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ひ弱な婚約者と無敗の父親 後編

ガイラスの声を聞いて駆け付けた時、2人は倒れこんでいた。

「ガイラス、ルース!大丈夫か!?」

「スカイ団長...こいつが俺を庇って...バカ野朗が、ヒョロいクセに無茶しやがって!」

「ガイラス殿、落ち着かれよ。大声を出すと、魔物を刺激してしまわれる。」

「大丈夫そうだぞ?」

「えっ?」

俺がルースの無事を伝えると、ルースはゆっくりと起き上がった。本当にどこも怪我していないようだった。

「オ、オメェ...本当に平気なのか?」

「はい。ヒョロい体のおかげで怪我は無いです。服が破けた程度です。」

「よし。後は騎士団に任せろ。...?どうしたんだ?ガイラス。」

俺はガイラスの様子がおかしい事に気付いた。するとガイラスは両手を膝に当てていた。

「...すまねぇ。さっきので膝を痛めちまったようだ。これじゃあ戦う事は出来ねぇ...」

「スカイ団長!僕が戦います。一緒に魔物を倒しましょう。」

「分かった。頼むぞ、ルース!」


【モルガロス レベル07】

・体力400 ・攻撃力 18(列攻撃18・石化攻撃23) ・素早さ 8.0 ・回復力 10

特徴•••2・3・4度目は列攻撃、5度目は石化攻撃。


高い攻撃力に石化攻撃、しかも列攻撃を3回連続で攻撃してくるとは...。俺が今いる団員達とルースの能力を考えて、最善の編成を組んだ。

「前列は俺とツルギ、神官。中列にルース、フォーロ。後列は魔騎士と僧侶で行く。フォーロは神官を、魔騎士はフォーロを、神官は魔騎士を補助だ。今回の戦いは皆を大きく疲弊させる事となる。覚悟しておいてくれ。」

「御意。」

「はい!」

「老体には堪えるわい。」


そして聖炎騎士団とモルガロスとの戦いが始まった。先手はツルギの居合から始まり、続けて俺とルースも攻撃した。そして魔物の攻撃はツルギに当たってしまった。前列の補助は神官しかしていない為、仕方のない事だった。最後に神官が攻撃をしたら、すぐに後退した。

神官が俺とツルギを回復し、魔物も自己回復した。ルースがナイフを投げ付け、フォーロが攻撃し終えると、魔物は尻尾で2人を薙ぎ払うように攻撃した。モルガロスはアンキロサウルスの様な尻尾を持っていたので、補助を受けてないルースは致命的なまでに体力を削られた。

「ルース!!」

「だ、大丈夫...です!これくらいは...覚悟の上...です!」

ガイラスがルースを心配するが、ルースの心はまだ死んでいなかった。俺は2人を後退させ、フォーロはルースを回復し、魔物も回復した。

魔騎士が攻撃し、ツルギの支援を受けた僧侶が攻撃すると、再び魔物の列攻撃が来た。神官の補助で魔騎士のダメージは軽減され、僧侶はダメージを受けた。

魔物の体力は3分の1までになった。ツルギと俺が攻撃し、最後はルースがトドメを刺した。モルガロスは雄叫びをあげて力尽きた。

「これで魔物の脅威がまた一つ消えたな。ありがとうルース、よく頑張ったな。」

「いえ...聖炎騎士団の皆さまのお陰です。」

「でも、ルースが戦ってくれたから、俺は最善の編成を組む事が出来たんだ。それに...俺はルースを尊敬するよ。」

「えぇ!?そ、尊敬だなんて...」

「そうだぜスカイ団長。こんなヒョロい奴のどこに尊敬するんだ?」

「ガイラス...信じられないだろうけど、昔の俺はルース以上のひ弱だったんだ。全力疾走も5秒しか持たず、1本の矢を折る事も出来ないくらいだった。」

「まさか!?」

ガイラスとルースは大変驚いた。無理も無い...今でこそ不老不死と呼ばれている俺が、自分でも情け無いくらいのひ弱だったとは信じられない話だ。

「でも...ルースはガイラスに何度跳ね返されても、諦めずに何度もぶつかって来た。今だって、あんたに認めてもらおうと、こんな無茶をするくらいなんだ。昔の俺だったら出来なかっただろうな。」

「ガイラスさん...これで、認めてもらえるでしょうか?」

「......家に帰るぞ。帰って俺の誕生日と、モルガロスを倒した祝いをやるぞ。」

そう言うとガイラスは片足を引きずりながら出口へと歩き出した。俺達もルースと共にガイラスの家へと向かった。戦闘で疲弊した俺達は、グラディウスの宿屋で一泊した。


翌朝、俺達がガイラスの家に向かうと、エレナとルースが出迎えてくれた。

「スカイ団長、昨日は本当にありがとうございました。」

「お父さんとルースが無事で、本当に良かったです。」

「それでルース...あの後ガイラスは何て言ったんだ?」

「まだ何も言ってくれません。やはり駄目だったのでしょうか?」

「そんな事無いわよ!もし駄目だって言ったら、私お父さんを引っ叩いてやるんだから!」

「朝っぱらからうるせぇなぁ。」

ガイラスが家の奥から出て来た。背中には大きなリュックサックを背負っていた。

「お父さん、その荷物どうしたの?」

「エレナ...暫く留守にする。自警団の方には、話をつけてある。」

「えぇ!?突然どうしたの?」

「俺は...お前を幸せにする為に、今まで見守って来た。だが、もうその必要は無くなったから、俺は俺の夢を叶えようとする」

「お父さんの夢って?」

「スカイ団長、俺をあんたの一員にしてくれ!」

「良いのか?エレナを一人にさせて...」

「一人じゃねぇ...こいつには、ちゃんと守ってくれる奴がいる。」

「ガイラスさん...」

「エレナを頼んだぞ。息子よ...」

「!?...分かりました。お父さん!」

ガイラスはルースとエレナに別れを告げて、俺達の仲間に加わった。街を出て人気が無くなると、ガイラスの表情は涙ぐんでいた。

「ガイラス...泣いても良いんだぞ?」

「!?な、泣いてなんかいねぇやい!!」


・スカイ17歳(∞)・ツルギ29歳(25)・フォーロ42歳(13)・ガイラス35歳(15)

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