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酒場の噂

1038年115日目

魔物の討伐以外にも、王都を出る事はある。車や電車が無いこの世界では、近くの村や街へ行くのにも最低20日はかかる。何故そこまでして王都を出たかは、数日前に遡る...

「良い噂?」

「あぁ。王都ならそういう噂の一つくらいあるかなって。」

例の如く、俺は酒場のマスターに書き込みをしていた。時にはフェルメアまで行って、情報収集をするくらいだ。

「そうだな...確か王都から西へ行った村に、"癒しの女神"って呼ばれる人物がいるって噂を聞いたな。」

「"癒しの女神"か...他には?」

「後はそうだな。王都で仕官先を探している奴がいるって噂を聞いたな。詳しくは知らないから、そこは自分で調べてくんな。」

「ありがとうマスター。また何かあったら顔出すよ。じゃあ。」

俺はマスターに別れを告げて、酒場を出た。そして中央広場にて、仕官先を探しているという噂の詳細を知った。

「確か北東にある村でそういう人がいるって聞いたよ。職業は巫女だってさ。」

巫女というと...邪馬台国の女王 卑弥呼の様なイメージが浮かんだが、会ってみなければ分からない。

俺は団員達に遠征準備を整えるよう伝え、翌日に王都を出た。

そして現在に至る。

「それで、先にどっちへ行くんだ?」

「仕官先を探している巫女に会いに行こう。そろそろ退団予定の団員と入れ替えようと思う。」

「もしその巫女が力不足だった時は?」

「その時はその時さ。何より俺は、巫女って職業をまだ知らないんだ。」

「だから私に、変な事を聞いたのか...」

「あぁ...あの時はごめんな。」

「謝る程じゃないだろ。」


1038年170日目

噂で聞いた巫女がいる村へ着き、村人の案内でその人物に会う事が出来た。

「えぇっと...君が仕官先を探しているという巫女かい?」

俺の目の前には、イメージした巫女とは違った踊り子がいた。顔には祈祷師に似た模様の付いた化粧をしていた。

「あなたは?」

「俺は聖炎騎士団団長、スカイ=ウルメイア=フィールド。君の事を聞きつけて来たんだ。」

「あなたが噂の聖炎騎士団!?わざわざ来てくれて嬉しいわ。私は巫女のマカ、よろしくね。」

【マカ 24歳 巫女】

・体力 15 ・攻撃力 4×4 ・素早さ 10.0 ・補助力 30 ・他回復 28 ・衰退期まで 6年

ニンジャ以来の複数攻撃持ちに、俺は驚いた。神官と同じくらいの成績で、違いは素早さと複数攻撃であった。

「私は1度に4回も攻撃出来るし、味方の補助と回復には自信があるよ。」

「ありがとう。喜んで君を入団させるよ。ちょっと待ってくれ。」

俺は団員達に新メンバーの加入を伝え、衰退期に入った団員に退団を伝えた。

「これは私が使っていた道具です。何かの役に立つと思うので、これからも騎士団の皆をよろしくお願いします。」

「分かったわ。あなたの分まで、頑張るから。」


1038年290日目

巫女を騎士団に加え、次の目的地に到着した。

「この村に"癒しの女神"がいるんすかね?」

「仮に嘘だったとしても、魔物の脅威が及んでいないかを確かめに来たって事で良いじゃないか。」

「団長...遠征を見回りのように言わないでくれよ。結構キツイんだぜ?」

「ごっごめん。とにかく、噂の人物に会ってみよう。」

エイドの指摘にドキッとしてしまった。確かに...王都で入団希望者を待つよりは、遠征してすぐに魔物の元へ向かえるようにと考えていた。団員の事を考えれば、安易な気持ちで遠征をするべきではないな...

村人に話を聞くと、確かにそう呼ばれる人物はいるとの事だ。案内され本人と対面すると、聖騎士がいた。

「あなたが"癒しの女神"ですか?」

「自ら名乗った覚えは無いが、周りは私をそう呼ぶな。」

「あんた、良かったら俺達と一緒に来ないか?聖騎士なら大歓迎さ。」

「申し訳ないが...私はこの力を人々の為に使うと決めている。魔物と戦うつもりは無い。」

「なんでさ!今がどういう状況か、あんた分かって...」

「よせエイド!本人がそう言ってるんだから、無理強いはするな。それに入団させるかどうかは、俺が決める事だ。」

「ぐっ...け、けど...」

「あなた方の言い分も分かる。ならせめて...私の技をあなた方に教えよう。とはいえ、教えられるのは一人だけだが...」

「技?魔物に効果的な必殺技みたいな物か?」

「回復力を上げる技だ。あなた方には、私の技を覚える事が出来る者はいるか?」

「回復力なら...ヤエ!お前なんかいいんじゃないか?」

「必要無い。」

「となると...今の騎士団には、聖騎士のレーンと巫女のマカ、後は魔術師とヴァルキリーくらいだな。」

考え抜いた結果、俺は聖騎士に技を覚えさせる事にした。彼女はレーンに色々教えると、1時間くらいで終わった。

「どうだ?」

「まだ実感が湧かないが、多分大丈夫だと思う。」

俺はレーンの成績を見ると、回復力が確かに上昇していた。

「ありがとう。あなたの技は、これからの騎士団の役に立つでしょう。」

「では私はこれで...また別の地へと赴きます。」

俺達は彼女と別れ、王都へと帰った。

{予言の年まで、あと5年}

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