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愛し子な女子高生(リメイク中)  作者: 沽雨ぴえろ
第2章  トリップ編
20/45

鳥に拉致されました!

空の王者!




ガカァアアアアっ



「うわっ?!」


「ぎえっ!!」



 タラスが嘴を上に向けて叫ぶ。するとどうだろうか。みるみるうちに空が黒く染まり、街に光が射さなくなった。



ギイッギイッギイッ

くえっくえっくえっ


 

 魔鳥だ。空を黒で埋め尽くすほどの魔鳥。タラスのたった一声でこれだけが集まるのは異様だった。



「なに、これ……?!」


「チナ!店にはいるんだよっ」


「マリアさんっ!」



 いつの間にかマリアがチナのそばに来ていた。探しに来てくれてらしい。

 チナとジョーがマリアの方へ走り出そうとする。だが、チナはぐいっと何かに引っ張られるような違和感がして、後ろを振り返った。

 そして驚愕きょうがくする。



「なっ…タラス?!」


『どこに行くつもり?』



 チナのスカートを、タラスが嘴で挟んでいたのだ。こうしている間にも、魔鳥は頭上でさらに増えていく。

 いつの間にか周りには人がいない。マリアたちが心配そうに叫びながらこちらを見ている。



「チナッ」


「…離せってば!なんなの?!」



 タラスは首を傾げる。



『おれっちたちはチナを迎えに来たんだぜ』


「迎えに……?なんのこと?って、ぎゃわっ?!」



 タラスが小さく鳴くと、上に集まっていた魔鳥たちが一斉にチナに向かって降りてきた。

 チナの服を嘴やら爪やらに引っ掛け始める。



「や、やめろ!!」


『チナ、おれっちたちは歓迎しますっすよ』


「…は?───っぎぃやぁああああっ!!!」



 何を言ってるの?と疑問に思うチナだったが、それはすぐに消え去った。

 無理もない。いきなり持ち上げられたのだから。



「いぎゃああああっ!!助けてええええっ!!」


「チナー!!」



 チナが連れ去られるのを見て、マリアが叫び声をあげる。



「パンツ、パンツは見えるか?!」


「まて、見えそ…あぁっ!魔鳥が隠しやがったっ」


「あんたらチナを心配しなっ!!チナッ……」


「マ、マリアさん、あっちって、イグリの巣がある方向じゃ……!!」


「チナ、どうか…!!」



 どうか無事で、チナ!!



「騎士団に早馬を!!早くっ!!」





─────────────────


──────────────



『───』





『──ナ』





『─チナ』



 だれか、私を呼んでる─…



 ふっ、と目を開けると、そこは見知らぬ天井。



 ……なんか私、デジャヴ多くないかな。今までで何回目なのさこれ。ふざけんなよ。なに、三回目くらい?デジャヴ経験してる私がわからないってどうなのさ?ある意味すごいよ全く。



『チナ、と言うのか?』


「っ!!」



 やっと意識が浮上してきた。呼びかけられて飛び起きる。デジャヴと感じたのは『状況』に。この場所は知らない。

 チナは飛び起きると声から遠ざかった。



「…………」


『お前が、チナだな?』



 



 そこにいたのは、巨大な鷲だった。

 黒い羽に、光る赤い瞳。目の色だけがノアと違っていた。

 その獰猛そうな瞳がチナを見つめる。

 どれだけ時間がたってもその鷲は飛びかかりはしなかった。しかし、チナは警戒をとかずに後ろにじりじりと下がる。ノアがいない今、逃げるしかないのだ。

 が。



がくっ



「ひあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」



 木の上だったらしい。チナ、落下中。




──────────────────


───────────────



ばさっばさっばさっ



「……すいません」


『いや』



 巨大な鷲に回収されたチナ。さっきと同じ木の上に連れてこられ、そっ、とおろされる。まるでチナに傷が付かないように、ゆっくりと。



『…お前が、チナだろう?』


「え───」


『何カッコつけてんすかー』



 鷲の言葉に返そうとすると、足元から声がしてチナのセリフを遮った。

 ちらりと足元を見ると、街中でチナの目の前に降りてきたタラスがそこにいた。



「え、タラス?」


『そっすよー。おれっちタラス。もー、ボス、何カッコつけてんすか?気持ちワリッすよ~』



 え、なんだなんだ、このカラス。話し方がチャラッちいぞ、このカラス。ボスってなんだ、この鷲か?



 チナが鷲に目線を向けようとすると、その前に鷲が行動を起こした。





『うるっさいわガキィ!オレだってカッコつけてーのっ!!』





「………………うん?」


『っかー!お前がヨケーなこと言うから、もうボロが出ちまったじゃねえか!このクソガキ!!』


「…………ぅんん?!」



 威厳がある、と少しは思ったが、違う。これは威厳とはいはない。チナは鷲とタラスの会話を聞きながら、にっこりと笑って話した。



「帰っても良いかな?」


『ダメー。チナはここにいろよ』



 軽そうな鷲だから、流れで帰してくれるかもと思ったチナだが、甘かった。理由はわからないが、鷲はここにチナに居てもらいたいらしい。

 チナが思いっきり嫌そうな顔をするのを見て、鷲は悲しそうな声色出す。



『だってよ、だってよチナ。オレたちはお前に惹きつけられるんだよ……なあ、居てくれよ、チナ』



─我らはお前の心に惹きつけられる。



 ノアの言葉と、目の前の鷲の言葉がかぶる。同じことを言っている。『ノアと同じ』、それだけで否定出来なくなる、拒否出来なくなる。



「私に…惹きつけられる…?」


『チナー、居てくださいっすよ。おれっちたち、チナのこと守りますよ』


『チナ』



 目の前の魔鳥を無視することは出来なくなっていたチナ。しかし、同時に街の人々のことも考えていた。何も、被害はないだろうか──。

 しかし、口にでたのは違う言葉だった。











「────ノア」








 チナを守ってくれる存在の名を、今。










タラス

黒い鳥。地球のカラスによく似ている。軽快な喋り方をする。



イグリ

黒い巨大な鷲。ウォリアは陸の魔獣を統べる魔獣なら、イグリは空の魔獣を統べる魔獣。(魔鳥)



魔鳥、チャライッす!(・∀・)




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