1214 けど!
ワニガメはすぐに集まった。
「……どんだけいんだよ……?」
結界生け簀に集められたワニガメがゲシュタルト崩壊しそうだわ。
「旨いのかな?」
ワニガメが食えると聞いたことはないが、火竜が旨そうに? 食っているのを見ると、食えんじゃね? と思えて来てしまう。
「あんたらは食わねーのかい?」
一番ワニガメを捕って来た男の人魚に尋ねてみた。
「肉が硬い上に苦くて不味いので食いません」
あ、やっぱり淡水人魚も肉食なんだ。
「人魚の舌で苦いとなると相当苦いみたいだな」
いや、苦瓜が旨いと感じる舌で苦いとか本当に苦いのか? なんか危ない感じがするし、今は火竜のエサってことにしておこう。
「火竜を元のサイズに戻すか」
あれ? どんくらいだったっけ? 確か十七メートルくらいはあったはず。違ってたらすみませんと、そのくらいにする。
「……だ、大丈夫なんですか……?」
人魚さんが声を震わせて尋ねて来た。
「大丈夫だよ。繋いであるし、壁で覆ってるからよ」
足首に結界の鎖で繋ぎ、周りをヘキサゴン結界で覆っているからな。
結界生け簀からワニガメをヘキサゴン結界内に放り込んでやると、モザイク加工が必要なくらい踊り食いがハンパない。さすが暴竜と異名を持つだけはあるぜ。
「あ、火竜だ!」
火竜の糧となるワニガメの冥福を祈りながら踊り食いを見てると、サプルとレニスがやって来た。
なんだかんだと南の大陸をエンジョイしてるお二人さん。オレよりスローなライフを送ってんじゃね?
「あんちゃん狩ってイイ?」
竜を見たら狩りたくなるマイシスター。ちょっとお前の性格(性癖か?)が心配になって来たよ……。
「いや、繁殖させるから止めてくれ」
この火竜たちが何年生きてるかは知らんが、レイコさんの見立てではまだ若いんじゃないかってこと。なら、イイ感じに育てて帝国に置いたフュワール・レワローー生命の揺り籠に放り込む。
「そうなんだ……」
ガッカリはするが、聞き分けがよくて助かります。
「やりたいなら八岐大蛇を狩って来いよ」
あれも竜と思えば竜に見えんだろうが。オレはヘビにしか見えないけど!
「飽きたよ。弱いんだもん」
うん。そうですか。それは悲しいですね。ちっとも同感はできないけど!
「暇ならプリッつあんに頼んで遊覧飛行してこい。南の大陸は竜が多いから遭遇すんだろう」
いや、この大陸に来てまだ竜は見てないけど!
「あ、そうだったね! 忘れてた!」
ラーシュの手紙を通じて南の大陸のことは話してある。どんな竜がいるかは知ってるはずだ。
ってか、君の周り、竜ばかりだよね。見た目竜っぽいのいないけど!
「そう言や、プリッつあんはどうした?」
共存体と抜かすメルヘンはよ。
「プリッシュなら魔女さんたちといるよ。あ、魔女さんたちもここに来たいって言ってたからそのうち来るんじゃないかな?」
あ、魔女、預かってたね! 忘れてました! ごめんなさい!
「そ、そうか。まあ、プリッつあんが来たら聞いてみろ」
なんて言ってたらメルヘン様が魔女さんたちを連れてご登場。敬意を込めて出迎えさせていただきました。
「お勤めご苦労さまです!」
「うん。自分の仕事だと理解してるのね」
忘れてたけどね! とは口にしません。蹴られそうだから。
「まあいいわ。楽しかったしね」
このコミュニケーションオバケは誰とでも仲良くできるよな。そのうちコミュニケーションだけで世界を制しそうで怖いわ……。
「ちゃんと面倒見ないとあの魔女さんに幻滅されるからね」
叡智の魔女さんがオレにどんな理想を抱いているかは知らんが、失望されなければ問題ナッシング。でも、冷たい目で見られたらおっかないのでご期待に添えるようガンバリまっす!
「プリッシュ号改で南の大陸を見せてやってくれよ。オレはまだやることあるからさ」
「結局丸投げじゃない」
「ハイ。丸投げですが、なにか?」
ぐうの音も出ないメルヘンさん。長いため息を吐いた。
「……もういいわよ。ベーにはなにを言っても無駄だったわね……」
理解ある共存体(笑)で頼もしいです。
「まあ、嫌だと言うならしなくてもイイさ。そこら辺見せておくからよ」
オレは丸投げ常習犯だが、嫌だと言う者に無理矢理押しつけたりはしねー。
「嫌だとは言ってないでしょう。世界の空を飛ぶの好きだしね」
メルヘンの心に冒険心が宿ってるみたいです。つーか、あなたもオレに負けず劣らず人生を謳歌してるよね。
「魔女さんたちも自分で空を飛びたいなら好きにしな」
空飛ぶ箒を持参している。思うがままに南の大陸を謳歌するとイイさ。
その辺はプリッつあんに任せて火竜にワニガメを放り投げた。




