閑話 王都のとある料亭にて 後半
【ヒルジャイアント レベル04】
・体力 250 ・攻撃力 8(怒りの一撃 12~16) ・素早さ 2.0 ・初回防御力 10 ・回復力 15
特徴•••1分間力を溜めた後の攻撃力は2倍。怒りの一撃をする際は地団駄を踏む。
中々厄介な奴が来てしまった。通常攻撃なら全員平気だが、威力が14以上の攻撃は魔女・魔術師・術者・神官の命を奪う。魔物も回復力を持つ事から、長期戦になるのは避けられない。
「前線は僧侶と神官。魔女は神官を補助。魔術師は魔女を補助し、神官は魔術師を補助。今回は長期戦になるから、皆覚悟してくれ!」
「だっ団長!どうして僧侶と神官を前線に!?しかも2人が後退したら、前線は魔女1人じゃないですか!?」
「奴が最初から大きな攻撃を仕掛ける事は無い。それに2人はお互いを回復し合えるから心配無い。」
「前線があたいだけになるって点は?」
「魔術師の補助なら、命を落とす危険は無い。攻撃したらすぐ後退してくれ。」
「今回の編成は、2・1・4か...。大丈夫ですか、団長?」
「やるしかないさ。それと...後方の俺達が前に出たら、俺か冒険者のお前はダメージを受ける事を覚悟しとけ。」
「え゛っ!?」
「えっじゃないだろ?術者は全力攻撃を出す為、魔術師は自回復が出来ないんだから。その点お前は体力が2人よりあるだろ?」
「僕は団長程は無いですよー!」
斯くして、聖炎騎士団と魔物との戦いが始まった。先手はこちらが取ったものの、やはり魔物にはかすり傷程度しか与えられなかった。僧侶の方が少し早かった為、魔女の支援を受けた神官の攻撃は防がれずに済んだ。そして魔物の攻撃は僧侶に向けられた。
「団長、まだ魔女の補助は残ってます。このまま戦闘を続けましょう。」
「いや、直ぐに2人は後退だ。」
確かにまだ行けたが、魔物の次の攻撃は怒りの一撃...。地団駄を踏んでいるのが証拠だ。
僧侶と神官は後方で互いを回復し合い、魔物も少し回復をした。魔女の攻撃は勿論防がれたが、こちらも攻撃を無傷で防げた。そして俺達4人が前に出た時、魔物の体力は全快していた。魔女は後方にいるが、回復が出来ない。術者・俺・冒険者・魔術師の順で攻撃し、魔物の攻撃は運良く俺に向けられた。
「俺達はこのまま戦闘を続ける。ここで奴の体力を削るぞ!」
2度目の攻撃で魔物の体力はやっと半分になった。奴は攻撃を仕掛けなかった。となると次は...
3度目の攻撃で魔物はもう一押しのところがまで追い詰め、魔物の2倍攻撃は冒険者に向けられた。
「う゛わ゛っ!!」
「くっ...俺達は直ぐに後退する。魔物は虫の息に近い、後は任せたぞ!」
魔物は魔女の攻撃がトドメとなった。そして俺達は目的の食材を必要数集め、王都へと戻った。
「待たせたな。これがあれば、誰でもシチューを食べられるだろ?」
「あっあぁ。勿論さ!今日は特別だ。外に並んでいる客全員にも、タダで振る舞うよ!勿論あんた達もな。」
オーナーは客達全員と俺達に料理を振る舞ってくれた。さっきまでの疲労が嘘のように無くなり、体から力が漲るくらいだった。
「美味しい料理をありがとう。ところでオーナー、あなたは...」
「知ってるよ。あんた...バルトウェイで自警団の副団長だったんだろ?」
「!?やはりあなたは...」
「あぁ。昔あんたと同じ自警団にいた。騎士ニックの孫さ。」
俺はニックの孫に会えた事に嬉しくもあり、ニックを退団させた申し訳無さがあった。ニックは最期まで、俺の事を恨んでいただろうか...
「爺さんは自警団を退団されられた後、色んな所を旅して周ったそうだ。その旅の中で様々な食べ物を記録して、王都に店を出したんだ。」
「成る程。メニューを見ると、バルトウェイの郷土料理に近い物もあるな。」
「元王都騎士団団長のフィリンさんも、よくこの店に来てたよ。」
「そうか...それで、ニックは俺の事...恨んでたか?」
「...爺さんの話を聞く限りだと、あんたは冷たい人だって思ってたよ。けど今回の件で、あんたがそんな人じゃないって事が分かったよ。」
「ありがとう。それで...頼みがあるんだけど...」
俺はニックの孫の案内で、ニックの墓に来た。騎士としては未熟な奴だったが、食べ物についての興味は凄い奴だった。あの時は団員の事を考えてなく、彼をただの足手纏いとしか思ってなかった。
「ニック...あの時は悪かったよ。あの頃の俺は...君を戦力外という理由で、強引に退団させてしまった。今思えば酷な言い方をしてしまった。退団させた後、もっと違う言い方があったんじゃないかって...何度も後悔したよ。今の俺は団員達の事を考えている。団員達の幸せと、この世界を守る為に、俺なりのやり方でこれからも頑張るよ。じゃあな。」
俺はニックの墓標とオーナーの孫に別れを告げた。退団した団員達が、幸せな最期を迎えられていれば良いなと、俺は心から思った。




