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愛し子な女子高生(リメイク中)  作者: 沽雨ぴえろ
第3章  王宮編
43/45

…参加決定?あぁそうですか取り敢えずフルボッコな。



お久しぶりですううううううっ!!



余りに久しぶりなので、書き方変わったりしてるかもですが、まぁ楽しんでくださいな♡♡



テリアを怖いと再認識し、シルバと仲良くなってからはや数日。なぜか次第に周りの人々の顔が喜色に染まっていくのを見ながら、相割らずチナは魔獣舎で二階の魔獣と戯れながらの掃除をしていた。



ぴっきょと ぴっきょと


とぅーんとぅーん



チナは仕事を貰ってから暫くがたち、慣れてきたかと思っていた。だが、違ったのだ。日々チナには思うことがあった。




なっにこのかんわいい生き物っ!!え?!ホントなんなの?!可愛すぎでしょなんだよ『ぴっきょと ぴっきょと』って!この濃い青色のアンゴラウサギみたいなの何?!かはんわひいいいいいいん!!!!




対して良くもない顔がだらしなく緩み、足元で飛び跳ねる手のひらサイズの、毛むくじゃら魔獣を見ながら手を動かす。

傍からみたら異様でしかない。

暫くは獣舎の床を履いていたチナだが、その見た目と、その可愛らしい鳴き声についに絆され、箒を手にしながらしゃがみこむ。



と、同時に。




こんこんこん



「チナいるかなぁ」




無遠慮なノックとともに、チナの視界に紫が入り込んだ。

明らかにいるとわかっている口調で魔獣舎全体に尋ねるテリア。チナはやっと触れたふわふわの魔獣を手に乗せながら、深く溜息をついた。




ぴっきゅきゅん



『ティナ、行きゃないの?』



思いのほか舌っ足らずな口調で話し掛けてくる魔獣。毛で見えない目が自分に向いているとわかる。チナは嫌そうな顔をしながら、もう一度深く溜息をついた。



「はーぁあ。……行きますかい。やだやだ」



不満タラタラではあるが、やっとその重い腰を持ち上げ、入り口付近にいるであろう男の元に歩を進めた。

できれば去っていてくれないかなという淡すぎる期待を胸に、ゆっくりと階段を下りていく。きっとテリアからもチナが見えていたのだろう、階段を下ってくるチナを目で追いながら、入り口に寄りかかる。


テリアに近づくにつれて足取りが重くなる。が、テリアのガラス玉のような目がチナを歩かせる。




あ゛ぁー嫌だ嫌だいーやーすーぎーるー!!なんでコイツこんなにしょっちゅう来んだよバカヤローめこんちくしょー!!そのおかげであたしが殿下にどんだけ睨まれてると!このくそテリアめ!!




そんなことを思って歩いてゆけば、あら不思議。あっと言う間にテリアの目の前。

チナは至極嫌そうな顔をしながらテリアに尋ねる。




「なんでしょうかぁテリア殿ぉ」


「すっごく嫌そうだねチナ。僕には良く分からないな」


「はいはいそうですかそんなんどーでもいいんでさっさと用件を言ってよね、仕事中なんだからこれでも!」




戯れと言う名のな!!と言う言葉を心で叫んだことはチナだけの秘密だ。


チナの他にいた魔調師がぴたりと動きを止めた。今までのテリアに対する恐怖心がない事に気付いたからだろう。

それもその筈、ついこの前、目の前の男に恐怖を抱いたとは思えぬほどのふてぶてしい態度である。しかし、これはチナのとれる最大の対応であり、武器であった。

つい先日、テリアはチナが犯人であると分かっているような、曖昧な言葉を口にした。それがチナの恐怖の原因だ。その日はノアの元には行けなかった。あまりにも怖すぎて。

チナは会えない分、影を通してなら会話ができると魔獣たちに言われ、影を通してノアと会話をした。



『ノア、どうしよう、バレた、のかな…』


『…チナ、それはわからない。尋ねてみなければな』


『………』


『だがチナ、分からないのだから、返って対応がしやすいこともあるのだぞ?』


『え?そうなの?』


『分からないのだから、しらばっくれるしかないだろう?だから、返って堂々とすると良い。あの男相手でも、やらないよりはマシだ。それに、チナ』


『そっか、うん。なに?ノア』


『チナには我らがついている。チナに傷がつくようなことはない』



ノアからの解決策は『しらばっくれて堂々とすること』。言われてみればそのとおりだ。動転していなければ、チナでさえ気づく簡単な猫だまし。

だが、悪く言えば、そうするしか手がない。それほどに追い詰められている。いつ捉えられるかも分からないこの状況で、例え解決策が打ち出されたとしても安心など出来ないであろう。


しかし、チナはそれすらも理解しているのに落ち着きをはらっている。

それは何故か。理由は簡単だ。



『チナには我らがついている』



この言葉があれば、チナは余裕を持つことができる。それほどまでに信用ができる、まさに魔法の言葉。

だからこそ、チナは今、他の魔調師が凍りつく中堂々と、今までのように恐怖せずに居られる。




ノアが言ってくれた言葉だけでテリアが怖くないなんて、単純すぎんだろ自分……




そのとおりである。

チナはテリアのガラス玉のような目を見つめる。チナの目に、以前のような恐怖がないことに気付いたのか気付いていないのか、相変わらずテリアの無表情な笑みの中の感情は掴めない。


が、テリアがやっと口を開いた。


その無表情な笑みを浮かべる口元から出された言葉は、悔しいことにチナの興味を非常にそそらせる内容だった。




「君、王宮で開かれる王宮内武闘大会のコト、知ってる?」


「王宮内、武闘大会ぃ?そんなん知るわけ無いでしょ。と言うことでどうぞお帰りください」




チナは興味があったがテリアに聞くのが癪すぎて、両手を使って外へと促した。もちろんテリアが動く気配などない。

ふてぶてしすぎる気もするが、さしてテリアが動く気配もないのでチナの影に潜む魔獣は成り行きを見守った。

テリアはやはり気にしていないのか、チナの返事の内容に反応した。深く透き通った紫の目をくりんと回し、チナを見据える。

早く出ていけロイに武闘大会について根掘り葉掘り聞き出すんだから、と言うオーラを滲み出させながらテリアを睨みつけると、テリアは再びその口を動かした。

結論から言って、それはチナにとっては迷惑極まりない内容であった。








「君も参加だよ」








大会の存在すら知らなかったチナには、その衝撃を理解するのに時間がかかった。




いや、まぁ、非常に興味がありますようんその大会にはね?だけどさ、え?テリア今なんつった?…ん?私が、んんん???




ようやく理解し始めたチナに対し、更なる追い討ちをかけるテリア。




「僕が推薦しておいたよ」


「まっじふざけー。何やってくれとんじゃあんたは」



事の重大さのあまりに冷静さを欠くことができずに静かなる怒りを目の前の元凶である男に向けるチナであった。



「ていうかあれだよねー、前々からテリアぶっ込むよねほんとやめて欲しいわぁ」


「何言ってるのかな、君の頭おかしいん、だよね、知ってたけどさ」


「……あはははマジ舐めてんだろガラス野郎てめぇはさつま芋かさつま芋だよなさつま芋ならさつま芋らしく畑に埋まってろ?」


「チナはきちんと言葉を覚えた方がいいよ、造語なんてはしたない」



はたから見れば普通の会話、しかし近寄ればわかるその言い合い。一見穏やかに見えれば見えるほど、本当は苛烈というもの。どちらか、つまりはチナがイラつくのは当たり前で。

明らかにその向こうは黒いのであろうというほほ笑みを浮かべると、チナが口を開く前にテリアが言い合いに終止符をうった。




「とにかく、参加だから」




楽しませてよね、と言い残し、すっとチナの横を通り過ぎる。

そう、ただ、それだけ。横を通り過ぎただけなのに。


ゾワリ。


チナの背筋に冷たいものが這い上がり、ざあっと鳥肌がたった。

ごし。チナは右手で左腕を摩ってみた。


ごし ごし ごし。


鳥肌は、暫く全身に残っていた。この鳥肌が物語っていた、チナの恐怖心を。結局は、怖いのだ。ゆっくりとテリアが去った方へと振り向く。

皮肉にも、空はこの上なく真っ青で美しい。



―――敵だ。

―――許せるのは、ノアたちだけ。



その事実を再認識した晴天の日だった。















「マットー、武闘大会ってなにやんのー?」


「待てチナ。俺先輩、お前後輩」


「知ってるけど」


「だったら敬語使えよぉおおおおおっ」


「みみっち!!」


「うるせええええええっ!!」



淡い緑色の髪をした青年――マットは、チナの胸ぐらを掴み揺さぶった。

チナはまぁまぁ、と手を叩き、マットから離れる。そして一言。



「で?武闘大会ってなにやんの?」


「俺は悲しい!どうしてこんな奴が後輩なの?!!」


「はー?!ちょっ、ちょっ。それはないだろマットさーん!私は、」




しかしそれを止めるマット。どうやらどうせろくでもないことだと分かっているらしい。

マットは深く、深く、この上なくはふかーく溜息をつき、ごく簡単な説明をした。



「武闘大会っつーのはな?ただただ、素手で闘うんだよ」






「あっ、じゃー楽勝だわー」








「はっ?!」






















私これでも、武術習ってましたからね!!









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