突入したくてした訳じゃありませんっ!!
書き足しました!!
長いですなぁ( -.-)
ついに王様とご対面です!!
マリアさんは、私のことを最後まで心配してくれてたんだ。あのあと、遣いの人が小さく、ほんとに小さくだけど、「彼女はあなたをあんな風には思ってなどいませんよ」って言ってくれた。なんか、ね。やっぱ、嬉しいんだよね…。多分私がすんなり王宮に行けるようにしてくれたんだと思う。未練がないように。ほんとに、感謝してるよ、マリアさん。 ───でも、だけど。もう一度信用するのは、無理だな。一度突き放されたって思っちゃうと、ダメだ。嬉しかったけど、そこで終わり。「酷いヤツ」そう言うかもしれないけどさ。人って、そんなもんだろ?それに、私はもう一度信用はできないってだけで、嫌ってはいない。普通だ。私たちは、家族から知り合いに戻っただけ。ちょっと悲しいけど、そんなもん。
マリアさんには本当にお世話になったよ。だから、その恩返しになるか分からんけど、これからはもっと頑張ろうと思う。こんなに働こうっていう意欲を湧かせてくれたのはマリアさんだよ。マリアさん、本当にありがとう───
うとうと かくかく
チナは空を飛ぶ乗り物の中で、頭を左右に振ってうとうととしていた。それを横目に、遣いの者──リンクは、そっと窓の外を眺めた。少し離れたところから、煌びやかな光のこぼれる街が見え始めている。そこが今から向かう先の王都・サラシオ。サラシオの中心に王宮はある。
もう一度チナをちらりとみる。先程まで泣いていたため、目の縁が真っ赤になっている。が、リンクが見ているのはそこではない。いや、ソコなのだが、その上に覆い被さっているモノを見ているのだ。
そこに覆い被さっているモノは、手のひらに乗るほどの小さな生き物。色は、黒。なぜか手にハンカチを持っている。それでポンポンとチナの赤くなって目元を拭いているのだ。
奇妙だ。
「………チナ殿、もう少しで王都に着きます、ご用意を」
意味はない。チナは寝ているのだから。分かってはいたが、一応、と言うものだ。
案の定、反応を見せない。見せたのはチナの目元を拭いていた魔獣だ。リンクは今度はその魔獣に向かって言った。
「…と、チナ殿にお伝えしてくれないか」
キュイッ
まるで返事をするかのように鳴き声をあげると、魔獣はチナの耳元へと顔を寄せ、キュイキュイ唸り始めた。 数分後、チナは眠そうにしながらも瞼をあげた。
「…あ、おはようございます…?あの、あと少しで王都ってきいたんですけど」
「………はい。ご用意をしてください」
「あ、はい。…………あの、」
「はい」
「王宮に行くんじゃないんですか?」
「…………………………………………は?」
開いた口が塞がらないとはこのことだ。魔獣すらも小さな口をぽかんと開けている。
何をいっているのだ、この娘は!
内心そうは思いながらも、丁寧に説明するリンク。ゆっくりと、しっかりと、聞き間違いがないように、念入りに。
「チナ殿。王宮、とは、王都にあるものです。王都の中心に位置する場所に王宮はあります」
「えっ?そうなの?」
こんな平和ぼけしたような娘が、本当に魔調師なのか。
そう思っても、仕方がない話である。そうは思っているとは思いもしないチナは、一人ぶつぶつ言い始めた。魔獣はまたか。という風に小さく唸ると、チナから少し離れて、陰にとけ込んだ。チナは相変わらず気付かない。魔獣が消えたことにも、自分のその一人言を言う姿がどう思われているかも。はたして、どう思われているのか。
「王宮…………王都…。ファンタジーだ。まさにファンタジー。ふふ…ふふふ…」
気味が悪かった。
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がったん
「ぅおあっ?!!」
いきなりの衝撃にチナは悲鳴を上げる。しかしリンクは平然としている。どうやらこれが普通らしい。
「チナ殿、どうやら着いたようです。……足元に気を付けて」
リンクが扉を開け、先に降りる。チナがそれに続く。リンクを見上げると、顔をしかめていた。が、チナには何がいけないのか分からなかったため、あえて無視を決め込む。
「………。チナ殿、此方へ。………チナ殿?」
リンクが目をつむり、頭を振ったあと、前を向きながら案内をしようと声をかける。しかし、返事が無い。
いささか不機嫌になりながらも、チナを確かめようと振り返る。そして目を見開く。
そこには、もう魔調師の才を持つとしか言いようがない光景が広がっていたからだ。
「わはっは!ちょっ!危ないって」
スリスリスリスリスリ
「あははは、可愛いなぁもう!!」
スリスリスリスリスリ
チナたちが乗ってきた乗り物は、スケルニアと言う魔獣が引いている。スケルニアは骨のような馬だ。特徴は、空を飛べ、他の魔獣よりは人になれやすいこと。だが、最大の特徴はほかにある。
姿を、見せないのだ。人になれやすく、なつっこいのではあるが、けして姿を見せようとはしない。見せるのは、自分が主と認めたもの、仲間しかいないとき、もしくは気に入った者の前でのみだ。
姿を見せようとはしないのほ、ある意味警戒心強いといえるだろう。そんなスケルニアが、チナの目の前に姿を現している。
チナが魔調師だと、疑いようのない光景だった。
「──うん、うん……え?ほんとに?えー、それは悪いよ」
「……チナ、殿…?」
「あっ!すいません、話し込んじゃって。なんか、この子が王様のところまで連れてってくれるみたいで」
「え?!」
「でも、さすがにそれは非常識じゃないですか。だから断ろうかと─」
ブルヒヒヒッ
チナがリンクに済まなそうに話すと同時に、スケルニアはいななき始めた。
スケルニアはチナの後ろに回った。そのことに驚くチナとリンク。 何をするのかと思えば、スケルニアはなんと、チナの脚の間に頭を割り込ませたのだ。
因みに今、チナは制服を着ている。スカートだ。
「わぎぇっ?!ちょちょっ!」
ブルヒヒヒッヒーン
「いやいやいや、ブルヒヒヒッヒーンじゃないよ!って、うわぁああああっ?!!」
「チ、チナ殿っ!!だいじょ………………っ!!」
グンッと頭を上げるスケルニア。チナはその勢いでスケルニアの頭の上に倒れ込み、後ろにずり落ちてゆく。リンクが驚きで叫び、チナに心配の声をかけようとしたが、それは突然止まった。リンクの視界に、チラリと、紺色の生地に白い糸で刺繍が施されたモノが目に入ったからだ。途端に声を潜め、それを凝視するリンク。少ししてはっとしたかのように赤面をする。
チナはそれを恨めしげに見ながら、赤面しつつスカートを押さえて体制を直す。
「止まって!ちょっと!…っ、わあっ?!」
チナが体制を直したのがわかると、スケルニアは走り出した。それはそれは勢いよく。
リンクはとっさに手を伸ばすが、すでにその時には数十メートルは離れていただろう。
「っチナ殿っ!!」
「とまってってばぁああああっ!!!!」
「くそっ!!」
リンクはチナの叫び声を聞きながら舌打ちし、自分の脚に魔術をかける。
「大地をえぐる強さを!」
リンクが地を蹴る。とたん、リンクがたっていた場所にはすでに姿はなく、代わりに大地に何かがめり込んだ跡が残っていた。
「くそ、なんであんなにも速いんだ……!」
いつの間にか姿が見えなくなっていた。リンクは舌打ちし、チナたちを追うのではなく、王宮に向かうことにした。
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ばたんっ
「?!何事だ!!無礼者!何が──…」
沢山の大臣、そして王のいる謁見の間に転がり込むようにしてリンクが入り込む。
いきなりのことに、当然中にいる臣下たちは怒鳴り散らす。しかしリンクの必死の形相に言葉をとぎらす。
「突然申し訳ありません!後で罰は受けます。しかし、今は緊急事態なのです!」
「何?!落ち着け!申してみよ」
赤い髪をした男がリンクに許可を出す。リンクは頭を垂れ、口早に報告をする。
「噂の娘を連れてきましたが、スケルニアが連れ出しました!」
「なにぃ?!す、スケルニアが?!」
大臣たちが叫び、呆然とする。一方、赤い髪をした男はそれを聞いて楽しげに笑って先を促した。
「は。どうやらのスケルニアは直々にここにその娘を連れてくるらしいのです。どのように入ってくるか分かりません。陛下の身辺警護の強化を!」
「ほぅ。そんな事が……楽しみだなぁ、その娘。どうやら魔調師の才を持っているではないか」
王──赤い髪をした男──が豪快に笑うと、その時。天井に近い所にある窓がもの凄い音をたてて砕け散った。
「?!!」
王の周りに護衛が集まる。しかし、窓が割れただけで何も入ってこない。かと思えば。
「ぐぇっほぉおっ!!」
太った大臣が一人、勢いよく吹っ飛ばされたのだ。ざわりとどよめく。そして大勢が壁に寄る。
誰もが感じたのだ、何かがいる、と。
誰もが警戒している中、徐々に何かの声がし始めた。少女の声だ。
リンクには聞き覚えがあった。なにしろ、自分が連れてきた少女の声なのだから。
「-------、-------っ、---------ぁぁああっ!!」
「な、何奴!!」
護衛の一人が前に飛び出し、身構える。
皆の視線の先で、異変が起こり始めた。何かの姿が浮き上がってきたのだ。初めは足、腹、ここまできて、何か別の、靴のようなモノが見え始める。
そしてリンクは確信した。チナだ、と。
「…………なっ!!」
王さえも息を飲む中、チナがわめき散らす。
リンクはため息を付き、その様子を黙って見つめる。
「もうっ!なんて入り方してんだよっ!!窓割っちゃったじゃん!!高そうだったよアレ!!」
ブルヒヒ…ヒッヒッヒーン
「くぅぁぁああ~!なぁにが、つい。だ、お馬鹿っ!!そんなんですまそうとすんじゃねぇぇえっ!!」
全ての姿が露わになる。およそ二メートルはあるスケルニアの上にまたがる少女に目を凝らす。
黒髪の、前下がりの髪型に、綺麗に切りそろえられた前髪。少々つり上がり気味の黒い瞳に奇妙な服。噂で聞く娘とは服が違うが、きっとことの娘だろうと誰もが思った。何より、スケルニアに乗っているのだから。
いまだに何やら叫んでいるチナに、王は静かに声をかける。
「お前が、チナか?」
「あ゛ぁん?!」
しん……と静まり返る謁見の間。チナにしてみれば条件反射だ。なにしろ言い合っていたのだから。しかしその場の空気で何かを察する。ついでにいえばようやく周りに人がいることに気づく。
はっ、として声の方を向けば、ソコに座るのは赤い髪をした男。目は緑。可笑しそうにこちらを見ているが、着ている服、周りの人、そして、座っている場所。それらにより、チナはすぐさま気付く。
この人が、王だ、と──。
途端に血の気が引いてゆき、引きつった笑みを浮かべるチナ。
王はそれを見て笑いながら話す。
「よくきたな、チナ。私はこの国の王だ。名前は、知っているかな?」
チナは確信を得たことにより、なおさら血の気を引かす。青ざめながらも頷く。そして、思うのだった。
私、終わった……!!
スケルニア
二メートルくらいの骨っぽい馬。黒い。姿を消せる。しかし、気に入ったモノの前には姿を現す。因みに、スケルニアに跨がりながら姿をけすと、同じく姿を消せる。そして声が聞こえなくなる。ある意味最強な魔獣。スレイプニルの親戚的位置にいる。




