聖炎騎士団、海を超える
1057年300日目
予言の年まであと数十日くらいとなり、騎士団も十分なくらいに戦力が整った。俺は団員達にアトレアへ行く事を伝え、予言の魔物が現れる大陸...アクラルイスへと向かう。
「アクラルイスか...あそこは嘗て英雄達が世界を救った地とも呼ばれておるのぉ。」
「そう言えば予言書にも、"呪われる7勇者"と書いてあったなぁ。俺達が魔物との戦闘で組んでいる編成と関係あるのかな?」
「魔物との集団戦闘においては、7人で挑むのが最良。...と古くから言われておるのだが、その理由を知る者はおらず、誰も気に止める者もいなかった。」
「んなこたぁどうでも良いじゃねぇか!それより...アクラルイスにゃあ、俺達剣闘士の聖地があるって話があるんだが...スカイ団長、魔物倒したらちょっくら寄って行ってくれねぇか?」
「何を言う!?あそこは儂ら魔法使いとお主ら剣闘士が和解した町があると記憶しておるぞ!」
「何言ってやがんだ!?そいつぁ爺さんの記憶違いじゃねぇのか?」
「フォーロ殿、ガイラス殿。拙者らは予言を回避する為に行くのであって、物見遊山に行くのでは無いぞ!」
「まあまあ。行きは船で行くんだから、皆船酔いとかで体調を崩すかもしれないんだし、余裕を持って魔物が現れる場所は向かおうと思う。地図では2人が言ってる場所は、魔物が現れる場所を通るから、そこで休んでから魔物を倒しに行こう。」
「ありがとよ、スカイ団長!」
「すまんのぉ、スカイ団長。」
1058年30日目
アトレアへは8年前に来て、あの時は魔物のせいで船が出せない状況だった。ロンメルが生成した薬が上手く行っていれば、俺達はアクラルイスだけでなく、船を使えば最短ルートの距離を進めるようになる。俺は船が使えるかどうか不安に思いながら、船着場へと向かった。
「おや?あんた達は、もしかして聖炎騎士団かい?」
「そうです。アクラルイスへ行く為に、船を使わせて下さい。」
「そうかいそうかい。実はロンメルさんがあんた達が来たら伝えて欲しい伝言があるって言ってたよ。」
「ロンメルが?」
「"アクラルイスへの航路上に魔物はいなくなった"ってさ。その後すぐに他の海へと行っちまったけどな。あとは赤い髪の姉ちゃんから手紙があるぞ。」
男性から手紙を受け取ると、そこにはヤエの字で短い文章が書かれていた。
"予言の魔物への道は作った。ロンメルの仕事が終わったら、王都へは帰らず、私の好きにさせてもらう。"
ヤエらしい簡潔な手紙だった。そして俺達は船に乗り込み、予言の魔物が現れる大陸、アクラルイスへと出航した。
{1058年、航路を獲得した騎士団は、とうとう大陸を超える。聖炎騎士団の乗る船は、拒むように打ち付ける波を割り、前へと進んでいく。そして数日が経ち、水平線の彼方に島影が見え始めた。}
1058年40日目
アクラルイスへ上陸した俺達は、荒れ果てた地形にまず驚いた。地図で見るとここは四国地方並の大きさしかなかった。本当にこの大陸から嘗て世界を救った英雄達が現れたのか、疑問に思うくらいだった。
「遂に来たな...アクラルイスに...」
「伝説の7勇者の地...まさかこのような形で訪れる事となろうとは...」
「荒れ果てているのは、予言の魔物の影響なのかな?」
「恐らく...」
「ス、スカイ団長...とにかく今は、休ませてくれねぇかい?」
「やっと地に足が付けられたわい...」
ガイラスやフォーロの他、慣れない航海で体調を崩した団員が過半数いた。このまま魔物との戦闘にでもなったら、戦死者が出るのは必然だった。
「スカイ殿、ここから一番近い村はござらぬだろうか?」
「えっと...モルトガロムという名前の村があるらしい。そこで休んでから、目的地のローグバースへ向かおう。」
1058年70日目
俺達はモルトガロムに到着し、団員達を休ませる事が出来た。到着して直ぐに目に付いたのは、剣闘士と魔術師が握手をしている石像だった。
「こ、こいつぁ...」
「ここが剣闘士と魔法使いの町であったか...」
ガイラスとフォーロが石像を見て感動した。すると老人が俺達の元へと来た。
「この町は昔、鉄槌と鴉の町とも呼ばれておったそうな。」
「鉄槌と鴉...剣闘士と魔法使いを表しているのか。」
「互いは仲が悪く、1つの町を2つに分けてしまった。じゃがある日、町に現れた魔物を共に倒した事により、互いの事を認めあったと言われておる。」
「そう言う事だったのか...。爺さん、あん時ゃ悪かったな。」
「何を言う。記憶違いは誰にでもあるものよ。」
「明日はいよいよ目的地へと出発する。今日はゆっくりしよう。」
翌日、俺達はモルトガロムを出発し、予言の魔物が現れるローグバースへと向かった。




