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閑話 墓参り

 1053年50日目

レームから王都へと戻った俺は、団員達に3日間休みを取らせた。往復で1年半かけた遠征で、団員達の疲労は1日休んだ程度では抜けない筈だ。勿論魔物が現れた際には、直ぐに報告が来るようにはなっている。予言の年まであと5年、そろそろ団員を入れ替えなくてはならないかもしれないな...。

 例によって俺は酒場へ向かい、入団希望者が来ていないかを確認した。マスターに聞いてみると、5・6人来ていたが、半分は衰退期に入っていた。そしてもう半分は、予言の年までに戦力になるのに時間がかかる者や、2,3年で衰退期に入ってしまう者だった。俺達が魔物を討伐すれば、その噂を聞きつけてくれる者が現れるが、魔物を討伐しなければ入団希望者が来ないのは必然だった。約4か月分待てば、最低でも3人は来てくれるが、その間に魔物が村を壊滅してしまわないかが心配だ。

「お前さん、今は大陸中を駆け回っているんだって?」

「あぁ。この前は魔法都市レームまで行ってきたよ。」

「実はここから西にある宗教都市から水上都市までの馬車が来ているらしいから、考えてみたらどうだい?」

水上都市か...もう10年くらい行ってないから、一度行ってみても良いかもしれない。ウォルターの酒場でも情報収集は出来るし、リーフの墓参りにも丁度良いかもしれない。

「ありがとうマスター、いつもありがとな。」

「良いってことよ。あんたとも長い付き合いになったが、俺もそろそろ限界が近いらしい。新しいマスターとも仲良くやってくれよな。」

「あぁ。分かったよ。じゃあな。」

俺はマスターと別れを告げて、酒場を後にした。

 騎士団本部に戻ると、ヴァルキリーの少女がいた。どうやら俺を待っていたらしい。

「あの...私以前、この騎士団にいた父と母の娘です。」

「君は...もしかして、サムライとヴァルキリーの子かい?」

「はい!あと3年で、入団出来る様になります。ですから、もう少し待っててくださいね。」

彼女はそう言い残すと、笑顔で本部を後にした。団員同士の結婚で出来た子供が、団員として来てくれるのは有難いが、戦力を得るために団員達に結婚を認めているかの様に思われないかが気になっている。俺はどんな事があっても、人の道を踏み外す様な事だけはしたくないと強く思った。


 1053年100日目

俺達は酒場のマスターから聞いた馬車を使って、水上都市ウォルターへと来た。街の象徴である時計塔も、夜になると無法者達が街をうろつく雰囲気も、初めてこの街に来た頃とまるで変っていない。

「この街は...気を抜く事が出来ぬな。」

「フェルメアにいたツルギには、この街は向かないだろうな。ここは無法者の街とも言われているし、裏では闇ギルドの<深淵>が占めている。」

「スカイ殿は、王都へ来る前はこの街にいたのか?」

「あぁ。バルトウェイの次に拠点としていた街だ。ここで俺は、ベルフェザードと2回戦った事があるんだ。」

「そうだったのでござるか...」

「今日はこの街で休んで、明日行きたい場所があるんだが...良いかな?」

「拙者は構わぬが。」

「ありがとう。」

翌日、俺はフォレスの村へと向かった。俺一人では不安だという事で、ツルギが同行してくれた。村へ着くと、村長が態々出迎えてくれた。

「これはこれは。聖炎騎士団の団長様が来て下さるとは、この村に魔物が来るのでしょうか?」

「いえ、今日は昔の団員の墓参りに来たんです。案内して頂けますか?」

「はい。ではこちらへ。」

俺達は村長の案内で、リーフの墓標がある場所へと来た。村から結構離れていたので、案内が無ければ迷ってしまうくらいだった。約10分くらい歩いて目的地に着くと、墓は2つあり、1つには水晶石のお守りがかかっていた。

「右がリーフ様のお墓で、左がライ様のお墓です。」

「ライが亡くなったのは、いつ頃でしょうか?」

「リーフ様が亡くなった後、5年後にお亡くなりになりました。リーフ様の病が移ったのでしょうか、最期は離れでひっそりと亡くなりました。」

あのライの事だから、恥ずかしい様を見られるのは嫌だとか言って、村人達に病が移らないように自ら隔離したんだな。

俺とツルギは2人の墓に手を合わせて墓参りを終えた。

ウォルターへと帰る道中で、ツルギが俺に話しかけて来た。

「スカイ殿、ここからバルトウェイまでは近いのでござろうか?」

「ちょっと遠いけど、行けなくはないな。ついでにバルトウェイへ行ってみるか?」

「いえ。魔物から人々を守るのが、我らの務め。またの機会で結構でござる。」

「あぁ。バルトウェイ付近に魔物が現れた時にな。」

俺達はウォルターへと戻ると、要塞都市グラディウスへ寄ってから王都へと戻る事を団員達に伝えた。

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