつを作ってやるぜ。」
そう言うとガラハドさんは必要なものを準備して刀を作り始めた。
ガラハドさんの動きは手慣れたもので徐々に形ができてきつつあった。ときおり、いかにも貴重そうな輝く金属などを使っていた気がしたが値段を聞くのが怖くなりそうなので見なかったことにした。
それからどれくらいの時間がたっただろうか?不意にガラハドさんが俺に質問をしてきた。
「おめえは、魔法はどれくらい使える?」
「結構使える方だと思いますけど…」
「なら、これでいいか。ちょいとこっちに来てくれ。」
俺がガラハドさんのところに近づくとそこには刀身は黒く染まっているが逆に柄は白い美しい刀があった。
「おめえの言う刀ってのはこんな感じか?」
「はい、完璧だと思います。」
俺が笑みを浮かべながらそう答えるとガラハドさんは嬉しそうに笑った。
「気に入ったようで何よりだ。俺としても新しい武器の作り方が学べたからよかったぜ。さて、あとは仕上げだけだ。この刀におめえの魔力をありったけ注ぎな。そうすることでこの刀はおめえ専用の武器になる。そして、魔力に応じて武器の性能も上がる。ごく稀にではあるが、特殊な能力が付くこともあるからな。」
俺はその話を聞いて最初はちょっと込めればいいと思っていたがほぼすべての魔力を込めることにした。
「じゃ、やりますね。」
俺はそう言うと俺の持つ全魔力を刀に注いだ。
「ッ‼︎この魔力の量…おめえいったい…」
ガラハドさんの驚く声が聞こえた気がしたが気にせず魔力を注ぎ続ける。
全ての魔力を注ぎ終わると俺は立ちくらみのようになりふらっとしたが倒れないよう踏ん張った。
刀はまばゆい輝きを放ち辺りを照らしている。
そして光が消えそこに現れたのは…
小さなネックレスだった。




