1174 ごもっとも
親睦会はそれなりに好調のようだ。
双方、相手を学ぶために選ばれただけあり、積極的に相手を知ろうとし、いろんなことを聞いたりしている。
「すみません。わたしはちょっと出て来ますね。楽しんでてください」
「急用か?」
「いえ、お玉さんに挨拶をして来ようと思いましてね。しばらくうちの者がお世話になるので」
オレがいない間シュードゥ族のことを見てもらうのだ、こちらから出向かなくちゃ礼儀に反するだろうよ。
「……お主は本当に怖い物知らずだな……」
「──ふふ。わたしもそう思うわ」
と、お玉さんが出現した。
「いつの間に!?」
とはレイコさん。幽霊は幽霊の存在は感知できんのか?
「お邪魔してるわね」
「お玉さんならいつでも歓迎するよ」
幽霊に人の理は通用しない。祟られないよう仲良くするまでだ。
「ふふ。ありがとう」
どういたしまして、と肩を竦めてみせた。
「……あなたは、全然変わりませんね……」
「変われるなら……いいえ。少しは変わったと思うわよ。楽しいなんて感情が芽生えたんだもの」
幽霊に喜怒哀楽があることに納得できないものがあるが、幽霊の理に突っ込むのも無駄なだけ。あるがままを受け入れろだ。
「そう、ですね。その気持ちはわかります」
と、なぜかオレを見るお二人さん。言いたいことがあるなら永遠に口を噤んでいてください。真実に堪えられそうにないので。
「お玉さん。オレは帰るからシュードゥ族を頼むわ。礼はするからよ」
なにかあれば言ってくれ。オレにできることなら可能な限りさせてもらうからよ。
「気にしなくていいわよ。あなたにはたくさんのものをもらったから」
オレ、お玉さんになんかやったっけ? 優遇してもらってるようにしか思えないんだがな。
「ふふ。納得できないのならまた遊びに来てちょうだい。それでわたしは満足だから」
「それでイイのなら遊びに来させてもらうよ。お玉さんとのおしゃべりは楽しいからな」
まあ、それほどおしゃべりしてるわけじゃないが、しゃべっていて楽しいって相手はいるもの。お玉さんはそう言うタイプだ。
「……我には理解できんな……」
「そうですか? 大図書館の魔女さんとのおしゃべりも楽しいですよ」
会話のかけ合い、探り合い、騙し合い、まるでチェスをしているようで楽しいもんだ。
「ふふ。大図書館の魔女も形無しね」
「我は凡人なのでな」
人外が凡人とはこれいかに? 誰かその心を教えてください。
「まったく、堅い子なんだから。もっと柔軟になりなさい」
幽霊に説教される人外とはこれいかに? それこそ凡人にはわからない世界である。
「他人事で見てますが、あちらから見たらベー様のほうが理解し難い存在ですからね」
そんな心を抉るような突っ込みノーサンキュー。
「羨ましいわ。わたしもここに縛られてなければベーについていきたいわ」
「ここはわたしだけの場所です!」
いや、勝手に所有権(?)を主張しないでください。オレは幽霊とともに歩みたくねーよ。守護霊なら考えるけどさ。
「それは残念。なら、わたしはベーの前をいただくわ」
それはおしゃべり相手としでだよね? そうだと信じるからね。そうであってね。マジで頼むよ、ほんと……。
「んじゃ、お玉さんへの挨拶も済んだし、帰る準備をするか。好きにやっててよ」
シュードゥ族への挨拶と赤毛のねーちゃんの船を回収せんとならんしな。
「ええ。わたしは、この歴史的瞬間を見てるわ」
お玉さんのセリフに渋い顔をする大図書館の魔女さん。オレには理解できない関係があるようだ。
どんな関係かに興味はあるが、大図書館の魔女さんに嫌われるのもイヤだ。ここはそっとしておこう。
「ミタさん。頼むわ」
女の相手は女にお任せ。オレは撤退させていただきます。
「畏まりました。ドレミ様。離れる場合は連絡をお願いします」
「畏まりました。すぐに伝えます」
君たちの関係がよくわからないが、意思疎通されてるのは理解したよ。あと、オレ、信用されてねーってなー。
「当然じゃないですか」
ハイ、まったくもってごもっともデス!




