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規則か?掟か?

アリアは必死訴えた。秘書が市長を暗殺しようとしていると...。しかし誰も信じてくれなかった。市長が最も信頼する人物がそんな事をする筈が無いと、市民は口々に言った。アリアは入市管理局長である前に、市長の娘である。しかしフェルメアの法律は、血の繋がりよりも法的地位を優先する。失意のアリアは最後の救いを求めて、ある人物の元へと走った。

監獄塔の近くでアリアはある人物と2人きりとなった。最早アリアの言葉を信じてくれるのは...親衛隊のツルギだけだった。

「ここにはあなたと私だけよね?」

「アリア殿、本日の公務までまだ時間が...」

「お願いツルギ!父を助けて!」

「!?どうなされたのだ?」

「ラパンが市長を殺そうとしている。私聞いたの!1年後に毒入りエールを飲ませるって、けど誰も信じてくれない。市民も役人も、私の話を聞いてくれないの!」

「落ち着かれよ。ラパン殿がその様な事を...」

ツルギがアリアの両肩を持ち、必死に落ち着かせ様とする。しかしアリアの瞳には、涙が浮かんでいた。

「どうして?どうしてなの!?彼が市長のお気に入りだから?娘である私より、彼の言葉を信じるの?そんなのおかしい...おかしいわ!」

「アリア殿...」

「もうあなたしかいないの!お願いツルギ、私に代わって市長を...父を助けて!」

「しかし...拙者はアリア殿の護衛に過ぎぬ故...」

「お願い...助けて...」

アリアは泣きながら必死にツルギに頼んだ。ツルギは戸惑いながらも、彼女が落ち着くまでずっと側にいた。


聖炎騎士団はフェルメアで予言の魔物に対する注意を促した。そして最悪の場合には、王都の騎士団と共に協力してもらう事も頼んだが、やはり街の人々は協力してくれなかった。

「俺は市長に会って来る。ヤエはどうする?」

「適当にうろついているさ。」

「そうか。...ところでエイドは?」

「さぁ?」

「さぁ?じゃないだろ!」

スカイ達と離れ、エイドが街を歩いていると、元気の無い子供を目の当たりにした。街の人に話を聞くと、彼は3日間何も食べていないそうだ。両親は働いていて、彼の面倒を見ていられないらしい。するとエイドは子供にホワイトベリーの実を与えた。

「ほら、これでも食えよ。この時期はとっても美味いんだぜ。」

「でもこれ...貴重な実でしょ?」

「いいから食えよ。お前3日間何も食べてないんだろ?」

「けど...僕お金無いから...」

「大丈夫だって。1つくらいバレやしないって。」

「えっ?」

するとエイドの後ろから、何者かが近づいて来た。

「窃盗罪は禁錮4年から25年だぞ。」

「うわっ!?ツ、ツルギ!?」

エイドは驚いて尻餅をついた。そしてツルギは2人を見て、大方の見当がついた。

「小僧、お主の代わりにこの男を罰する。さっさとそれを持って帰るが良い。」

「は、はい!」

子供はホワイトベリーを持って、すぐにその場を去った。

「さて...お主の件だが...」

「はぁ〜。見つかっちまったんじゃしょうがねえや。けど待ってくれねえか?もうすぐ予言の魔物と戦わなきゃならねえんだ。その後ならいくらでも罰を受けるぜ。」

「...1つだけ問う。お主に掟は無いのか?」

「掟?...そうだなぁ...俺の掟は"俺"だ!」

「!?己自身か掟だと?」

「そうさ。何が正しくて何が間違っているかなんて、誰にも分からないさ。だから俺は、俺が正しいと思った事をする。俺はその時、そこにいる皆が幸せになる行動をしてるんだ!」

エイドは胸を張って答えた。それを聞いたツルギは、険しい表情を浮かべた。

「どうしたツルギ?具合でも悪いのか?」

「今日は見逃してやろう。去るがよい。」

「おっ?話せる奴になってきたな!」

「くっ、図に乗るな!さっさと去れ!」

ツルギが怒鳴ると、エイドは笑って去って行った。

ツルギは以前レイラに言われた言葉を思い出した。自分の信じる掟とは何か...。エイドは迷う事無く、自分自身が掟と答えた。皆が幸せになる行動をしていると...。フェルメアの規則と己の掟、果たしてどちらを選ぶべきか、ツルギは葛藤しながらも己の公務に赴いた。

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