閑話 魔女都市レームへの道のり
現在の聖炎騎士団の状況
サムライ2名・戦士・魔騎士・アーチャー・神官・僧侶・魔術師・術者・魔女・冒険者・1名ずつ
1050年200日目
ヤエが退団して数十日が経過し、団員も何人かが衰退期が近くなってしまった。アトレアの酒場でも噂話を聞いてみると、とある村から村への馬車がある話を聞いた。これは遠方へ魔物討伐する時にとても便利だ。そして団員一人の能力を上げてくれる達人の噂も、戦力強化を早める点ではありがたかった。そして俺達は今、アトレアから北の方角にある魔法都市レームへ向かっている。
船が使えるようになっていれば森と山を越える険しい道を選ぶ事は無かった。俺は心からロンメルとヤエの魔物退治が成功する事を願った。
魔物は今の騎士団でも十分倒せるくらいだったが、予言の年の事を考えると油断出来ない。魔物が現れた村での戦闘が終わると、聞き覚えのある声が聞こえて来た。
「久しぶりね。秀哉!」
俺の事をその名で呼ぶのは...やはりレダだった。
「ねぇ秀哉。そろそろ二人の愛の住処を決めちゃわない?」
今までの俺ならこういった発言に驚いていたが、俺は冷静に受け流そうと決めた。
「二人って?」
「決まってんじゃないの。あたしと秀哉よ!」
一緒になろうの次は愛の住処か...レダの頭の中では、もう既に子供の事まで考えているのではないかと思った。
「やっぱり誰も来ない森の中とか?氷の洞窟なんかも、ムードがあるわね!」
どういうムードかは知らないが、少なくとも人間らしい生活は送れなさそうだ。
「愛する二人にとっちゃ、自分達以外の人間なんて邪魔なだけだもんね...うんと辺鄙な場所に引っ込みましょう。二人きりで!うふ!!」
暴走しているレダに色々言ってやりたい気持ちはあるが、俺は自分の胸を軽く叩いて、心を落ち着かせた。これは元の世界で試験に臨む前にやっているルーティーンだ。
「レダは...都会の方が似合ってるよ。」
「...あ?やっぱり?あたしって、どうしても洗練された雰囲気が滲み出ちゃうからね〜」
「あぁ。都会の気ままな"一人暮らし"が似合ってるよ!」
俺は笑って答えた。
「まぁね〜〜〜〜。...って、ちょっと秀哉!」
レダがノリツッコミで怒ると、ツルギがレダに斬りかかろうとした。
「覚悟!」
「おっと!」
ツルギの刀は、レダの軽快な身のこなしで当たらなかった。
「ちょっとちょっと!危ないじゃないの!」
「貴様...まだそのような格好をしているのか...」
「お、おいツルギ!?いきなりどうしたんだ?」
「この者は以前、フェルメアで公共良俗違反として捕らえようとしたのですが、逃げられてしまったのです。」
「何言ってんの?あたしはあたしにチョッカイ出した奴を懲らしめたのよ?あたしよりも先にそいつを捕まえなって言った筈よ?」
「お主の格好が悪いのだ!」
「手ぇ出した奴が悪い!」
レダとツルギが睨み合い、俺は客観的に判断し、両者が納得する答えを出した。
「ツルギ。フェルメアはもう以前の法律を白紙にしたから、レダの違反も時効なんじゃないのか?」
「そ...それは...」
「レダ。確かに手を出してた奴が悪いけど、そいつをレダがボコボコにするのはどうかと思うけど...」
「そんな〜」
「という事で、お互いに非はあるから、おあいこって事にしよう。なっ?」
「秀哉がそう言うなら、あたしは良いわよ?おサムライさんは?」
「スカイ殿に免じて、お主の件は忘れてやろう。」
「一件落着だな。それじゃあレダ、気をつけてな。」
「ええ、いつでも待ってるわよ。」
レダはそう言うと、俺達から去って行った。するとツルギが俺に尋ねた。
「スカイ殿...何故あの女はお主を"シュウヤ"と呼ぶのだ?」
「あぁ...実はな...」
俺はツルギに真実を伝えた。俺が異世界から来た事、本当の名前は天野秀哉という事を、信じてもらえなくてもいいから俺は全てを話した。話を終えると、ツルギは目を瞑って数秒間黙った。
「なるほど...そういう事だったのか...」
「信じてくれるのか?」
「団長の言葉を信じぬ団員がどこにおる?それに拙者は以前、女神を名乗る女に会っている。」
「はは、そうだったな。ありがとうツルギ、俺の事は好きに呼んでも構わないよ。」
「ならば今後も、"スカイ殿"と呼ばせてもらおう。」
俺の事を話すのは、ライに話した以来だった。俺達は気を取り直して、魔法都市レームへと向かった。




