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仲間の訃報

 1037年50日目

聖炎騎士団宛てに1通の手紙が届いた。手紙の形状から、訃報と伝えられた。

”聖炎騎士団団長、天野秀哉へ。5日前にフォレスの村でリーフが亡くなった。僕が退団した後に村へ訪れた時、あいつは喋る事すら困難な状態だった。ベルフェザードとの戦いがあったとは思えないくらい、村は復興していたよ。今は僕もフォレスの村に住んでいる。あいつの跡を継いで、これからも村の老人達の面倒をみようと思う。それと...リーフの命を奪った例の病だが...今の所、治療法は見つかっていない。病状が悪くなる前に色々薬草などを飲ませているが、効果はあまり無いようだ。唯一出来る事があるとすれば、被害を大きくする前に、患者を村から遠ざけるくらいだ。お前ならきっと...いや、お前は予言の魔物を相手してくれ。病の事は僕が調べてやるよ。退団したからといって、お前の役に立てないって事はないからな。エイドとヤエにも、気を付ける様に言ってくれ。あんまり無理し過ぎて、倒れるなんて恥ずかしい事するなよ。 ライより”


 ライは退団した後、ちゃんとリーフに会えたんだな...。リーフの訃報には悲しくもあったが、ライからの手紙が嬉しかった。やはり例の病は、今後更なる感染者を生み出し、多くの死者を出す事となるだろう。とはいえ今の俺達には、その病に対抗する術が無い。ライの言う通り、これからも予言の魔物を相手にする事に専念するべきか...。

「団長、どうしたんすか?」

「えっ?い、いや。何でも無い。」

俺は慌てて手紙を机に引き出しに入れた。この事をエイドやヤエに伝えたら、2人は悲しんでしまうからな。団員の訃報は、俺の胸の中に収めておこう。


 1037年53日目

「こちらは聖炎騎士団の本部で、間違い無いだろうか?」

訪問者は騎士としては高貴な装備を身に付けていた。漫画やアニメで出てくる西洋の装備に似ていた。そして意外にも、相手は女性だった。

「私は聖騎士のレーン。破滅の予言を回避する為に戦う聖炎騎士団の噂を聞き、魔法都市レームより参りました。」

彼女の言うレームという街は、王都から東北の方角にある街で、文字通り魔法に関する研究が発達した街だそうだ。

「私は味方の回復と補助に長けております。きっとお役に立てる筈です。」

【レーン 22歳 聖騎士】

・体力 30 ・攻撃力 14 ・素早さ 6.5 ・他回復力 15 ・支援力 14・援護力 16 ・衰退期まで8年

彼女の成績は優秀だった。間接攻撃が出来ないが、それ以外は完璧だった。

「君がいた街では、他に聖騎士はいなかったのかい?」

「残念ながら...私が身に着けている装備は、邪気を払う魔力を込めて作る必要があり、騎士の装備の様に数多く作れないのです。」

つまり聖騎士の装備は、大量生産が出来ないオーダーメイドのようだ。そして、その装備を扱うのにも、熟練の技が要するらしい。

「ありがとう。採用は前向きに考えさせてもらうよ。」

「ありがとうございます。」

彼女は兜を取って一礼してくれた。


魔物の出現報告が上がる度に、俺達はその地へ赴いた。王都騎士団も、可能な限り協力はしてくれてはいるが、フェルメアの親衛隊は動いていない...。それでも俺達にかかる負担は、今まで比べれば少しは軽くなった。

「団長...予言の年までに、団員の数は揃いそうっすか?」

「入団希望者は常に募集しているし、最低でも7人は揃えるさ。」

「けどもし...俺かヤエ、最悪団長が戦えないって時はどうするんすか?」

エイドの不安はもっともだ。俺は1度も体調を崩した事は無いが、他の団員は違う。魔物との戦闘では体力を回復すれば良いが、終わった後に残る疲労は回復出来ない。遠征期間が長かったり、戦闘で大ダメージを受けた時には、団員は能力が3割しか発揮出来なくなってしまう。

「もし俺が戦えなくても、魔物を引きつける囮くらいにはなるさ。体力だけは、誰にも負けないからな。」

「それは...不老不死によるものか?」

「もしそうだとしても、魔物の攻撃を受け続けていれば、体調を崩してもおかしくないのになぁ。」

「心配してくれてありがとな。2人も体調管理には気をつけてくれよな。特に例の病気には、絶対かからないでくれよな。」

この世界では...死者蘇生のような夢みたいな魔法は存在しない。だから俺は...仲間との出会いと別れを大切にしたいと決めている。たとえ明日...仲間の誰かが亡くなるとしても。

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