迫る予言の年
1041年25日目
予言の魔物との戦闘に対する編成は、前線を俺とエイド、サムライ、剣闘士の4人。ヤエは俺を、魔術師2名はサムライと剣闘士を補助するのが一番良い。問題は、サムライと剣闘士が戦闘に加わってくれるかだ。前者はヴァルキリーが妊娠中で、戦闘に加わってくれるかまだ返事が来ていない。後者は師匠のオルボの死去から立ち直っているかどうかだ。もしこの2人が戦闘に出られない場合の編成も、考えなくてはならない。すると、団員の剣闘士が本部に入って来た。
「団長...」
「おお、戻って来てくれたか。丁度今、魔物との編成を考えていて...」
「...」
「どうしたんだ?」
「女将さんが...女将さんが亡くなりました。」
彼の言う女将とは、オルボの恋人のミリィの事だ。まるで後を追うかの様に亡くなってしまった。
「そうか...向こうでもオルボと一緒になれると良いな...」
「...」
「...なぁ。俺はお前が立ち直るまで待つと言ったが、お前が戦えないのなら、俺は無理にお前を戦わせたくない。退団届は、気にせず出してくれても構わないぞ。」
「すみません。体は鈍らない様にするんで...もう少し待って下さい...」
彼はそう言い残すと、部屋から出て行った。不老不死の俺にとって、時の流れは関係ない。人との出会いも、季節の移り変わりと同じくらいだ。
1041年150日目
俺は騎士リベルと冒険者コーダを戦闘に加える事にした。サムライは予言の年になったら、騎士団に復帰すると言っていた。剣闘士は退団する事も考えて、他の団員達を強化する事に努めた。
「ん〜。」
「どうしたんすか?団長?」
「編成を考えているんだ。万が一エイドとヤエが戦えないって時に、万全の状態で臨めるにはどうするかを...」
「何言ってるんすか!?予言の魔物を倒さなきゃ、大災厄だって乗り越えられないんすよ。俺は何があっても、絶対戦いますから!」
「もし...予言以外で魔物が来た時はどうする?」
「けど...いつも通りなら、俺とヤエは戦えますよ。」
「あぁ。いつも通りならな...」
未来は変えられる。しかしそれまでの間に何が起こるかは、誰にも分からない。予言書を読んでも、分からない事は沢山ある。
1041年220日目
この日俺達はバルーセルという街に出た魔物を討伐した。街と言っても規模は村と大して変わらないくらいだった。
「なぁ!あんたら聖炎騎士団かい?」
「えっ?あぁ、そうだけど...」
街の若者が、俺に声をかけるかけて来た。
「やっぱ強いんだなぁ。あの人が言ってた通りだ。」
「あの人?」
「髪の長い綺麗な女の人さ。」
俺はこのやり取りを、2.3年前にした事を思い出した。
「"もうすぐ聖炎騎士団が来るから、是非協力してくれ"って言われたんだ。"強い人間が多いから、安心してくれ"ってな。」
「彼女が...そんな事まで...」
「俺達も、あんた達を信じてるよ。頑張って魔物を蹴散らそうぜ!」
若者は大きく手を振って、俺達から去って行った。
「...ありがとう、レイラ...」
1042年100日目
予言の年まであと僅かとなり、俺達も魔物との戦いを念入りに準備した。
「一応国王には、魔物の被害が王都に出ない様に、騎士団を待機させてくれって頼んでおいた。これで王都は問題無いだろう。」
「街の人々は...相変わらず自分達には関係ないって感じっすね。」
「だが...魔物に対する意識は、ここに来た時に比べれば良くなった。後は行動するかどうかだ。」
「ヤエの言う通りだ。王都以外の村や街でも、魔物を追い払おうとしている所はある。その時が来たら、皆覚悟を持って魔物と戦うだろう。」
「フェルメアはどうっすかね?」
「あそこは...親衛隊がいるから平気だろ。それに今度の戦いは王都周辺だから、フェルメアに被害は出ないだろう。」
「確かにあそこの守りは問題無い。問題は中だ...」
「中?」
「あの街では法律が全てだ。どんなに正しい事をしても、法律が認めなければ犯罪となる。そうなれば...」
「拷問も止むなしか...。だが今は予言の魔物を倒す事に専念しよう。フェルメアの件は保留だ。」
俺とエイドとヤエ、そして聖炎騎士団の団員達は、予言の魔物を倒す事に全力を尽くす。




