きみと再開!
眠りだい(´・ω・`)
今度書き足させていただきました!!<(_ _)><(_ _)><(_ _)>
獣舎から少し離れた、地面の剥き出しになった道。そこには魔獣たちや騎士たちの散歩するルートがある。何時も誰かしら散歩しているが、それは今日も例外ではない。
黒い髪をしたポニーテールの魔調師と、彼女の腰あたりまでのグリフォン。遠目から見ると、嫌がるペットを無理矢理病院に連れて行こうとする、飼い主とそのペットの関係のように見える。
「待って、トゥール。そっちはいつもの道じゃないから」
『えぇ、チナ、少しくらいいいじゃないのー!今日は特別にー』
「特別なことなにも無いだろがっ!ほら、こっち!」
私はグリフォンのリード?みたいなのをぐいぐい引きながら歩いてます。何をしてるかって?見ての通り散歩だよ散歩。後ろで踏ん張ってるのはグリフォンのトゥール。女の子でまだ子供らしい。十分デカいけどな!ってかさ、いい加減踏ん張るの止めてくれないかな?私の足と、特に腕が悲鳴を上げてらっしゃるのですよ、トゥールよ。………だから、ね?そうやって踏ん張るのとか、頭ブンブン横に振るのとか、止めようよ?!腕が、腕がぁああああっ!!
チナは心の中で叫ぶと、勢い良く手綱を引っ張った。グリフォンのトゥールはそれを嫌そうに見つめたあと、チナを睨み付け、後ずさる。
『やー、なの!チナのバァカ、トゥーの言うこと聞いてくれてもいいじゃないのー』
「は、ばか?何言ってんだよバカトゥール!私がバカならあんたは何さ?!」
大人気なくもトゥールに言い返す。
トゥールはふんふんと鼻息を荒くして、チナに言い放つ。
「天才!」
「てんさい……あぁ、天災か」
『?!』
トゥールがどう言うことなの、と問いつめれば、チナは朗らかに笑って答える。その間も引っ張る力は弱めないが。
「なに?てんさいって言ってあげたでしょ?不満なの?ん?」
『……てんさいって、本当に思ってるのー?』
「うん思う思う。天災天災」
するとトゥールは嬉しそうに瞬きを繰り返し、レーオスの足で器用に飛び跳ねた。どうやらチナの言うことを聞いてくれるらしい。これはいつものことらしく、チナは小さくため息をついた。
全く……バカだなトゥール。いっつもさっきまで話してた内容忘れるんだからなぁ。「てんさいって言ってくれたらそっち行く!」て言うのじゃ無かったと思うんだけど?……やっぱ天才かも。バカの天才。………意味分からん。
「……さ、天才、行くぞー」
『いくー』
あ、これうまくね?そんなことを思いながらチナは庭を歩く。右を見ても緑、左を見ても緑。自然に溢れるここは、魔獣にとっても人にとっても心安らぐ場所だろう事が予想された。実際、チナは清々しい気持ちになっていたし、トゥールもいつも楽しそうだ。
「…いやぁー、でも、びっくりだよなぁ」
トゥールがチナの独り言に気づき、目を向ける。チナはトゥールを相手に喋り出す。
「いやだってさ。王宮がこんなに広いことにもびっくりだけど、あんな煌びやかなとこにでもこうゆう、自然の綺麗さがあるんだなぁと………思わない?」
『トゥーに振らないでよー』
「ははは、難しくてごめんよおばかさん」
バカじゃないもん!とトゥールが叫ぶと、プリプリした様子でぐいぐいとチナを引っ張る。先ほどと逆になっていて、チナは吹き出す。
「うふっふ」
『チナ気持ち悪ーい』
「なんで?!」
そんなくだらない会話をして、いつも通りのルートで散歩を終える。
ロイと共に他の魔獣を水浴びさせ、餌を与え、魔獣たちに変わったところは無いかを報告し、チナはその日を終えた。
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──その日の夜、チナは与えられた魔調師の部屋で、窓を開けて何かを待っていた。
『チナ』
「!!」
ふわりと髪が揺れたかと思うと同時に、声が聞こえる。チナはうとうとし始めていた脳は急激に覚醒させる。
チナの予想通り、目の前には少し小さくなった黒い狼。ノアだ。
『乗れ、チナ。帰ろう』
チナは満面の笑みで頷くと、躊躇わずにノアを跨ぐ。ノアは窓からでる前にチナに頭を擦り付け、甘える仕草を見せる。
「どうしたのさ、ノア」
『いや、久々だからな』
ノアは空を駆けながらチナに囁く。チナはそう言えば、とノアの毛を強く掴んだ。チナはノアに跨がりながら前のめりになりさらにノアとの距離を詰める。
「どうして、来なかったの」
寂しかったのに。
チナの心に、寂しさが広まる。するとノアは、ため息をつきながら答えた。
『護りが、強かったから、な。突き破ったらチナが我と仲がよいことが解ってしまうからな』
「え、なんで?特定されちゃうの?」
『いきなり我のような力のある魔獣が、今まで侵入してこなかったのにしてきたら、王宮は比較的新しく入ってきたヤツを怪しむ筈だ。王宮の奴らは賢いからな、直ぐにチナだと分かるだろうな』
チナは新たなる新事実に顔をひきつらせると、その『もし…』について考えた。
もし、ノアが頭が良くなくて、考え無しに突っ込んできたら……。考えるだけで寒気がする。利用されるなんて真っ平だ、ノア守ってとばかりに、チナはノアにベッタリと張り付く。
『どうした、チナ』
「もしもそうなってたら、を考えてた。……そんなに凄いの、王宮って」
ノアはチナに質問しながら、静かには極力振動がチナに行かないように、滑るようにして外に飛び出す。チナは毛を通して感じた筋肉の動きで次の行動を読み取り、ノアの毛を掴む。
ノアは物凄いスピードで空を蹴る。
『王宮にはこの国土全ての中から、よりすぐれている人間を選抜する。他の国もだが、王宮の人間は手強い』
さぁっ、と血の気が引くのがわかる。このノアがこれほどまでに言うのだ、相当なのだろう。チナは脳裏にテリアを思い浮かべた。
「…テリアは?あの人はどのくらい強いの」
『この国一の魔術師だ。剣技は知らないが、王宮一の力持ちでもあるらしい………そう言えば、チナ』
そんなに凄い人だったのか、あの人。そんなことを呟くと、ノアにすぐさま返事をする。
「なに、ノア?」
『お前からあの魔術師の臭いがする……接触したのか!』
「ちょっ…前、前を向いてくれノア!」
『そんなことより、チナ!なにをされた、言え。このノアがヤツを八つ裂きに切り裂いて』
「ダメだよ?!何言ってんのあんた!物騒すぎだろ!!」
その言葉に、ノアが言い返そうとチナの顔を見ながら口を開く。と─────
ゴバンっ
「ぅわぁっ?!」
『っ、チナ!』
何かの衝撃がチナたちに走る。ノアは自分の前に目を凝らす。二秒ほどどこかを凝視すると、いきなり小さな舌打ちを打つノア。
「?!の、ノア?!」
『くそ……チナを迎えに来たときに開けた穴がもう塞がれている!しかも、先程よりも強い防御魔術か……』
「え?ハイテク…!」
ノアはチナの呟きをガン無視し、鼻先を目に見えない壁に押し付けた。チナが息を飲んでその光景を見ていると、ノアの金の瞳がぼんやりと光始めた。
そして、次の瞬間にはノアは前に進んでいた。呆気にとられるチナだったが、通ったところをよく見ると、丸く穴が空いているように縁取られていた。しかも、その縁は。
「紫……」
テリアを象徴する、紫色。チナは無意識に体を震わせた。
巨体のノアが通るほどの穴は遠目から見てもかなり大きい。しかし、それが見る見る間に修復されていく様は流石としか言いようがない。
紫が網状に穴に広がったかと思うと、色を塗るかのように修復される。圧巻だった。
『小賢しい真似を…。チナ、早くしてもいいか』
「え、あ…いいよ、大丈夫」
………テリアの魔術、だよねアレ。あんなにデカかった穴を、あんなに直ぐ。凄い。だけど…怖い。
チナはノアのお腹に額を擦り付ける。ノアが呻くが、そんなのは気にしない。
チナはあの修復の速さを思い出し、再確認した。
テリアは、危険だ。
チナは極力近付かないことを決めた。




