閑話 予言の年までの準備
1055年120日目
予言の年まであと3年に迫って来た中、俺は団員達の整理をしていた。新たに加わった魔術師フォーロと剣闘士ガイラスは、俺とツルギが戦闘に出られない時に主力となってくれて大いに助かっている。問題は欲しい人材が中々来てくれない事だ。戦士・僧侶・冒険者はよく目にするが、アーチャー・魔女・剣闘士は中々来てくれない。況してやニンジャ・祈祷師・聖騎士はレアキャラというくらいだった。
現在の騎士団の構成は、主力を除けば騎士・術者2名ずつ・神官・冒険者・僧侶・魔女1名ずつである。来年になれば、ヴァルキリーが加わってくれる予定だが、やはり精霊の加護を受けた団員が欲しい所だった。
俺は街外れの森へ行き、レイラに精霊の事を聞いてみた。
「精霊の加護を?」
「あぁ。以前俺達は、モームという精霊の力を借りて魔物と戦った事があるんだ。これから先、ゴルゾフやゼオン...況してやベルフェザードと戦うとなると、致命的なダメージを与えられるくらいの切り札が欲しいんだ。どうしたらいいのか、教えてくれないか?」
「精霊の中には、人間の強い絆に応えてくれる者達がいます。モームの他には、ユニコーン・エアリー・ファフリール等が存在します。」
「強い絆?」
「それは私にも分かりません。あの時の事を思い出してみれば、何か分かるのでは?」
「あの時は...騎士と冒険者がモームを召喚したな。それであの2人は結構仲が良かった。」
「恐らくそれが精霊を呼び寄せる"強い絆"なのかもしれません。」
「仲の良さが"強い絆"?そんな訳...」
無いと言おうとしたが、俺はある事に気がついた。戦闘で団員同士の仲が深まり、結婚にまで至る事があるのだから、可能性は無い訳では無かった。
「そうか...精霊は団員同士の友情に応えて、力を貸してくれるのか。」
「これで少しはあなたの力になれたかしら?」
「あぁ。ありがとうレイラ。今後はこの事も考えた上で、編成を考えるよ。」
「ですが、精霊の力を借りる為に、最善の方法を取らないという事はしないで下さいよ。」
「あぁ。精霊の加護は日々の積み重ねで生まれるオマケのような物さ。あくまでも俺達一人一人の力を合わせて戦って行くさ。じゃあな、レイラ。」
俺はレイラに別れを告げて、騎士団本部へと戻った。そして団員達の人間関係も把握するようにした。
1055年250日目
この日はアトレア付近にある村に出没した魔物を討伐した。相手はジャイアントの最上位に位置するオーガという魔物であったが、ツルギ・ガイラス・フォーロのお陰で高い体力と防御力があっても倒す事が出来た。すると俺の視界に彼女の姿が見えた。
「レダ!久しぶりだな。」
「...秀哉。そうだね。」
「?どうしたんだ?」
「ん?何でもないよ。」
いつものレダとは明らかに違う反応に、俺は疑問に思った。最後に会ったのは約2.3年前だった。いつもみたいに俺をからかっていたが、今回はしないのかと思った矢先、レダはいつもの感じに戻った。
「そうだ秀哉!心理テストしてあげよっか。」
「!?いきなりだな...」
「溺れている2人の女性がいます。片方は正しい女、もう片方は...誤った女。秀哉、あんたが助けるのはどっち?」
「...選択肢は2つだけなのか?」
「というと?」
「どっちか選べというのなら、俺は"どっちか"を選ばない。俺は...助けを求める者がいるのなら、両方助けたい。」
「...欲張りだね。でも...ありがと。」
レダはそう言うと、またどこかへと姿を消そうとしたが、俺はレダの手を掴んだ。
「レダ!」
「ちょっ!?どうしたのよ?」
「俺は...例えレダが誤っていようが、必ず助ける。必ずだ!」
「...ありがと。じゃあね、秀哉。」
そしてレダは俺の前から姿を消した。いつも突然現れて、いつもどこかへと消えて行くレダが、いつも違う反応をした事が頭から離れなかった。もし、俺がレダと添い遂げる事を決意したら、レダはもうどこにも行かないのだろうか...




