〈雷神〉戦?
んーーーーはっ!
俺が目覚めたのは宿屋と思われる部屋のベットの上だった。昨晩の記憶は曖昧だがすくなくとも宿に泊まってはいなかったはずだ。おそらくグランが運んでくれたのだろう。
(本当にあのおっさん顔とやることのギャップが凄いな)
顔だけ見ればあなたどこのや○ざですか?ってくらい眼光が鋭い強面のおっさんなのに初対面の人に夕飯を奢ってくれるほど気前のいいおっさんである。
グラン恐るべし。
俺はまだ残っている眠気を吹き飛ばすとすぐに部屋を出て一階に向かった。
俺は金を払おうとしたが
「君の宿代ならグランさんが払っていったよ。」
いやいや、グラン流石に人が良すぎだろ。
「そのグランはどうしたんですか?」
「グランさんならここに泊まっていって、朝ギルドに行くって言って出て行ったよ。」
「教えてくれてありがとうございます。それじゃ、俺もギルドに行くんで。」
「もし良ければ今夜もここ〈眠れる羊〉に泊まっていってね。」
「はい、ぜひそうさせていただきます。」
そう言うと俺はギルドに向かった。
外に出て気づいたが太陽の位置からしてもう昼過ぎのようだ。エリーが待ってるかもしれないと思い俺は急いでギルドに行くことにした。
ギルドにつくと相変わらずエリーの受け付けには人がいなかった。グランの言っていたとおり今エリーの浮かべている笑顔は無理してるのがよく分かる。
「無理しなくていいのに…」
「えっ⁉︎」
「こんにちは、エリー。」
エリーは俺が挨拶するとさっきまでの辛そうな笑顔から一転して満面の笑みを浮かべた。慌てて笑顔を隠して拗ねた様な顔をして
「朝から待ってたのに全然来てくれないなんてひどくないですか?」
「ゴメン、ゴメン。昨日久しぶりにたくさん食べたから眠くなって熟睡しちゃってたみたい。」
「もう、許してあげないんですから。」
「本当にゴメンって、今度ご飯でも奢るから許してよ。」
「本当ですか‼︎」
俺はエリーが突然身を乗り出しキラキラした瞳を向けられてびっくりした。
「あ、ああ。もちろん。」
「ふふふ。約束ですよ。」
さっきまでの拗ねた顔はどこにいったのか今はとても嬉しそうな顔をしている。
(やっぱりエリーにはこの笑顔が似合うな。この笑顔を奪っているフレッドとかいう男には少し痛い目にあって貰おうか)
俺が心の中で黒いことを考えているとエリーがこっちを見ていた。
「えっと〜どうしたの?」
「わわっ。こほん、い、いえ、そろそろギルドカードについて説明しようかと思って。」
「おっと、そうだった。じゃあ、お願いね。」
「はい、お任せください。まずギルドカードですが表には名前、年齢、レベル、本人のステータスそしてスキルが表示されます。ああでも、スキルとかステータスとかで表示したくない部分は一度隠したい項目に触れていただければ見えなくなりますよ。」
「〈ステータスプレート〉みたいなもの?」
「 はい?〈ステータスプレート〉?なんですかそれは?」
「い、いや。なんでもない。」
(危ない危ない。門番の人も知らなかったしどうやら〈ステータスプレート〉のことを知ってる人はいないらしい。あれ?じゃあどうやってスキルを覚えているんだろう?)
俺がいろいろ考えている横でエリーの説明はどんどん進んでいく。
「そしてギルドカードの裏はランクに応じて色が異なっています。ここでギルドでのランクについて説明しますね。ランクは1番下のGから始まり最高ランクはSSSとなっています。このランクはギルドへの貢献度や強さで決まります。ランクCくらいになってくるとベテランの冒険者としてある程度の信頼が得られるようになり、指名依頼が発生する様になります。まあ、この辺はランクCになってからでいいでしょう。色は下から順に黒、茶、白、黄、緑、青、赤でランクSからはメタルカラーになり、銅、銀、金となっています。ただメタルカラーもちなんて20人ほどしかいませんから、見る機会なんてほとんどないんですけどね〜。」
「説明終わり?」
「あの、私の説明ちゃんと聞いてました?」
「も、もちろん。金は凄いんだろ。」
正直〈ステータスプレート〉のことを考えていて全然聞いていなかった。
「はぁ〜。もういいです。はい、どうぞ。これにコータさんの魔力を流せばコータさんのギルドカードになります。」
「ありがとう〜。」
これで街に入るとき銀貨を払わなくて済むな。俺はすぐにギルドカードに魔力を流してレベル、ステータス、スキル(固有スキルは表示されなかった)を隠した。
「これでコータさんも今日から正真正銘の冒険者ですね。最後に言い忘れていましたがAランク以上の冒険者と戦ったらダメですよ。彼らの強さは人の域を超えていますから。」
「そうそう。正に化け物ってやつ。」
「えっ⁉︎」
「ダメだよ、エリーちゃんフレッド様から言われてるでしょう。君はフレッド様のものなんだからフレッド様以外と話したらダメだって。」
エリーの横には紫色の髪をしたチャラ男がいた。
「もしかして〈雷神〉さんですか?」
「ん、何?Gランク程度のカスが僕に話しかけないでよ。僕が弱くなっちゃうじゃないか。それよりもほら、エリーちゃん今日は伯爵自ら君を迎えに来たんだよ。」
俺は入り口の方を見るとそこにハゲた40代後半あたりのおっさんがいるのが見えた。
「エリー、貴様を迎えに来てやったぞ。今日からお前は俺の愛人だ。ミュート、エリーを連れてこい。」
「リョーカイ。」
ミュート(〈雷神〉)がエリーに触れようとしたとき俺は2人の間に入った。
「邪魔だ。そこをどけよカス。」
「エリーが嫌がってるんでね。それは無理かな。」
そう言って俺はギルドの中を見渡した。そしてグランを見つけるとギルドから人を逃すように頼んだ。そしてエリーにもグランの誘導に従って逃げるように言った。
「ミュート、何をやっている‼︎その男をさっさと殺してエリーを俺のところにつれ連れてこんか!」
「あいよ。じゃ、死ねカス。」
〈雷神〉が俺に向かって拳サイズの雷の玉を7発放ってきた。しかしその速度は俺からしたら遅すぎる。
俺は雷の玉を全て躱し〈雷神〉の懐に瞬時に飛び込んで顔面を殴った。もちろん加減を忘れずに。
俺に殴られた〈雷神〉はそのままぶっ飛んでいき壁にぶち当たった。
やべー、壁の修理代どうしよう。
〈雷神〉弱っ‼︎
いえ、光田が強すぎるんです。
次回、雷神本気出すはず。きっと。




