269話 ミミちゃんが怠けるとこうなる
昨日の夜は、ミミちゃんの部屋で一緒に寝た。
一緒に寝るのは頻繁にあることで、いつも通りお互いに相手の体温を感じながら幸せな気持ちで眠りに就き、朝を迎える。
意識が覚醒してうっすらと目を開けた瞬間、この世で最もかわいくて美しい寝顔があたしの視界に飛び込んだ。
いくら見慣れているとはいえ、圧倒的なまでの魅力に思わず息を呑む。
瞬きするのも忘れて寝顔を堪能していると、ミミちゃんのまぶたがゆっくりと動いた。
「おはよ~」
シンプルな朝の挨拶を口にする。
すると、ミミちゃんはあたしと目を合わせて柔らかな笑顔を浮かべた。
「ふあぁ……おはよう……です」
大きなあくびと、あいさつへの返事。
同時に抱き寄せられ、あたしとミミちゃんの距離はこれ以上なく近付いた。
これも普段から高確率で起こることではあるけど、寝起きのスキンシップに心が躍る。
でも、ミミちゃんのこの様子は……。
長い付き合いによる経験則から、頭の中に一つの予感が生まれる。
「あったかいです」
とろんとした声と表情で、ミミちゃんがポツリと漏らす。
そして、腕で抱き寄せるだけでなく、脚も絡ませてきた。パジャマ越しに伝わるミミちゃんの体温が心地いい。
「えへへ……離しませんよぉ」
ただでさえ童顔なミミちゃんが、緩んだ笑顔によってさらに幼く見える。
かわいすぎて叫びそうだ。
ミミちゃんの鼓膜を守るためにも、湧き上がる衝動はグッと体の奥へ奥へと抑え込む。
「あたしも離さないよ~」
あたしの方からもギュッと抱きしめて、ミミちゃんの甘い香りに包まれながら、誰にも邪魔されない二人だけの時間を満喫する。
一時間ぐらい抱き合ったまま過ごした後、あたしたちはのんびりと起き上がって部屋を出た。
顔を洗って歯を磨き、朝ごはんの支度をするためリビング――ではなく、ミミちゃんに手を引かれて再びミミちゃんの部屋に足を運ぶ。
「もうちょっとだけ、寝てもいいですか?」
二度寝の許可を求める発言をしながらも、ミミちゃんの声や表情から眠気は感じられない。
「うんっ」
抱いた予感が、確信に変わった。
今日はミミちゃんがひたすら怠けたい日だ。
あたしは即答で返事をして、ミミちゃんと共に改めてベッドに横たわり布団を被る。
「ちょっと冷えちゃいましたね」
「ギュッてしてたら、すぐにあったかくなるよ」
「そうですよね。ちゅっ」
「ひゃっ」
いきなり頬にキスされて、つい変な声が出てしまった。
「お返しっ」
宣言通り、あたしもミミちゃんの頬にキスをする。
「あったかい……もっと体温、感じさせてください……」
ミミちゃんは純真無垢な笑みを浮かべながら、背中に回した手を少し下にずらし、パジャマの中へと滑り込ませた。
「ユニコちゃんの背中、すべすべで気持ちいいです」
「んっ」
ミミちゃんはたまに甘えん坊になることがあるし、あたし以上にエッチな気分になることもある。
そして、今日のようにひたすら怠けたい日には、一人だとなにもせずベッドでゴロゴロして過ごし、あたしと一緒だとエッチな甘えん坊になることが多い。
抱き合ったり軽く触ったりするぐらいのスキンシップに留まる場合もあるけど、今日はそっちのパターンじゃないっぽい。
「……はぁっ……んぅっ……」
無意識のうちに恥ずかしい声が漏れる。
ミミちゃんの手はすでに背中から下半身の方へ移動し、パジャマどころかパンツの内側へと侵入している。
お尻を撫でられたぐらいでは、いまみたいな声は出ない。
ミミちゃんが怠ける日、それは普段どちらかと言えば受け側のミミちゃんが攻めに転じる日でもある。
ここから先の出来事は、配信はもちろんプライベートで先輩や後輩とおしゃべりする時にも話せそうにない。




