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村人転生~最強のスローライフ  作者: タカハシあん
十歳スタート

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1043/1852

1043 危機一髪

 そこは戦場だった。


 ってこともなく、看護隊の皆様方は血にまみれることなく、潜水艦クルーを看病していた。


「衰弱しているな」


 多分、精神面での負担が肉体にまで影響しているのだろう。あれで平然としていられるメルヘンをオレはメルヘンとは認めねーぞ。


 ……頭の上にいるメルヘンは別な領域に突入したメルヘンだから除外します……。


「まあ、潜水艦やメルヘン機に乗ろうとするヤツらだ、ほっといても構わんだろう」


 そもそもとして、メルヘンの生態など知らんし。勝手に克服しろ、だ。


 つーか、潜水艦の乗組員ってどんなのいたっけ? と心の中で呟く。口にしたら後ろの猫耳ねーちゃんに罵倒されそうだから。


「他は?」


 とさりげなく訊いてみる。誰か答えて!


「サダンとマーブはあそにいるよ。ノアンはまだ眠ってる」


 答えてくれたのは猫耳ねーちゃん。誰やそれ?


「あそこよ」


 助けを求めて左側にいるミタさんを見ようとしたら、頭の上にいるメルヘンさんが強制的に右に向けた。ねじ切れるわ!


 ……オレは首、絶対変なことになってるよ……。


 無限鞄からエルクセプルを出していっき飲みする。


「ほら、あっちよ」


 治したばかりの首をまた壊されたらたまらんと、メルヘンが向けたほうに歩き出した。


 その先にいたのはぽっちゃりした少年とガタイのイイ少女がソファーに座っていた。


 あ、バリアルの二人か。料理人として乗せたっけ。完全無欠に忘れてました。ごめんなさい! と、心の中で誠心誠意謝罪する。


 いや、口に出して謝罪しろとかはノーサンキュー。オレにも守るべき立場やプライドがあるんです。


「なにかわからないけど、ミミッチーにでも食わせたらいいと思うよ」


 そんな見え透いた罠に嵌まると思うなよ。オレの平常心は神だろうと揺るがせることはできないのだ。


「ベー様。サダン様とマーブ様はバリアルの孤児院の方ですよ」


 こそっと耳うちするミタさん。刺客は予期せぬところから来ましたー!


「あんた最低ね!」


 ドレミ、やれ!


 幼女型ドレミに指令を出すと、コクンと小さく頷き、なんかドロッとしたものを口から吐き出した。


「──ちょ、ふむー!」


 スライムに顔を覆われる猫耳ねーちゃん。君はしばらく黙ってなさい。


 ドレミ、よくやった、とサムズアップ。お前は最高だよ。


「生きていてなによりだ」


 猫耳ねーちゃんはサクッといないものとして二人に話しかけた。


「……すみませんでした……」


「すみません」


 なぜか謝るお二人さん。なんでや?


「船から降りたいならオレからタケルに言ってやるぞ」


 この歳であれはキツいだろうし、降りるならうちで面倒みるぜ。


「いえ、降りません! 嵐山らんざんはぼくの家です!」


「あたいも降りない! 仲間を放っておけるか!」


 なんかよーわからんが、タケルの元で強く逞しく育ったのだと解釈しておこう。


「なら、食事でも用意しろ。タケルが目覚めたら竜でも食らい尽くすぞ」


「キャプテンは、目覚めるんですか!?」


 キャプテンって呼ばれてんだ。まあ、まだ艦長とか呼ばれるほど威厳はないか。


「目覚めるに決まってんだろう。オレに任せろ」


 ミタさんに目で合図し、二人を厨房に連れていくようお願いする。厨房あるか知らんけど。


「畏まりました。リネリア。お二人を案内してください」


 虎の獣人っぽい、水色のエプロンをしたメイドさんが音もなく現れた。なに?


「はい。では、厨房へご案内致します」


 致しますと言うよりは連行しますって感じで二人を連れていった。ガンバレ。


「今のは?」


「調理隊のリネリアです」


 あ、うん、そう。うちにはいろんな隊があるって理解したよ。


「次はあっちよ」


 だからもっと丁寧に、優しく導いてください。無駄にエルクセプルが消費されますんで。


 本日二本目のエルクセプルをいっき飲み。薬漬けの毎日とか勘弁です。


「ベー、それ好きね」


 好きで飲んでるわけじゃねーよ。死にそうだから飲んでんだよ! 未来的戦艦と戦うより危機一髪だわ!


「ノアンよ」


 ベッドに寝かされていたのは幼女だった。こんなのいたっけ?


「ノアン様もバリアルの孤児院です」


 あ、ああ。いた……っけ? まったく記憶に……ないこともないけど、いた方向で認識しておこう。


「救出したときから目覚めません。体は完治しているのですが……」


「まあ、イイ夢見せておけば起きんだろう」


 どこかのリッチにかけたイイ夢が見られる結界を纏わせてやった。


「ベーの力って非常識よね」


 オレは君の能力のほうが非常識だと思います。三百メートル近い戦艦を伸縮させるとかやりたい放題じゃねーか。


「潜水艦の乗組員って、これだけか?」


 メルヘンは三十近くいたと思うが、それで回せるものなのか?


「はい。あとは、タケル様が目覚めれば館に移動できます」


「わかった。もうしばらく頼むよ」


 そう言うと、そこにいるメイドさんズがオレに向き、一礼した。


「ベーが凄いのか纏めてるミタレッティーが凄いのか、よくわからない主従関係よね」


 オレは君がどの位置にいるかわかんねーよ。


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