1175 魔女の憩い
シュードゥ族への挨拶はあっさり終了。あとは、ミタさんにお願いすればイイようにしてくれるだろう。
「ミタさん。なにか欲しいものある?」
素晴らしい働きには素晴らしいボーナスを出すのがオレ。決して媚びてるわけじゃないのであしからず。
「いいえ。ありませんよ。ベー様からたくさんのものをもらってますので」
そうですか。もうちょっと欲を言ってくれるとわたしめの心は安らかになるのですが。
「あ、でしたら蜂蜜をいただけたら幸いです」
そう言えば花人族産の蜂蜜を欲しがってましたね。オッケーで~す!
転移バッチ発動。花人族の園へ。蜂蜜もらってリターン。
「これでよろしいでしょうか?」
「ありがとうございます! 大切に食べます!」
あなたの笑顔がわたしの平穏。これからもよろしくお願いいたします。
「主従関係間違ってない?」
なにも間違ってはいません。わたしめがあるのはミタさんがいてこそ。あなたなしでは存在し得ないのです!
「って、帰ったんじゃなかったのか?」
赤毛のねーちゃんからの突っ込みだったのね。突っ込み神からかと思ったよ。
「船長は船とともに、だからな」
よくわからんが船あっての船長ってことで理解しておこう。オレにはどうでもイイことだしぃ~。
赤毛のねーちゃんの船を小さくして無限鞄へとポイ。伸縮能力チョー便利~。
「じゃあ、またな」
「ああ。南の大陸にいくときはちゃんと連絡してくれよ。三日前くらいに。絶対だからな」
わかってるって。ちゃんとミタさんに言っておくよ。
「……あくまでも他人任せなんですね……」
ハイ、他人任せですがなにか?
「いつか後ろから刺されますよ」
もう何度も撃たれたり殴られたりしてますが、アレらはノーカンですか? つーか、刺される前に幽霊に取り憑かれてることはカウントされるのか是非とも聞きたいです。
レイコさんを睨んでやろうかと振り返るも、自由自在な幽霊はオレの視界から逃げるばかり。ちょっと前に出て来いや!
しばらく粘ったが、一向に視界に入らないので諦め、プリッスルへと戻った。
親睦会は終わったようで、食堂には大図書館の魔女さんと配下の魔女さんが数人いただけだった。
「わざわざ残ってなくてもよろしいのに」
暇じゃないでしょあなたは。
「いや、たんに休んでいただけだ、ここは落ち着くのでな」
そうなの? どこにでも……ないか、こんな食堂は。前世にも負けない調度品や食べ物、あと気にもしなかったが、クラッシックなBGMが静かに流れている。
「ただいま~」
と、プリッつあんがご帰宅。疲れたように飛んで来て、オレの頭にパイル〇ーオンした。
……前世で勝手に戻って来て充電する掃除機あったな。名前は忘れたけど……。
「ご苦労さん。上手く渡せたかい?」
「ええ。喜んでたわ。特に空飛ぶ箒には。他のお嬢さん方も欲しいって」
「……貴族社会に変なものを流行らせてくれるなよ……」
別にオレが流行らせたわけじゃないし。あ、いや、作ったのオレでしたね。ゴメンナサイ!
「空飛ぶ箒はシュードゥ族が作ってるからそのうち買えんだろう」
オバチャーンたちのイイ小遣い稼ぎになんだろうよ。
「ところで、プリッつあん。プリッスルってまだあるか?」
君、なぜか何個も持ってたよね?
「え、うん。あるわよ。それがどうしたの? あ、レイティム。紅茶ちょうだい」
と、控えるメイドさんに紅茶を頼んだ。
……このメルヘン、メイド全員の名前を覚えてんのか……?
「そんなの当たり前でしょう」
ごめん。君の当たり前がまったく理解できねーわ。つーか、君が恐ろしくなったわ。うちにメイド何人いると思ってんだよ! いや、何人いるか知りませんけど! ダメな雇い主ですみません!
「プリッスル、ここに置いてはダメか? 魔女さんの憩いの場所にしようと思ってよ」
もちろん、打算があってのことです。
「へ~。魔女の憩いか。お洒落ね」
お洒落? どこが? メルヘンのお洒落感覚はよーわからんわ。
「いいわよ。このプリッスルは予備だから」
一度、君の持ち物について話し合いたい気分だよ。まあ、三秒過ぎたらどうでもよくなるけど!
「ミタさん。どうかな?」
「はい。問題ありません。すぐに配置します」
もし、ニューメイド長さんがこのことを読んでいたら厚く御礼申し上げそうろう。
「……よいのか……?」
「まあ、拠点としても使えますし、そちらとの会合の場としても使えますしね。遠慮なくお越しください。もちろん、お金はいただきますがね」
メイドさんたちのイイ小遣い稼ぎになんだろう。それで気持ちよく働いてくださいませ!
「礼を言う」
「お気になさらず」
打算が働いてるのだから礼は不要。たくさんお金を落としてくださいだ。




