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フェルメアの噂

1048年15日目

ベルフェザードが来るまであと1年にまで迫った。何とか聖騎士と巫女に後任が見つかり、運が良い事に祈祷師を加える事が出来た。3年間しか戦えないというのが辛いが、最早団員達を強化する余裕は無く、付け焼き刃の戦力でもいいくらいだ。

酒場で祈祷師を加えた時に、店主から気になる話を聞いた。

「あんた、フェルメアの噂聞いたかい?」

「噂?」

「以前あんた等が、フェルメアの役人の悪事を暴いた時があったろ?」

「あぁ。エイドが役人を殴った件だな。」

「あの後から、局長と秘書の関係は更に悪くなったらしい。そのうちとんでもない事が起こるかもしれないぜ。」

「参ったなぁ。今の俺達は予言の魔物の事で手一杯だってのに...。一度フェルメアへ行ってみるよ。ありがとうマスター。」

「あいよ。勝ったら是非うちで祝勝会をやってくれよな。」

俺は酒場を後にし、団員達にフェルメアへ行く事を伝えた。

「フェルメアへ?あそこは協力しないんじゃなかったのか?」

「一応、あそこにも警戒するように言っておくだけさ。それに...あそこにも嫌な噂があるしな。」

「局長と秘書の事か?」

「あぁ。ベルフェザードを倒せても、あそこで何かあったら喜べないからな。」

「そうなのか?」

「とにかく。明日フェルメアへ向けて出発する。各員準備は万端に。特にエイド、騒ぎは起こすなよ。」

「何で俺だけ!?」


1048年50日目

フェルメアにあるとある酒蔵で、何者かが怪しい下ごしらえをしていた。

「この粉を混ぜて発酵させれば...はい。1年後には立派な毒入りエールの完成です。」

「製造に1年もの時間を要するのだ。確実かつ完璧な物でないと困るぞ?」

「お任せ下さい。グラス3分の一程度で、致死量です。」

そこには秘書ラパンと、エイドに悪事を暴かれた役人がいた。

「また、体内への残留性が低いので死因を突き止められる心配もございません。」

「よし、頼んだぞ。嫡男がいない市長が死ねば、秘書が繰り上げ当選と法律で定められているからな。必然的に秘書である私が疑われる。決して尻尾は見せられん。」

2人が酒蔵を出ると、密かに隠れていたアリアが現れた。

「ラパンめ...遂に尻尾を掴んだわ!早くお父様に伝えなきゃ!」

アリアは急いで市長舎へ向かったが、警備の騎士に捕まった。

「そこをどいて!急用なの!」

「市長は只今会議中です。会議中に部外者を入れる事は法律により禁止されてますので...」

「私は市長の娘よ!」

「規則ですので...」

アリアは必死になって面会を求めたが、騎士は全く応じてくれなかった。するとラパンがアリアの後ろからやって来た。

「騒がしいぞ。...おや?入市管理局長が何の御用で?」

「...父に、会いたいの...」

「そうか...ならば3時間後に30分だけ時間を作ろう。」

「私は父と2人で話がしたいの!」

「残念ながら、それは不可能だ。市長の私的会話には、秘書又は書記の立会いが不可欠だと法律によって定められている。何を企んでいるかは知らないが。無駄だよ。お嬢さん。いくら"実の娘"という肩書きを持ってしても、私には敵わなんよ。この街では法律で定められた地位が物を言うのだよ。市長と市民は秘書である私と、一介の入市管理局長に過ぎない君と、どちらを信じるかな?」

「...あなた...全て計算して...なんて人なの!」

「まぁ、今の事は市長には伏せておく。知り過ぎるは命を縮めるぞ?せいぜい夜道には気をつけるのだな。」

ラパンは勝ち誇ったかの様に静かに笑い、その場を去った。アリアは成す術も無く、市長舎を出た。

「どうしたら...良いの...」

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