次の予言と魔女の誘い
1043年20日目
俺は王都の街外れにある森に着いた。そしてそこには勿論レイラがいた。
「スカイ。」
「レイラ!改めて無事で良かったよ。」
「えぇ。フェルメアでは、危ない所を助けて頂き、ありがとうございました。」
「気にするなよ。そんな改まって言われる程じゃないだろう...」
彼女の感謝の言葉に俺は戸惑った。王都に来てから、彼女の態度が180度変わった。
「フェルメアで団員勧誘を熱心にし過ぎて投獄されたんだろ?感謝するのはこっちの方さ。それで成果はどうだった?」
「難しいわね。魔物への恐怖心、他者への猜疑心、そして功名心...様々な感情が絡み合って、すぐには打ち解けてくれません。協力など夢のまた夢...あなたの苦労が忍ばれるわ。」
「まぁ。それが人間ってものさ。俺だって最初はレイラの言う事を理解出来なかったし...」
「でも...あなたは戦ってくれている。」
「それは...そうしないと、前に進めないと思ったからさ。俺はこの世界で40年も生きて来た。経験を積めば、考え方も柔軟になるさ。でもまぁ...中には何千年生きていても、お固いままの人もいるしな。」
「...それは私の事!?酷い!」
「ははは!鈍いなぁ。」
俺とレイラが戯れていると、テトがゆっくりと出てきた。
「あの...レイラ様...僕も頑張ったんですよ。僕が決死の覚悟で牢屋から出て、こいつらを引っ張って来たんですよ!」
「テトったら!ふくれないで。感謝してますよ。とても!ほら、こっちへいらっしゃい。」
「レイラ様!」
レイラが両手を広げ、テトはレイラの胸に飛び込んだ。
「スカイ、早速ですが、次の予言です。」
「あぁ。分かってる。」
俺は予言書を用意し、レイラが読み上げる。そして解釈した内容を教えてくれた。
「次の予言は1049年、王都に魔将ベルフェザードが来るでしょう。」
「奴か...俺の予想だと1060年に復活すると思っていたんだが。」
「スカイ。この王都を、延いては世界を救えるのはあなた達聖炎騎士団しかいません。頼みますよ。」
「あぁ。レイラも余り無理するなよ。」
そして俺はレイラと別れ、聖炎騎士団本部へと戻った。そして団員達に、次の予言を伝えた。
「ベルフェザードか...またあいつと戦う事となるなんてな。」
「私も噂で聞いたが、かなり厄介な奴なんだろ?」
「あぁ。俺は奴と2度戦った。そして攻撃パターンも同じだった。体力が違うかもしれないが、皆の力を合わせれば倒せる相手だ。今度は王都での戦いとなる。これからの魔物討伐も頑張るぞ!」
俺の掛け声に、団員達は応えてくれた。
{次の予言まで、あと6年。}
1043年180日目
魔物を討伐し続ける日々、コロコロと入れ替わる団員達、ベルフェザードとの戦いが近づくにつれ、俺の鼓動が早く感じる。奴は何度も復活する。そんな事は20年前に知った筈なのに、あれが発する威圧感に圧倒されてしまう。
「ねぇ!秀哉ったら!!」
「うわぁ!!だっ誰!?」
「ひっど〜い!あんなに声掛けたのにガン無視だったなんて〜。」
「レ、レダか...ごめん。ちょっと考え込んでいて...」
「ふ〜ん。もしかしてあの女神様の事でも考えてたの?」
「違うよ。今度の予言の事さ。今度の相手はかなり手強いからさ。」
「そう...秀哉がそう言うなら、とんでもない奴なんだね。」
レダが不安そうな表情を浮かべた。
「そ、そんな事より、レダは今までどうしてたんだ?調子はどうだ?」
「全然ダメ。孤独の海に溺れそう。ねぇ...そろそろあたしと一緒暮らさない?」
「何でそんな話になるんだよ!?」
「同棲なら年齢は関係無いでしょ?もう一人はイ・ヤ・ヨ...」
「そんな事言われても...」
「いつ言ったって同じよ。あたしの気持ちは変わらないんだから。変わるとしたら秀哉、あなたじゃない?」
「ちょ、ちょっと待て!?なんで俺が追い詰められなきゃならないんだ!」
「うふふ。モテる男は辛いわね〜」
「お前...まさか俺をからかいに来ただけって事は無いよな...」
「あら?バレた?うふ!」
レダはそのまま姿をくらましてしまった。彼女が去った後、暫く彼女の言葉を思い出した。もし俺が破滅の予言を全て回避出来たとしたら、俺は永遠に一人でこの世界を生きなければならないのかと...




