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無限の生を持つ者と持たざる者達

1045年75日目

ベルフェザードがもうすぐ現れるせいか、各地に出現する魔物のレベルが高くなっている。高レベルな魔物程、複雑に攻撃を仕掛けてきたり、特出した特徴を持っていたりする。一番手を焼くのは常に列攻撃をする魔物だ。ウォルターで初めて戦ったバッドスモークが例に挙げられる。

俺達は遠征中、すれ違う村人達に協力を求める事を欠かさない。話を聞いてもらうだけでも、微々たる効果があると信じている。

「俺達と一緒に戦ってくれませんか?」

「一緒に戦おうって言われてもなぁ...」

「俺達はあんた等と違って、特別な人間じゃないからな。」

「そうそう。不老不死でもない、ただの人間だから。」

「確かに俺は不老不死だ。けど他の団員達は違う。あなた達と同じなんだ!」

「そう言われても...俺達は日々の仕事で手一杯なんだよ。魔物なんか相手してる暇は無いんだ!」

「毎日クタクタになるまで働いてさ...。そんな何十年も先の事なんて考えてらんないよ!」

協力は...アッサリと断られた。確かに人それぞれには役割という物がある。治る者、働く者、戦う者...この世界に個人の役割を手助けしてくれる道具があれば、協力してくれる余裕が出来ただろうか?なんて事を考えていてもしょうがない。するとどこからともなく、レダが俺の目の前に現れた。

「あら、秀哉!奇遇だね?」

「レダ...また"通りすがり"か?」

「まぁね。あたし達、運命の赤い糸で結ばれているんだよ。絶対!」

「かもな...」

「あら?てっきりあたしは"そんな非科学的な物、ある訳無いだろ。"って言うのかと思った?」

「言ってやろうか?」

「否定する元気も無いか...勧誘活動は大変そうね。」

「あぁ...」

「いい加減やめちゃえば?所詮、あたし達は外側の人間なんだからさ?」

「"外側"?どう言う意味だ!?」

「無限の生を持つ者は弾かれるって事さ。」

レダの発言で、薄々感じていた事が明確となった。

「!?レダ、やっぱりお前は、俺と同じ不老不死だったのか?」

「やぁね。本当は随分前から気づいてた癖に。あたしの口から言わせたかったのか、それとも相当鈍感だったのか...秀哉は後者じゃないでしょ?」

「あぁ。幾ら化粧でも、何十年も同じ若さを保つ事は不可能だからな。道理で世慣れてた訳だ。」

「あらら、そっちへ行くか。とにかく!あたし達不老不死の人間は、無理矢理内側に入る事を諦めるべきね。」

「人間から外れろと?」

「そうよ。分かるでしょ?彼らは短い一生をどう生きるかで精一杯なのよ!期待なんて、するだけ無駄さ。」

「けど...何とかしなきゃ、<大災厄>で世界が滅びてしまう。」

「秀哉が責任感じる事無いじゃん!」

「え?」

「世界がなんだって言うのさ?所詮一人なんだよ!あたし達。だったら好きな事すれば良いじゃない!自由に。」

俺はレダがここまで声を張り上げいるのを初めて見た。いつもと違って今回のレダは、自身の本音を俺にぶつけている。

「一人一人が結ばれるって...素敵な展開だと思わない?」

「レダ...じゃあお前は、世界がどうなっても良いって言うのかよ!?」

「構わないよ!但し、あたしは死なない。愛する男と2人で生き残ってみせる。まぁ問題は、その男が中々踏ん切りつけてくれないって事かな。」

「...」

「時間はたっぷりあるから、ゆっくり考えてね。」

レダが立ち去ろうとしたが、俺はレダを引き止めた。

「待ってくれ。」

「何?もしかしてもう決心したの?」

「レダ...お前はさっき"期待なんてするだけ無駄"と言ったよな?」

「それが何?」

「俺も嘗てはそうだった。次こそは...なんて思っていても、結局上手くいった試しが無かった。」

俺は元の世界での経験を思い出した。諦めずに頑張っても、成果は変わらなかった事を。だから俺は学業に専念した。だから逃げたのだ、運動が出来ない事から。けどこの世界に来て、無限の生と体力を得て俺は変わった。もう...あの頃の自分から逃げたくなかったからだ。

「だから挑戦したいんだ。今の俺は、元の世界の俺じゃない。時間はたっぷりあるんだ。大災厄まで頑張るさ。」

「ふ〜ん。まぁ、それじゃあお手並み拝見といこうじゃないの。あたしへの返答も忘れないでね。」

そう言い残すと、レダはまた何処かへと姿を消した。レダの本心の叫びを忘れないように心に留めた。そして俺は再び仲間達と共に進む。どんなに時間がかかっても、必ず協力してくれる者達が現れると信じて。

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