1848 キョーコさんがいっぱい
イイ運動ができた。体の強張りがなくなったよ。
「ありがとな。また付き合ってくれや」
手頃なヤツだと快適に運動ができるんだな。初めて知ったよ。
マンションだかダンジョンの風呂を借りて一っ風呂浴びることに。てか、なんで銭湯スタイルなんだろうな?
「お前ら、エリナの部下なのか?」
銭湯にはいろんな種族、と言ってイイのかわからんのが入っていた。
「はい。お嬢様の部下です」
あいつ、自分の部下にお嬢様って呼ばせてんの? いや、汚嬢様か? 好かれてんのか嫌われてんのかわからんな……。
「毎日なにしてんだ?」
「ダンジョン内の警備と、外の監視ですね。あと、牧場で働いたりしてます」
なんかまっとうなことしてんだな。他にダンジョンでなにをしらたイイかわからんがよ。
イイ汗かいたら湯船から上がり、脱衣場にある無料の自販機から……甘酒を選んだ。
「冷えた甘酒も悪くねーな」
前世はあんま旨いと思わなかったが、今生は大変美味しゅうございます。離れにも常備しようっと。
銭湯から出て……あれ? オレ、どっちから来たっけ?
「あら、ベーさま。どうかなさいました?」
ヒヨコのエプロンをかけた……なんだっけ? 人造人間なのは記憶しているが……。
「キョーコですよ。一時館の管理人」
「あーうん。そうだったな。あのときのことが色濃く思い出されたよ」
理不尽とか、突っ込みたいとか、なんかもういろいろとな!
てか今さらだが、なにを管理してんだろうな。管理するようなことがまったく想像できないんだけど……。
「ワリーが、帰り道? がわからなくなったんだよ。エリナのところまでの道? を教えてくれや」
汚嬢様の部屋から銭湯に向かったはずなのに、なぜかそのドアがなくなっていた。どーなってんの?
「あー。あちらで切り替わったみたいですね。はい、これで繋がりましたよ」
キョーコさんが視線を向けた先に銭湯に繋がるドアが現れていた。ダンジョン怖っ!
「なにかあれば近くにある電話から連絡ください。管理室に繋がってますから」
「キョーコさん以外にも管理人っていんの?」
「はい。キョーコは三十人いますよ。ちなみにわたしは四号です」
エプロンの胸辺りにバッチがあり、そこに数字の4が書いてあった。いや、三十人もいんのかい! キョーコを見たら三十人はいるってか! ゴキちゃんか!
「な、なんでそんなにいんのよ?」
「ダンジョンが広くなりましたから。一人では足りなくなったんですよ」
うん。その一因に関わっているオレにはなにも言えませんね。ごめんなさい。
「そ、そうか。わからないときは連絡するよ。ありがとな」
「いえいえ。お気になさらず」
去って行くキョーコさん四号。ダンジョンの恐ろしさが今わかったよ……。




