1044 ナイスです
タケルも見た感じ、なんら外傷はなく、衰弱している様子もなかった。ただ、眠っているって感じだ。
まあ、エルクセプルを飲ましたか、かけたりしたかで肉体は完全に回復しているはずだ。こちらの神(?)に体を改造されてなければ、だがよ。
「……ベー……」
カーチェの呟きに、長いこと見詰めていたことに気がついた。
「タケルの脈拍や脳波に異常はねーんだろう?」
なにか心拍数を測る機器や点滴が繋がれている。なら、医者的なヤツがいるんだろう。
「はい。肉体になんら異常はありません」
白いメイド服ではない、白衣を着た白い髪と白い肌の男が答えた。カイナーズのもんか?
「そうか。生きているのは確か、ってことか。まずはなにより」
体が正常なら問題は内。なんだろうが、精神が病んでるとか壊れたっての感じではないな。寝顔が健やかすぎるし。
「……やっぱり、緊急処置、って感じかな……?」
「なんです、緊急処置とは?」
尋ねてくるカーチェの目を見る。お前はどこまで知っている?
「繋がっていることは聞きました」
前世のことは聞いてないって感じだな。聞いていたらある程度は、ってなことを言いそうだし、探るような目は向けんだろう。
「オレも詳しくは訊かなかったから、この状態は予想でしかない」
と前置きする。本当に予想でしかないからな。
無限鞄から世界樹の種を一つ、取り出す。
それを伸縮能力で座布団くらいにし、結界ミキサーで粉々にする。
イイ感じになったらテキトーに果物をホイのホイと放り込み、砂糖、塩を少々。最後に牛乳を投入してドロッドロにして完成。
「……不味そうね……」
うん。オレもそう思う。イメージでは……まあ、オレが飲むわけではないし、瞼を閉じてるタケルには見えてないんだから構わんだろう。
「タケルの上半身をちょっと上げてくれ。気道が塞がらない感じで」
「なんとなく、と言うか、力業すぎません?」
「大丈夫。薬師のオレを信じろ」
心配そうなカーチェに真面目な顔を見せる。
「そう言えば、そんな設定だったわね」
設定とか言うな! これは努力の結晶だわ! クソ! メルヘンの毒舌のほうが体にワリーわ!
看護隊の方らがベッドの角度を変え、タケルの上半身を傾けてくれた。
「では、投入する」
「言い方」
毒舌メルヘンに言い方なんぞ注意されたくないわ。
栄養タンクの下を漏斗状にしてタケルの口に突っ込み、漏れないように結界で口の周りを塞ぐ。
「こんな拷問あったわね」
治療だよ。ってか、拷問知識をどこで仕入れてきた!?
黙らせることもできないので、強制的に栄養ドリンク(?)を胃に流し込む。どや?
反応はなし。だが、栄養ドリンク(?)は確実に減っているし、タケルの腹が膨れることもない。
五分かけて二十リットルはあっただろう栄養ドリンク(?)がなくなった。
アリザですら腹一杯にさせる量だと思うんだがな?
しばらく様子を見るが、タケルが目覚めることはなし。
「誰か潜水艦の様子を見てきてくれ。たぶん、少しは修復されてるはずだ」
「あたしが見てくる!」
ドレミから解放された猫耳ねーちゃんが名乗りを上げ、外へと駆けていった。
その間にもう一本(?)作っておくか。
同じ味では飽きるだろうと、今度は野菜中心に入れて、蜂蜜で甘くしてやる。うん。見た目は変わらなかったか。
「──嵐山が目覚めた!」
人工知能だっけか? それがタケルと繋がってんのかな?
「じゃあ、間違ってはいないってことだな。投入!」
今度は最初より早く空になったが、タケルが目覚めることはなし。二本でもダメか。
「嵐山に修復何パーセントか訊いてこい」
また猫耳ねーちゃんが駆けていき、二十三パーセントだと口にした。どんだけエネルギーいるんだよ。
もう一本作って飲ませ、何パーセントかを再度訊きに行かせる。で、二十六パーセントだった。
「これじゃ埒が明かんな」
効いているのは確かだが、一本で三パーセント(仮定)では、目覚める前に材料が消える。それに、三パーセントとずつ修復してるとも限らない。不測の事態に備えて使い切りたくはない。
「さて、どうしたものか?」
リュケルトのところに飛ぶか? いや、潜水艦と離すのも怖い。持ってきてもらうしかないのか? ってか、さらにデカくすればイイだけじゃんーーと答えを出したところで気がついた。
「潜水艦を小さくすればイイのか」
まあ、できるかはわからんが、やってみればイイだけのこと。プリッつあんと合体(?)した今ならなんとかなりそうな感じがする。
結果、潜水艦を小さくできました。マジか!?
ま、まあ、できたのならそれでよし。両手に持てるくらいにした潜水艦をタケルの側まで運んだ。
三本目はチョコレート味にして投入。潜水艦を見る。
なにか電気が散るような光が走り、なくなった左舷側が修復されていく。奇妙なもんだ。
「──タケル!」
と、猫耳ねーちゃんの叫びに振り向くと、タケルの瞼が開いていた。
ふぅ~、と治療が間違ってなかったことに安堵した。
「よかったわね。おも──」
プリッつあんが言い終わる前にドレミがスライム液を放って黙らした。ナイスです、ドレミさん。




