268話 今度はあたしの番!
コラボ配信でエクササイズゲームをプレイするあたしとミミちゃん。
十分ほどのプレイを終え、ミミちゃんが息を整えつつ着席する。
「ミミちゃん、ほんとにありがと~!」
「ありがとう……ですか?」
労いの言葉をかけるつもりだったのに、揺れ弾むおっぱいを見せてもらったことへのお礼が勝手に口から出てしまった。
「え、えっと、これ飲み物! 次はあたしの番だから応援よろしく!」
「あっ、え? ありがとうございます。が、頑張ってくださいね」
ふぅ、なんとかごまかせた。
とっさに言い訳が出てこなかったので、無理やり勢いで乗り切る。
「リスナーさんたちも応援よろしくね! それと、変なとこばっかり見ちゃダメだよ~」
さっきまでミミちゃんが立っていたところに移動して、コントローラーを持ってモード選択を行う。
「変なとこって……あっ、もしかして」
「しまった! そ、それじゃあスタート!」
リスナーさんたちに向けて何気なく発した言葉から、ミミちゃんが察してしまった。
あたしは言及を避けるべく、慌ててゲームを開始する。
まずは入念なストレッチから。
運動前のストレッチがどれだけ重要かは言うまでもなく、怪我をしないためにも真面目に取り組む。
ストレッチの項目が一通り終わると、まずは軽めのエクササイズが始まった。
「ミミちゃん、どう? 揺れてる?」
「なにがですか?」
「うぐっ!?」
キョトンとした顔でこちらを見る純粋な瞳が、あたしの心へダメージを与える。
意地悪をしているわけじゃなく、本当に分かっていないんだ。
「えっと、その、なんていうか……おっぱいが、ぷるぷるって、揺れてるかな~、って。あはは、そうだよね、揺れてないよね~」
分かっていたことだけど、あたしのおっぱいではミミちゃんのようなサービスショットを生み出すことはできない。
『ドンマイ』
『それぞれのよさがあるよ』
『スポブラ着けてたらそこまで揺れないんじゃない?』
『比べる相手が強すぎるから仕方ない』
インターバルの間にコメントをチェックしていると、とあるコメントが目に留まった。
「スポブラ着けてるから揺れないってコメントあったけど、あたし今日ノーブラなんだよね」
「ユニコちゃん!?」
ポツリと漏らした情報に、ミミちゃんがすぐさま驚愕の声を上げる。
「なっ、なんでブラ着けてないんですか!?」
「だ、だって、着けない方が動きやすいから……」
あたしのサイズだと、そもそもスポブラに頼らなくても別に揺れ――いやいや、それ以上はやめておこう。
あたしだって完全に真っ平らなわけじゃないし、まったく微塵も揺れないわけじゃないはずだと思う気がしないわけでもない。
「いますぐ着けてください」
「わ、分かった、ちょっと待ってて」
有無を言わさぬミミちゃんの圧に屈し、あたしは反論することなく首を縦に振った。
言われた通りにブラを身に着けて、さっきの続きから始める。
「はっ……はっ……やった~、ハイスコア! ミミちゃん、褒めて褒めて!」
「すごいですっ。よしよし」
ミミちゃんに頭を向けると、意図を察して優しく撫でてくれた。
「えへへ、この調子で頑張るぞ~!」
『かわいい』
『かわいい』
『かわいい!』
『かわいすぎる』
よしよしに癒やされて喜んでいたら、かわいいと褒めてくれるコメントが大量に流れてきた。
そして翌日、配信のアーカイブを見ていた時のこと。
あたしが思っていた以上にかわいいと言ってもらえていて、嬉しくて一人でしばらくニヤニヤしてしまった。




