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愛し子な女子高生(リメイク中)  作者: 沽雨ぴえろ
第2章  トリップ編
26/45

王様怖い天才怖い。二つ揃えば助ける者は無し

アーノルドォオオオオ!



にこにこにこにこにこ



どきどきどきどきどき



にこにこにこにこにこ



どきどきどきどきどき



──謁見の間にて、片方は玉座に腰を下ろし、極上の笑みを浮かべ、もう片方は大量の冷や汗をかきながら正座をしている。

 床に正座をしているのは、黒い髪と瞳をした少女、チナ。チナの傍らにはくつろいだ様子の骨っぽい馬、スケルニア。チナはスケルニアを睨みながら冷や汗をかくという、器用なことをやっていた。玉座に座る男、王はそれを面白そうにしばらく見つめると、いきなり手をたたいた。



パンパンッ



びくっ



 チナは大袈裟おおげさに見えるほど体を跳ねさせてから、さらに猫背になる。しかし、誰も「陛下の前で、なんと図々しい!」とはいはない。頭が高い、とも。そこにいる人間は分かっているのだ、王を。

 王の名前はアーノルド・リリデイア・アトマクシー。彼は『赤の国』の『王』。火のように赤い髪に、神秘的な緑の瞳を持つ青年王だ。


 彼は特殊であり異常だった。

 彼はよわい六にして国内にある街や村の場所、そしてそこへ行くための最短距離を完璧に記憶した。さらにその一年後には財政を、さらにその一年後には、完璧に国のまつりごとについて理解したのだ。そして彼は、その後も貴族としての働きや礼儀作法、様々な民族に対する接し方など、十五になる前には王になるために必要な全てを理解していた。

 彼は特殊であり異常だった。しかし、『オカシイ』のではない。


───特殊であり異常であるという事は、それは『天才』と言うことだ。それを実証したのが、彼、アーノルドだった。

 


 天才ゆえに、する事がない。全てが簡単すぎる。何をやるにも直ぐに終わってしまう。考えることがすぐに終わってしまい、考えること続かない。チェスも、カードも、計算も。彼は小さいながらも、遊ぶものが無くなってしまった。そこで彼は考えた。自分が予測できず、完璧に攻略ができず、飽きないことを。

 そして彼は見つけたのだ。自分が予測できず、完璧に攻略ができず、飽きずに考え続ける方法を。



『人間観察』、それが彼の遊びだ。



 それは恐ろしいものだった。誰もがそう言う。理由など簡単だ。対象を追いつめて追いつめて追いつめて、行動を観察するからだ。 

 どんなときでも、王はやってくる……。たとえそれが、トイレでも。








「お、おい……あの娘、陛下の遊び対象になるんじゃないか…?」



 壁に寄っている臣下たちから、小さなささやき声が漏れ始める。



ひそひそ ひそひそ



「やっぱりおまえも思うか……俺も思う」


「あれは恐怖だよな…夜に来たときは本当に驚いた…!」


「お前もか……あの娘、可哀想に…」


「あぁ…可哀想だな……でも、」


「あぁ、分かってる」



 臣下たちの心が、たった今、一つになる──!!



















絶対助けない!!!!!




















────────────────────


────────────────



「そんなに固くなるな、チナ」


「あ、あい……」








 そんなん無理だっつーの!!





 チナは恨めしげにそう思いながらも、心の中で首をひねった。

 さっきの合掌がっしょうは一体何だったのかと。顔をちら見しても、にこにこと笑っているだけ。別にそこからは悪意は感じない。害する気はないのが分かるが、そこが恐ろしかった。



 テリアの時と、同じ。



 何を考えているのか、分からない。それがチナは恐ろしかった。何も読めない。

 たらりと、汗が床に落ちる。



ぱたっ



 それとともに、アーノルドがチナの後ろに目を向けた。そして、笑う。







「遅かったな」










 後ろからは、何か人ではない足音が、確実にチナに近づいていた────…














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